2019年12月29日日曜日

バレリーナ、見直したぜ!

 前々回、年金制度改革について触れた掲載で、まあ極端な例として写真付きでオペラ座のダンサーを例にだした。
その後オペラ座職員に政府は「2022年までの採用に関しては現状の特別制度を維持し、改革の対象になるのはその後の世代」という懐柔策を示したが、
踊り子たちは

「俺たちだけよけりゃーそれで良いってもんじゃないんだよ、後はどうなるんだよ、俺たちゃ350年のオペラ座の歴史*を将来につなげる仕事をしてんだ、甘くみるな!」

と(こんなキタナい言葉を使うわけはないが内容的に)キッパリと政府の提案拒絶した。お見事!

抗議のためダンサーはオペラ座前で「白鳥の湖」を踊った

そうなんだよ。今の政府はこういう「あなたたちは損しないから」なんていうハレンチなことを堂々と言いだすから全く信じられない。

そもそもマクロンは「特別制度は不公正=同じ1ユーロの負担金は同じ額の年金に」と主張し、多くの人(私も含め)は「そりゃそうだ」と思ったのだが(だから多数は改正賛成だった)、肉体的にキツイ仕事が高給なわけでは全くないし、その反対に確実に寿命は短い。だからそんな預金制度のような年金は社会的に全く公正ではない。私は全然ポイント制と言われる改革の内容わかっていないのだが、それぞれの仕事の特殊性を考慮してポイントを貯めていく制度なら、先ず現状制度に見合うポイント制を、鉄道員、教員など各特別制度ごとに数年かかって作り(年金が減らなければ誰も文句を言わないだろう)、それを統合すればよい。こうすればダンサーだったけれど、先生になって、最後は電話勧誘のバイトしてと、制度を渡り歩いてもちゃんと年金計算できていいではないか(現代のフレキシブルな仕事形態への対応が改革理由の一つだった)。

素人の私の目にはこんな明らかなことをしない(考えない)のは改革の目的が違うからとしか思えない。つまり政府の目的は「財政」のみ。それならそれで正直に「みんなで損しましょう」と言えばいいじゃないか!(笑)

ちなみにオペラ座は2週間のストで約10億円の損害

* 注:ダンサーの特別制度は自らも踊ったルイ14世に遡る!
 

クリスマスに抗議した白鳥たちのビデオ

 

 参考情報ソース(仏):

2019年12月21日土曜日

ストの空の下

「シャモニー行けないから仕事!」と決意して画材店に海水ドローイング用の特大ペーパー10メートルのロールを買いに行ったら扉に「ストのため閉店」と張り紙がしてあった! おお〜、潔い!

昔の友人から「明後日からパリに行く」というメールがあった。 
私「へーえ、エライ時に来るね〜」
友「今、何か問題があるの?」
マジー???大丈夫かね〜こういうツーリスト。関わりあうのがコワイ。

その後、まあ無事にパリに着いたけど、「メトロなしでは行動範囲が狭くなるので何かアドバイスはないか」と求められたが、、、

策としては、1号線沿いにホテルを変える:1号線と14号線は自動運転なので正常に稼働しているから。さすがにパリは今旅行キャンセルが多いのでホテルは空いているはず。(でも皆同じことを考えるかな?)

それから満員地下鉄の中でのスリの被害が多発しているらしいので気をつけて。


以上ひょっとしたら今からパリに来ねばならない人には役に立つかも。(まだまだ続きますよ〜)
でもなー、アドバイスをきくにはあまりにも遅すぎる。明らかに私のブログさえ見ていないからシカト?というのは可哀想だが、親しき仲にも礼儀ありじゃない? 皆様気をつけてくださいね〜(笑)


郊外の町 Enghien les Bainsでオプティック・アートのフリオ・レ・パルク Julio Le Parc 展をしているのだが、来週にはもう終わってしまう、かつクリスマス前後休みなので、ストの中、昼間だけ動いていた4号線と北駅から特別時刻表(前日午後に出る)を参考に郊外線に乗ったが、意外に北駅に人が少なかったし、リヨン駅の地下通路を通過した時も全然人影がなかった。普通はクリスマス休暇の移動でごったがえしているときなのに、もう一般市民は悟ってしまったようだ。

展覧会の方は本屋でカタログを見て、「すごい回顧展だ、これは見逃してはいけない」と思っていたのだが、初期から今まで少しずつ、小さなものだった(郊外の市営総合文化施設だから当たり前だが)。下はそこで撮った最近のビデオ作品。現在91歳の彼だが、CGも使って制作を続けている。エライよね〜

2013年のディナモ展の頃は知らなかったのが(参考掲載)、今年はウダンの展覧会でアルゼンチン・コネクション(卵の縁)で一緒に展示させてもらいました(参考掲載)。 写真は私のドローイングの前でパルク氏と!(自慢?)

