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2025年8月16日土曜日

16世紀の城の現代美術、オワロン城

気温が37度になると人間の吸う息の方が吐く息より低くなるのだろうか。つまり人間は外気に対しクーラーになるのだろうか??? フランスでもそんな暑さになることがあるようになりました(ただし我が地下アトリエは快適ですが)残暑お見舞い  
 
ここからが本題:

「初めてビートルズのサージェント・ペパーズを聞いたときの感動は一生忘れられない」と言う友達がいたが、彼は私よりいくつか年齢が上だし英語ネーティブだからまさにエポックメーキングなイベントに出会った感動というのがずーっとあるのだろう。

美術展に関しての私のそうした感動は1989年の「大地の魔術師たち(Magiciens de la terre)」にある。これもその時代を経験をしないと、つまりその以前と以降の空気を肌で感じていないとカタログを見たからと言ってその感動は伝わらない。とはいえ各人個人史の違いがあるからをその時サージェント・ペパーズ聞いて感動しなかった人も「大地の魔術師たち」をみて感動しなかった人も大勢がいるのは当然だが。

まあともかく 「大地の魔術師たち」はその後の美術展の一つの節目、融解点であり、その後はかつての美術展のフレームが溶けて色々な方向に流れ出したように私には思われる。

その融解零度の感触を守った感のある場所がフランスの何処とも説明しがたい片田舎に忽然と立つルネサンスのお城にあった! それもそのはず、そのコレクションの基礎は「大地の魔術師たち」のキューレーターだったジャン=ユベール・マルタン Jean=Hubert Martin によるものだからだ。 

 



「軍隊の間」(パノラマ写真)
 
16世紀の天井画 

そのChateau D'Oiron(オワロン城)、その現代美術はおフランスの国立コレクション、つまり国立美術館なのだが、周りはほぼ真っ平らな畑が広がり近辺にこれといった街も観光地もない田舎で、知る人ぞ知る(?:実は私も最近まで知らなかった)。車でしか行けないのだが8月で駐車場の車の数が指折り数えられる程度だったからよっぽど興味を持つ人以外は来ない。(このままだと好き勝手言いたい放題の今の嫌な女性文化大臣に予算をカットされてしまうのではないかと心配になってしまうので非力ながら宣伝致します)

ここは16世紀に栄えた地方領主のお城、その頃はラファエロとかその時代のアートのコレクションがあった。その盛衰は歴史通でなければチンプンカンプン😅、有名どころとしてはルイ14世の寵姫のモンテスパン伯爵夫人が凋落後この城を買って最晩年に住んだ。 

それはともかく国が1943年に廃墟化していたこの城を買いフレスコ画や装飾を修復し、今やなかなか絢爛。だからポンピドーセンターとヴィレットというニュートラルな展覧会場で開かれた「大地の魔術師たち」とはかなり趣を異にするはずなのだが、ここでは城の建築も含めてキャビネ・ド・キュリオジテ的な融合というマルタンさんのエスプリがどっぷり。このコレクションが立ち上がったのが1993年だから時代的には「大地の魔術師たち」のすぐ後で、おそらく展示品も重なっているものもあると思う(確証なし&記憶に自信なし)。

アーティト側からそれに応えて作った作品もある。例えば2階に上って最初の大広間 「軍隊の間」、この立派な装飾豊かなサロンにはかつてルイ13世時代の戦争の英雄の絵が飾られていたらしいのだが、今ではそれを漫画化したような辻褄のない物品を組み合わせて作った可笑しな鎧のようなオブジェが飾られている。それら自体はそれぞれかなりゴタゴタしたものなのだが、空間の広さもあってか不思議にあっさりと極彩色の天井画と調和している。これは食事後のテーブルをそのまま固定した作品で有名な Daniel Spoerri で、ちょっと意外なようなやっぱりのような(笑)

この投稿の一番最初の百姓一揆みたいなBraco Dimitrijevicの作品もここだけのサイトスペシフィック。 

こんなふうに書いていくとキリないし、大きな空間の展示は写真も難しく、その場のハッとする感覚がでないのでごく簡単に終えてしまおう。ともかく見るものたくさんあって3時間以上いたけど最後は多少端折り、、、というのもここはカフェテリアとかいう洒落たものもなく近くの村もほぼ何もなし、じっくり長期戦するならお弁当持参で庭でピクニックしかない!


