さて「キャビネ ドゥ キュリオジテ」風な展示に火をつけたのは1989年にポンピドーセンターを主会場として開かれたジャン=ユベ-ル・マルタン Jean-Hubert Martinの「大地の魔術師たち (Magiciens de la terre)」展(左右写真)(現代アート辞典)。そこでは西欧の現代美術作家と北米インデアンの砂絵、インドのタントラ画、アフリカの民族風な大彫刻と世界中のアーティスト(母国で活動中に限る)の作品が一同に展示された(左右写真)。いわゆる「後進国」のアートの呪術性に呼応するようにリチャード・ロング(ウィキ)やアンゼルム・キーファー(ウィキ)もいつもの作品よりずーっとパワフルな作品を作り、中には当然訳の解らない作品も数あったが、全体にレベルが非常に高い展覧会だった。私の周辺のその頃の作家友達は全員興奮していたが、未だかつてなかった「ごちゃまぜ」企画だったからマルタン氏は八方から痛烈な批判をあび、大変だったらしい(本人の口から聞いた)。今年で15周年、それを顧みる討議会が催されたほどエポックメーキングで、今でも物議をかもしている。
つまりそれ以来「異文化の混合」が様々な形で試みられるようになった。ルーブルやヴェルサイユ宮殿で現代アートが展示されるようになったのもこの系譜である。(当然公式には「混合」ではなく「対話」と言われる)参考:去年の6/15日前後の記事または2008年4月25日とか
ところで火付け役のユベールさんが去年の冬「世界の劇場 (Théâtre
du Monde)」という展覧会をパリで行い、1月の最終日ギリギリに見た。すぐに書かなかったのは、期間後では「展覧会案内」にならないし、昨日言ったような疑問が去来し頭の中がスッキリしなかったからだ。
「世界の劇場」展の起源はオーストラリアの富豪デヴィッド・ウォッシュ David Walshのコレクション。彼は古代から現代、世界中の芸術品を蒐集し、2011年にタスマニアに古・新芸術美術館 Museum of Old and New Art (Moma)を建て、彼が大ファンであるマルタン氏に美術展の企画を依頼した(パリの展覧会は彼の美術館のものを会場に合わして焼き直した)。エジプトのミイラのお棺からビデオアート、勿論プリミティブアートはあるし、昆虫の標本からタスマニアの牢獄の錠とか、何でもありの「ごちゃまぜ」世界。「大地の魔術師たち」では作品がモニュメンタルであったり、小品なら同じ作家の作品が沢山飾られ、それぞれの場所を確保していたが、「世界の劇場」は小さな会場に何百点もが置かれるまさに「キャビネ ドゥ キュリオジテ」で、展示も家具を使ったり、ライトが点滅したり、キューレーターの見せ方(コレグラフィー、振り付け)が目立つ展覧会だった。右写真のエジプトのお棺とジャコメティ、ポリネシアの木の繊維の織物のホールなどは荘厳であったが、ホールの分け方もテーマ別で、、、(テーマ展というのは「普通」ですから)。
「世界の劇場」展の起源はオーストラリアの富豪デヴィッド・ウォッシュ David Walshのコレクション。彼は古代から現代、世界中の芸術品を蒐集し、2011年にタスマニアに古・新芸術美術館 Museum of Old and New Art (Moma)を建て、彼が大ファンであるマルタン氏に美術展の企画を依頼した(パリの展覧会は彼の美術館のものを会場に合わして焼き直した)。エジプトのミイラのお棺からビデオアート、勿論プリミティブアートはあるし、昆虫の標本からタスマニアの牢獄の錠とか、何でもありの「ごちゃまぜ」世界。「大地の魔術師たち」では作品がモニュメンタルであったり、小品なら同じ作家の作品が沢山飾られ、それぞれの場所を確保していたが、「世界の劇場」は小さな会場に何百点もが置かれるまさに「キャビネ ドゥ キュリオジテ」で、展示も家具を使ったり、ライトが点滅したり、キューレーターの見せ方(コレグラフィー、振り付け)が目立つ展覧会だった。右写真のエジプトのお棺とジャコメティ、ポリネシアの木の繊維の織物のホールなどは荘厳であったが、ホールの分け方もテーマ別で、、、(テーマ展というのは「普通」ですから)。
ところでこの展覧会は家に戻って調べた所、「ウォッシュ氏はギャンブル(ポーカー)で財を成した」ということを発見。この事実が面白すぎて、展覧会自体への興味が急激に薄れたことも今まで報告しなかった理由の一つ。
この展覧会についてはこのリンクのブログ(espace-holbein)を参考して下さい。きれいな写真も一杯、ビデオもありますから。
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