2019年12月19日木曜日

消えたモンブラン

異邦人の私にはいつも憂鬱なクリスマス(家族のお祭りなので)だが参考掲載、今年は画期的プランが! 知り合いカップルがシャモニーに家(アパート?)を借りて、来てもいいというのだ。二人の子供は後で列車でくるので早く発てるなら車で一緒にというものだった。
12月5日から始まった年金制度改革反対のストは今も続き子供の乗るはずの列車はキャンセルになり、結局私は行けなくなった。1週間ぐらい前から予期していたことだけど、残念でした〜。パリに残って何すりゃいいの??? 仕事?(笑)
 
夏のバカンスも水漏れで呼び返されたし、今年はバカンス運がない。秋の「こっそり日本」も木から落ちて、、、スキーは避けた方がよさそうな足腰だから仕方ないか〜

バレリーナは現行では42歳が年金開始年齢!
しかしこの年金制度改革、「このまま老齢化が進むと数年で赤字が膨大になる、また若い世代はいろいろな仕事を転々とするようになり今の制度ではフォローできないので改革が必要」という政府にも最初は一理あると思っていた。そして現状のフランスでは、教職員、一般公務員、国鉄職員からオペラ座のバレリーナまで様々な制度に分かれており、それをそれを一括にするのに一生の間の仕事の報酬に見合ってポイントを貯めそれが年金額のベースになると言うのも、わかり易いのでそれが基本でもいいのではとも思っていた(これでは退職に備えて個人で貯金しているのと同じで、世代間の連帯制度の理念に反するという批判はわかるが)。しかし政府の言っていることははっきりしない。

ポイント制度をそのまま導入すると給料評価の仕方が一般と違う鉄道員や教員は年金が月に数万円減る。だから彼らがストの中心になっているのだが、政府はそういうことが起きないよう、つまり給与・手当の見直しとかポイントの付与とかをすると言う。それは大いに結構なのだが、今と同じ年金が保証されるなら最初の政府の目的に思われた赤字解消はどこへ行った?だし、職種に応じて重労働、危険職務などを考慮してポイントを細かく調整せねばならないなら今までの複雑な特別制度とほとんど同じではないか? 結局何が目的なんだ? 特別処置が期限付きで将来の世代では通用しなくするつもりなら、その理不尽な改革の度にストはまた起こるだろう。

結局全てに平等をもたらす政府が謳うところの「普遍」制度など「理念(イデオロギー)」でしかないのでは。もっとマクロン君らしく(?)プラグマティックに現状制度を改良した方が良いと思うが。色々見聞きしていると数年後の大赤字自体も「仮説」でしかなく、国家公務員を削減することが前提で、そのぶん分担金収入が減るので年金赤字の原因となる。(今現在はそれほど赤字でもないそうで、、、) こうなると何が何だか。左派が批判するように、やっぱり福祉国家解体がマクロンの理念なのかな〜(悲)。

かつ彼が否定したはずの年金受給年齢の64歳への引き上げを(急に)フィリップ首相は固持して全労働組合を反対に回すことになったのだが、バーを引き上げておいて制度改革了承派の組合と後で駆け引きをしようというシニックな策略のようにも見える。(これは極右のマリー・ルペンも指摘していた:初めて意見があってしまった!やば〜)

今まで3週間、そしてクリスマス休暇にまで国民の迷惑になるストをしたからには、もう労働組合には妥協せずに断固闘ってほしい! 経済的に「人並みの国」(つまり米英型競争社会)になる必要なぞないのだ。他国がうまく行っているわけでは全然ない。それどころかいつも言うけどこれでも世界5位の経済大国、リーマンショックの時は他国より安定性が保たれた。フランス型福祉社会を守りましょう。
これは雪山が見れなくなった腹いせではなありません。 私だけではなく今日でも世論調査ではストを国民の2/3が支持しているそうである。(これにはやはりびっくり)