 

インスタで上げた写真は:

最初の動画はランプをワイングラスの影に映し出すBill Culbertの作品

次の写真二つは先の述べたDaniel Spoerriのアッサンブラージュで、動画は「軍隊の間」全体

「王の間」のイカルスの墜落がテーマの17世紀の天井画、その次が「美の女神達の間」 

Thomas Grünfeldの怪物

鏡の中で青い曲線が円になるFelice Varini

Tom Shannonの反重力彫刻

Charles Rossのレンズを通して太陽光が木を焼くのを毎日記録した作品  

オワロン城に招かれて食事した人のプロフィルが青線で描かれたRaoul Marekの作品

足で絵を描く白髪和男と川名温の日付画があったのはちょっと意外だった!

最後は私が苦手とする Marina Abramovic、クオーツのバイブレーションを感じて心の旅に出てくださいって、、、石の枕、痛いだけで何も感じないのですが

 


結局ここを私が非常に気に入ったのは史料では計り知れない「大地の魔術師たち」の「あの時」の新鮮味が保たれていることがあるのだが、単にノスタルジーを超えて私はやっぱりサイトスペシフィックな作品が大好きなのだと自ら確認するに至った。10年以上続けた海水ドローイングばかり続けてきたが、少し転換の兆しあり?や否や?

 

参考

オワロン城のサイト https://www.chateau-oiron.fr/

その中の現代アートコレクション Curios & Mirabiliaは https://www.chateau-oiron.fr/decouvrir/la-collection-curios-mirabilia

 日本語での簡単な解説:https://artscape.jp/artword/6068/

「大地の魔術師たち」とマルタンさんに関しては過去の投稿で書いています(ただし他のサイトに画像を頼っていたので絵抜け状態)


オマケ:YouTubeにこんなのもありました。Shannonの反重力彫刻の設置の様子です。 ちょっと面白い
 

 

2025年7月1日火曜日

充実のヴェニスの報告

Rapport de mes activités à Venise en mars (période de séjour : du 17 au 31 mars). 
Si vous ne comprenez pas le japonais, veuillez regarder la vidéo ci-dessous.
 
遅くなりましたが3月のヴェニスの報告(滞在期間:3/17〜31)
 
2022年8月にイタリアのエルバ島 が第1回目、続いて23年6月に第二回目をブルターニュで開催した「水」のテーマのフェスティバルの「アクアムール(Aquamour)」*、今回は飛躍的大躍進でヴェニス!!! それも飛行場を降りたら自動歩道に沿った壁にアクアムールの宣伝がズラーっと並び、こんな派手なことって私には生まれて初めてだからきわめて単純に気分高揚。私どころか企画のBさんもビックリ!

Bさんが連携を組むことになった大きな組織の会長さんともローバジェット・フライト(笑)で出会い、飛行場からこれも生まれて初めてのタクシーボートでまたまた気分高揚。ヴェネチア本島に着く頃には夕闇の帳が下り、ボートを降りた運河沿いはどこかもわからぬままBさんの後を追って歩いたらユーモラスな感じもする白い巨大なライオン像が突然目の前に現れた。その横には海神ネプチューンがずっと控えめにおり、これがアルセナル(軍港)の入り口と知ったのは翌日になってからだった。つまり私とBさんの宿(2部屋のアパート)はサンマルコからずっと東の運河を入り込んだ庶民的地区で(といえるかどうか?オーバートゥーリズムで実際には本当の庶民は大陸側から通ってくる)、ともかく観光客は中心街とは比べ物にならないほど少なく本当のヴェニス発見(?)
 
