2015年5月12日火曜日

ミュルミュル 英三の呟き


昨日ヴィクトリア・ティエリ・チャップリン+オレリアの「壁の呟き(Muremures des murs)を見に行った。ヴィクトリアの構想・演出、オレリア主役ということだが、インタビューを読み聞きすると基本ストラクチャーは共作だが演出での自由度はかなりオレリアに任されているらしい。
(以上何のことかわからない人は14年5月19日投稿の投稿を読んでください)
 
これで昨年からヴィクトリアとその旦那の「見えないサーカス」(5月19日投稿)、そしてヴィクトリアの息子のジェームズの「ラウル」(7月27日投稿)を見たのでこれで「チャップリン尽くし」を一応一巡したことになる。
彼らの舞台もそれぞれヴァラエティーがあるだろうが、おそらく:
ジェームズが一番フィジック(運動量が圧倒的に多い)、大掛かりでドラマチック
ヴィクトリアとジャン=バティストは一番コミカル、アイデアがこぼれるおもちゃ箱
オレリアは一番メルヘン的に優雅にみせる、とまとめられるのではないか。

僕の好きな鳥人間(左下)はポスターでしかなかった
実は昨日の舞台、ある理由からすでに全編ビデオで見ていて、演技はわかっているので近い場所で細かいところが見たいと、毎晩(3週間も公演という人気ぶり)の空席をインターネットで比べ、舞台から4列目、右側の通路から2つめ(下の写真の青いポイントの丁度反対側あたり)が残っていた昨晩を予約したのだった。「前でそんなに端っこでもないし、良い席が取れた」と喜んでいたのだがこのチョイスが大失敗だった。小道具を使った(かつ平面的な小道具も多い)一人芝居的な要素が多いので、横からだとよく見えない。私は「予習」してあるから「あれをやっているのだな」とわかるが、私より横にいた人は完全に欲求不満になっていただろう。逆にトリックはよく見えるのでプロには良いかもしれないが、チャップリン家のトリックは考えればすぐわかる素朴なもので(そこが良いのだが)、見えてもおそらく得るものはないだろう。という訳で兎にも角にも「遠くても真ん中」の方が良い。もしサイドなら反対側の方が良かったような気がする(これは「ひがみ」かな)。
 
こんなに席のことを図まで付けてくどくどと書くかというと、この舞台は「ミュルミュル ミュール」という名で秋に日本で公演されるから! だからすごく具体的なアドバイスである訳。まあそれ以上に「パリのロンポワン劇場で見た人はこう言っていましたよ」と企画の方がオレリアさんに言って下さればきっと彼女はそれを改善してくれるでしょう☺と期待しているのです。それからオレリアの不思議トリックのテンポ(「間」)が両親、兄に比べてずっと速い。だから見落とすともう終わっていて、、、というのも不満を重ならせた原因の一つだろう。

メルヘンで、子供から老人まで楽しめるのだけれど、話は案外難しい(と私は思っている)。アパートから追い出されて色々旅行するだと思っていたのだが、建物(壁)はいつもヴェニスの下町のような気がする(仮面とか衣装もヴェニスっぽいし、運河で溺れそうになる場面もあるし、つまりすべてはヴェニスの異なる世界?)。また不気味な男(たち)に捕まえられて怖い話かと思うとオレリアの表情はにこやかで(これは近い席でないと見えなかった♪)、、、そして「ふっ」と終わってしまう。何なのだろうか? またまた大して褒めない案内となりましたが、皆さん観てお考え下さい。

彼女のきわめてヨーロッパ的な詩情、日本で通じるのだろうか? 
公演は10月に名古屋、西ノ宮、世田谷だと思います:ミュルミュル ミュールで検索ください。
再度復習:席選びは中央。実際最後の拍手喝采も圧倒的に中央後部から沸き起こっていた。

ところで私が一番好きなお兄さんのジェームズの、かつて大感動したLa Veillée des Abyssesの実況TV録画の全編が高画質が見つかりました。ロシア語で書かれているので例によって著作権無視の掲載かもしれません。これは私が不朽の名作と思っている作品ですのでなくなる前に是非見て下さい:
https://vimeo.com/6115707

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