かつ私は作家としては一番乗りしたので私はその翌日から荷物運びを手伝うはめになり、小さなボートで朝も晩も運河を移動(車のないヴェニスの物品輸送はボート頼り)、乗ったことのないゴンドラも乗る必要はあるまいというほどヴェニスの路地道である水路側からの「水の都」も楽しみ、どうも今まで違和感を持ち続けていたこの街がはじめて「また来てもいいかな〜」と、、、つまり好きになった。
 
で、展示の方はというと、あなたの壁は3x4mぐらいと言われていたので大きな作品を二作並べようと思っていたが、問題は輸送。タカを括っていたのだが結局誰も車で行く人はいない。自分の自信作をチューブに入れてイタリアへ送るというのは紛失破損の可能性を考えると全く考慮外(日本の宅配のようには全く信頼できない&美術品専門の輸送会社に頼む予算はないし)
 
そこで思ったのはフライトの荷物に入るサイズのドローイングをアッセンブラージュして大きな作品にする。ちょうど5月の修道院の個展の展示作品のチョイスすることもあって昔の作品も色々引き出して見ていたから、「これはもう飾らんな〜」というドローイングの数々を破ってパーツを制作(?:これは描くよりよっぽど速い😅 ただし少しは加筆したものもある)、そしてどんな感じになるかアトリエの床に並べてシミュレーションした。我がアトリエの床はブルーなのだがこの背景色は白い紙片を浮き立てるし、それ以上にヴェニスの運河を思わせる効果があるではないか! それをちゃんと写真を撮ってパーツに番号を振った。
 
もちろん現地でその通り作れるはずも作ろうとも思わなかったが、右の「設計写真」を見た展示スペース担当者には「さすが日本人」といたく感動され、、、本当に何が他人を印象付けるのかはわからないものだ。
 
会場は長く使われていなかったかつての町工場跡でレンガ壁の状態はボロボロ、ロールペーパーを垂らして青の背景色を作るのは大正解だったが、その巻紙は日本のお店で瀬戸物などを包むために使われていた細かく切れ目が入っていて形状が変わるもの代物。波みたいにもなるから使えそうだなと目をつけた→アーティストは毎日ブラブラ何もしてないと思われるがちだがいつも制作のことを考えている人種なのです。百円ショップでもあったけどひょっとするとこれは日本にしかないかもと買って持って帰ったが計算を間違ったか完全に壁を覆うには足りなさそう。ネットで探すしかないがフランス語でなんと表現したら見つかるのかと頭を捻り、、、見つけました papier d'emballage en nid d'abeliile 蜂の巣型包装紙というんだって!(でも実は日本でもそんな名前だった😅) クラフト紙製しかないから青にするためスプレーを買って、でも一缶では足りなくて、、、なんてことを出発前日までしていてやっとこさ着いたヴェニスでの前に書いた飛行場の広告は一際感動だったのだ。(後談になるが、実は街の中には広告皆無で関係者以外で知る人はいない。すごい一大イベントのように見えるがこのようになんかちぐはぐな不思議なフェスティバルなのだ)
 
展示の話に戻ると、2日はかかるつもりだったのが壁は言われていたほど大きくはなく、また会場での手伝いもあってほぼ半日で終わってしまった! 

 
 
 
この作品はヴェニスの人は明らかに私が運河と埋立地のヴェニスを意識して作ったことがわかり、また関係者には新たな企画で挑戦だったので驚きがあり概して好評だった。 
 
そして2週目はアーティストが持ち回りで毎日展示会場にいなければならなかったはずが、ちゃんと若い学生さんが雇われていてそれからも解放されほぼ完全ヴェニスでのバカンスになったのだった😄 
 
 
ここで自己中にならぬように同じ部屋に飾られたアーティストの作品を紹介すると:

 
(上)Paolo della Corte彼は写真をラグーンの水の中に何日も浸からせて色々なものが付着するにまかせる 
 
(下)Perrine Angly:私と同様彼女も毎回出展だが、前回とは違うトレーシングペーパーの両面にドローイングした作品を窓に貼った。
 

会場風景:真ん中は Federica Tavian Ferrighi のラグーンの島で育てた草木で染色して作ったドレスのインスタレーション
 

 先に書いたように今回はブラブラ街を歩き回り
 
 
 
消された落書きが微妙

美術館には行かず教会めぐり
 
 
サンタ・マリア・グロリオーサ・デイ・フラーリ教会(Basilica di Santa Maria Gloriosa dei Frari)
のティッチアーノの巨大な「マリア昇天」
 
 




ここにベリーニの聖母子像があったのが1993年に盗まれたそうです(Madonna dell'Orto 教会) 
イタリアらしいというかこの空の額になぜか感動(多分現代アート病に毒されてているからかも?) 

 

大発見は Scuola grande di San Rocco のファンタジックでかつ力強い木彫群でした!


 

今回は遅れた報告なり見応えあったでしょう (笑) 

 

参考過去投稿: 

エルベ島でのアクアムール

ブルターニュでの第二回アクアムール 



 

2025年3月2日日曜日

命の次に大切なものをなくした〜

日頃「命の次に大切なもの」と言っている「滞在許可証」、こともあろうにこれを落とした!*

携帯にモバイル搭乗券なるものがあり、家からパリの空港まで荷物を運んでくれるANA+クロネコの「手ぶらサービス」なるものを利用しているのでゆっくり羽田に到着、ANAの機械でモバイル搭乗券を読ませたら「存在しません」というような答えが出てきて、変だなーとパスポートを引っ張り出しスキャン。でも答えは同じ。さっぱりわからんから近くにいた係員に尋ねたら、ははは、そこは国内線カウンターだった! 
国際線は2階でそこで同じことを機械相手にしようとしたらモバイル搭乗券が入ったメールが見当たらない。どうも携帯の変なところを触ってしまったようだ。pcには入っているが、、、で紙の搭乗券を出してもらうことにした時には場内で「パリ行き最後の搭乗受付です」なんてアナウンスがあって、今までの余裕はどこぞに消え、慌てて「人のいるカウンター」へ。まあ私にはこの方がよっぽど楽だ。
 
荷物検査などを通過しゲートに行きつつふと気がついたのはいつもパスポート入れに一緒に入っている滞在許可証がない。服のポケットにもナップサックのポケットにもない。国内線でも国際線でも機械に読み込ませようと思った時は絶対にあった。そのあとパスポートを出したのは紙の搭乗券をプリントしてくれたカウンター。その時もあった。
 
情報センターに行って探してもらったが落とし物にあがってきていない。青ざめてしまったがともかくはパリ空港までは行くしかないよな〜、命はあるのだから。
 
フライトのゲートの係員にまたこれこれしかじか、、、なんとその間に落とし物情報が上がってきた! あーやれやれ、その後数分で手元に届いた。関係者の皆様に感謝の言葉がありません🙏
 
パリに着いて入国審査でこのいわくつきの許可書を出したら、我が内心の安堵も知らぬ審査官に「スゴイってどういう意味だ?」と尋ねられ、ああここはフランスだと実感!この気楽な審査官も滞在許可証なくしてたら厳しい尋問するのかな???
 
ところでパリまで勝手に運んでもらった旅行鞄だが、フライト前日にクロネコから「コロコロが壊れまして、、、」という電話があった。当然一つなくなっているのだろうと思い込んでいたのだが出てきた鞄にはコロコロがちゃんと4つある。きつねにつままれたよう。報告を受けていた空港係員がコロコロを入念にチェックしてみたところ一つが引っ張ると浮き出すことがわかり、あーこれか:つまり知らなければそのまま引っ張って行けそうな不具合。クロネコさんは修理したら代金を払い戻してくれるということだったが、パリの13区の中華街で買った素性の知れぬ既に何年も使ったこの鞄、修理するほどのことがあるのか甚だ疑問。空港側はここで修理するという。でもすぐにはできないから同じようなサイズの鞄をもらいこれに荷物の入れ替え。空港係員も私同様の疑問を抱いたのだろう 「この鞄を引き換えにして古いの廃棄してもいいのですよ」 私「いいいいそれで!」 

文章で書くと簡単だがその間書類も書かされ、色々待ち時間があるからこの成り行きは時間にすれば30分以上。
 
実は私の使う地下鉄14番線も空港からの近郊線も夜間ストップするという情報をもらって最後の最後に4時間以上の長い待ち時間のある(なぜこんな便を選んだのか?もちろん少し安かったけど。それで着くのが遅くなる)フランクフルト経由便から直行便に変更したのだが、空港係員が手薄になる夜10時半過ぎに着いていたとしたらどうなっていたのだろう? それに滞在許可書なしでヨーロッパの国境フランクフルトに着いていたら?? 
変更料払っても変えて良かった〜😅
 
というわけで全て結果オーライ。
企業宣伝など滅多にしない私だが「手ぶらサービス」ってのは本当に素晴らしいです。
しかしそんな便利な日本で一層ボケボケ状態になっているので気を引き締めねば! 


* 注: 滞在許可証は普段はなくすと大変なので必要な時以外持ち歩かないようにしている。
外国人は常にも持ってねばならないことになっているが、警官に要求されても彼らは住所氏名からドキュメントにアクセスできるので顔写真と照合され生年月日ぐらい尋ねられて終わりだ。(それもパリ市内で平常時なら滅多にないが)
このマリアンヌ像の入ったチップ入りのカードはブログにも写真紹介済みだった(笑)


内容とあまり関係ありませんが:
これはモスクではありません。旧横浜税関。建築細部も面白い。私大昔に初めて船で渡航した時こんなところを通ったかな〜?
 

2025年1月26日日曜日

若冲めぐり

前々回(12月30日)に書いたオペラハウスギャラリーの松谷さんの回顧展も最終日に滑り込みだったが、先週の日曜日も最終日に滑り込み。こちらは京都嵐山の福田美術館で、私の今の日本の拠点からすぐ近く。しかしこの展覧会のタイトルはとてもとても変だった:
 
 「京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」
 
これってマジ? 私のような者は行く気が萎えてしまうが、これで若い人が呼べるのか??? そういえば昔「絵画史上最強の美少女」とか書いてある宣伝にもびっくりしたが、、、。何でも笑えればいい? 日本国は謎だ。
 
でもこの展覧会に行った人がFBに写真を上げていてこれが「マジ」そうな展覧会で、、、だから自転車で行きました(嵐山は太秦からすぐ。でも表参道みたいな感じのすごい人だからいつも敬遠していた)
 
若冲は綿密な描写の華麗な色彩画で知られるが、この展覧会では水墨画が多く、つまり当然白黒で筆使いも大胆、個人的には私の海水ドローイングも通常のテクニックとは違うとはいえ水墨画の一種(?)だからこちらの方がずっと興味をそそるし、参考にもなる。右写真の魚のうろこ、濃い墨が先で後で細筆でスイスイと墨を吸い取ったのだと思うけどどうやったのかなー? 若冲の発明みたいなこと(=その時代に彼以外できる人はいなかった)解説に書いてあったけど。
 
若冲に多大な影響を与えた清の沈南蘋(しん なんびん)の花鳥画を広めたと言われる、今まで私は知らなかった鶴亭浄光という長崎出身の坊さん絵描き(かつ彼には号が幾つもある)の水墨も紹介されていたが、大胆で非常に面白い(リンクのインスタの最後に7枚目と8枚目)
 
 

 

「激レア…マジ?!」ばかりか福田美術館は客引きに必死のようで、コピーよりはオーソドックスだがファン参加型でかつ副館長さんが「エモイ」なんていう私のよくわからない言葉を使うyoutubeも作っていた。
 
 
 
そしてこの開館5周年という新しい美術館、桂川の名勝渡月橋を眺めるこんな綺麗なカフェもあるのですよー。
宣伝してるようですが、実は「一体ここ何なのかなー」とますます不思議に思ってウィキで調べたら創始者の福田さんは取立てが厳しくて問題になった民間金融業で財を築いた人だとかで、、、
 
美術品の価値は下がらないけど、う〜むですね。
 
 
この若冲展の話を美術通の友達に話したら「相国寺の承天閣美術館の若冲の襖絵も見なさい」と教えられ、早速美術館をググって見ると「この展覧会も終わるではないか!」
いそいそと今日見に行ったのだが、茶具が並び何だか変だ。それもそのはず、私が見たのは去年のこの時期の「若冲と応挙」という展覧会の情報だった! 
でもここには若冲の手になる鹿苑寺(金閣寺)の大書院の一部(壁や畳、床の間など)を復元して展示していて、これは移動不可なので常設。つまりその2つの大胆な水墨の大襖を堪能して戻ってきた。これは撮影不可だったので承天閣美術館を紹介したこのリンクをご参考に。これがいつでもみられるというのはいい!
 
最後に福田美術館にあった変わり者の禅僧の白隠慧鶴(ウィキ)の掛け物「金棒図」 。もうこれ現代美術ですね♪
禅 vs コンセプチュアルアート は面白い企画になると思うけど
 

 そう言えば7年前若冲の代表作パリに来たのです。大人気でした。その時の投稿はコチラ

2024年9月8日日曜日

Pierrick Sorin  ピエリック・ソラン展

Mon opinion notable : 1) Le monde de Soran est dans la lignée de celui de Baster Keaton. 
2) Son travail que j'apprécie le plus reste toujours "Nantes projets d’artistes"

8月末にまたロワール川河口沖の大西洋に浮かぶユー島のKさん宅に4年ぶりにお世話になった。我が愛するユー島へ行くのはフェリーの時間が潮の満ち引きで毎日変わるので鉄道、バスとの連絡が微妙で旅行計画が立てにくいのだが今回はその点ではロス時間の少ない、とはいえサンヴァーの失敗もあったので乗り換え時間もリーズナブルに余裕のある見事と言える計画を立てて悦に行っていたのだが、着いた日と翌日は晴天だったもののあとは天気が悪くて、少し切り上げてナントへ。(ユー島に関する参考過去投稿)

ナントではこれも以前書いたことのある"Voyage à Nantes"というアートフェステイバル(参考過去投稿が夏に行われていて、パリに戻るついでに少し見ようかと思っていたが、プログラムを見るとフェステイバルが9日まで続くのに美術館で開催中だったピエリック・ソラン展の最終日が9月1日、これが回顧展風で芳しからぬ天気の島よりこっちのほうに賭けるかと。。。
 
 
ピエリック・ソランを知ったのはこのブログの最後にリンクした「ナントのアーティストプロジェクト」( Nantes projets d’artistes)という2001年のビデオ。ここでは自分が変装したヨーロッパの新進気鋭の現代アーティストが自分の作品を紹介するTV番組という趣で、いかにも現代アーティスト風の風貌と解説で、本当にできたら面白そうな規模の大きいインスタレーションプロジェクトが紹介される(もちろんTV番組ではモンタージュで実際に存在している)。つまり「現代アート」の自虐的抱腹絶倒のパロディー。でもそのナントにて2011年から街中にインスタレーションのある "Voyage à Nantes" が開催されるようになり、妄想プロジェクトも現代の最新デジタル技術を駆使すればできそうなものもあって、美術館でこのビデオをみていた子供たちは本当にあったことと思ってしまわないか心配になってしまう(笑)

彼はその後、舞台模型とビデオ、ホログラムを掛け合わせた昔のお祭りの「出し物」のようなオプチカルシアターといえそうなものをどんどん発表、それがすべて滑稽な道化的なもので、それで会場にも子供が多かった。すべてに馬鹿を真面目にやる自虐性というのがキーになっていて、その趣はキートン、タチの延長線上だと思う。
 
このオプチカルシアターばかりだと飽きるのだが、今回は宇宙飛行士が月の石を取るところを最終ビデオには見えなくなる黒子さん(実際は青い衣装だった)と一緒に演技するメーキングオブを作品と並べてみせたり、ビデオの見せ方も一工夫している。
 
次は私のインスタから掲載:
 
最初のビデオは覗く窓の後ろの壁に美術館のコレクションからの一枚の絵があり、なんのことだろうなと思って覗くとピエリック君に「あなたが邪魔で絵が見えない」と言われる。これは1989年の初めてのビデオインスタレーション作品のリメイク。
 
2〜4枚目のはやはり真剣そのものにガラス拭き絵画を行っているが5枚目がその裏側で半透明でそこにいる人影なども微妙に正面から見えるようになっている。
 

 

私の彼の好きなところはなんといってもその自虐的なところと工作少年のようなローテク性。
この自虐性というのは謙虚なんて何の美德にもならぬ、自己アピールの強さが問われるフランス(&/or)美術社会で極めて稀な例だと思うのです。
 
全部見ての結論は、、、やっぱり「ナントのアーティストプロジェクト」が一番じゃない? (フランス語しかなくて残念ですが)
 
 
これは本当のTV番組から。彼の作品の大体の感じはわかるでしょう。
 

 

 

これが最高傑作と私が一推しする「ナントのアーティストプロジェクト」Nantes projets d’artistes, 2001


お分かりのとおりソラン展も"Voyage à Nantes”も終了。後者では街を歩いて偶然出会した作品は紹介するほどのものはなかった。

2024年8月5日月曜日

牡蠣の産地のサン・ヴァー紀行

 
フランス北西部、コタンタン地方(最も知られた町は半島の北端のシェルブール)の、Saint-Vaastと書いてサン・ヴァーとしか読まない町の本屋の上のアパート的スペースでグループ展を企画してもらっている。小さな空間に10人ものアーティストで一体どうなるやらと思ったが、私の協力もあり(笑)、上のFBに出したビデオの様になかなかうまく展示された。といっても水曜には私の作品を中心にし(それで私は来たのだが)、3日後の土曜には違う画家にスポットをと、しょっちゅう模様替えをするという変わった形式の展覧会。こういうのが作品販売(もちろんそれが目的)にプラスするのかどうか私にはよくわからないが、私としては夏のバカンスの展覧会で作品が売れるなんてことはほぼ皆無なので、まあ好きなようにやってみてくださいという感じ。 

 
水から牡蠣の殻のかけらを除くのが意外に大変だった
知らなかったけどこの
サンヴァーは2019年にフランス人に最も好まれる町に選ばれるという栄誉を得たらしいが、どうなんだろうなー? 問題はこの「最も」というところ。
普通のレベルのきれいな漁港+マリーナの街に思えてしまうが。
 
今回の滞在の結果で私がサンヴァーに与える好得点は、フランス全土猛暑だったのに涼しかった〜!(天気予報を見るといつもコタンタン半島だけが温度が低い)
それに加えてあるいはそれ以上にここは牡蠣の養殖で知られる地で、展覧会を企画してくれた夫婦宅で最初は牡蠣三昧。生牡蠣に始まって、牡蠣のジュレ(牡蠣はさっと湯通し、牡蠣の殻の中に入っている海水をゼリーにして牡蠣に添える!)、牡蠣とネギのクリームスープ、それに台湾発祥らしい牡蠣のオムレツと、このまま行くとどうなるかというデビューだったが夫婦宅に同宿だった大の料理好きのL君がカスレを作って去った後は普通に戻った(笑)
 
出身地の名物料理カスレを調理中のL君
牡蠣の養殖にメリットがあるのかどうか知らないが、砂の浜辺が浅く長いので引き潮だと牡蠣の養殖の棚があらわになり、沖にあるかつての要塞のあるタティウ島へ歩いてわたれるようになる。この満ち引きのため4輪のついたヘンテコなボートが運行している。 その他タティウ島 (L'ile Tatihou) とサンヴァーに関しては日本語ウィキがあったのでご参考に
 
着いたそうそうオリンピックの開会式についての意見を聞かれ「テレビのショービズの世界じゃないの 」と批判的な意見を言ってシラ〜という雰囲気で始まった滞在だったが、(家の人ばかりか実際滞在中会った人は100パー開会式に絶賛の言葉を惜しまないひとばかりだった。私は盲目か? 「ながら」で見ててもスゴイ時はわかるはずだけど、、、。 困ったことに批判しているのは極右の人たちぐらいしかいないらしくて、、、(私とは理由が違うが)😅)
 
とはいえ皆さん親切だから無事に終わった滞在だったが、最後の最後に〜〜〜
 
港の臨時遊園地のために経路変更となってバス停が変わったバスに荷物を引き引き走ってやっと間に合ったと思ったら、そのバスの遅れで電車に間一髪間で合わず(多分あと10秒早かったら???)、、、
只今一本遅い列車でパリに向かい中(最近はローカル線の特急でもWiFiが使えます)。
 遅れたバスは地方が運営している(財源を割いている)。1.5 € で随分遠くまでいける素晴らしいバスなのだけど、仏国鉄はそのバスの乗り換えが来ようが来まいが全くおかまいなし。これじゃせっかく整備しても公共交通に乗る人少ないの当たり前!(実際仏国鉄の駅まで乗ったバスの乗客は私一人だった。ちなみに仏国鉄サイトでサンヴァーからパリで探索するとバスと電車が連絡しているケースとしてでてきます) 
 
 
しかしこんなことで展覧会しつつ赤字を増やすなんて、つらいな〜(悲) :楽しくバカンスさせてもらったから仕方ないって声が聞こえてきそうだけど、プロフェッショナルたるプライドが許さんです。
 
 

 
後記:会期が終わって本屋から会計報告、結果はしっかり黒字になっていました🎵