2019年12月17日火曜日

ウダンの小品展

クリスマス休暇を前にして反年金制度改革ストと政府のせめぎ合いの佳境に入った感のある今日(3度目の大規模デモがあった)だが、私はというと先週末今週末とウダンのグループ展に行ってダウン。
ウダン往復といっても、展覧会に私を引きずり込んだ紹介役のG君がわざわざ車で送り迎えしてくれ、お大臣みたいなものだが、すごい渋滞には巻き込まれはしなかったもののいつもより時間がかかるし、朝から夜までだから規律正しくない私には堪える。
そのG君は公務員で週日は仕事があり、ストがあるから車で毎日長時間出勤、今日はもちろん自分の年金のかかったデモに行ったはず。すごい違い。。。

そうこうするうちに新しい展覧会の話も出てきて、、、いつも言うように私は制作は楽しいけど展覧会するのは好きではないから〜、でも相手がOKというなら仕方ないからやると思うけど(笑)

という次第なので今回のウダンの小品展の写真をfb見られない方はここからどうぞ

2019年12月11日水曜日

グラン・パレのグレコ

前回の貨幣博物館の展覧会とは違い、グラン・パレ(Grand Palais)のグレコ(Greco)展の「フランス初の大規模な回顧展」という謳い文句には素晴らしすぎるほど嘘がない。画期的な展覧会!

プラド美術館から、トレドから、イタリア、東欧、メトロポリタン美術館から、、、もちろんルーブルも。世界中の約300点の作家の作品から75点が集められ、グレコらしい特有の色彩とデフォルメの多くの代表作ばかりか、初期のイコン画から数多く注文を受けた肖像画、それに彼が設計した祭壇にいたるまで、彼の全体像が紹介されている。 (グレコについてはウィキでもご参考に)

中央のホールにはワシントン・アートインストチュートから来た、イタリアから彼の活動の拠点となったトレドへ移ってまもなく描いた、代表作の一つの超大作の「聖母昇天」がそびえている。

その横にはこの下の絵の「ピエタ」。
グレコの絵画は「ティチアーノ、チントレットなどのヴェネチア派の色彩とミケランジェロの彫刻性を融合させた」と要約されるが、この強いカラー、そのコントラスト、解剖学的には正しい域を遥かに逸脱した垂れ下がる腕、足、歪んだ(ピカソのように)多視点的とも見える体、顔、、、その集約的な独特な構成が醸し出す不吉なリズムとドラマティズムは優に常軌を超えている。制作年は1580-90年とされるがキュビズム、ドイツ表現主義、シュールレアリズムを300数十年先取りしてしまった!!! びっくりしますね〜。


それが因果でスペイン王フェリペ2世に「祈る気にならない」と退けられて宮廷画家にはなれず(だがその頃プロテスタントから突き上げをくらっていたカトリック教会には人気があったようで、よかった〜)、しかし異色すぎてメインストリームから外れ、かつ18世紀には文化の中心がトレドからマドリッドに移ったこともあり歴史から忘れらてしまった。
そして19世紀末になり印象派やセザンヌ、ピカソが注目して再評価につながった(と印象派やセザンヌにそっぽを向けたフランスが誇っているのが面白い)。
この時代を超えた「ピエタ」は個人蔵で、なかなか一般の目に触れられないものだとか。これ見るだけでもこの回顧展来る価値ありますよ〜。

この「オリーブ園でのイエスの最期 L'agonie de Christ au jardin des olives」(Oracion en el huerto)も、鮮明な色彩、誇張された遠近法、複数場面の画面構成、、、すごいですねー、シュールですねー、わくわくしますねー。


 残念ながら遠くで来れないという方は次のグラン・パレの広報ビデオで行った気になってください(笑)




もう少し長いキューレーターさんの特別ガイドビデオもあります。
私が「ピエタ」に瞠目したのも当然、キューレーターさんも大きく取り上げています。


作品、会場の模様はこちらリンクのページに20枚もの写真がある(最初の写真枠でスクロールする)

しかしこういう展覧会(日本でよくある、例えば「グレコとなんとか」とかいうインチキな展覧会ではない)を見るとパリに住むことでいかなる恩恵に賜っているかとつくづく思い幸せになりますね〜。

2月10日まで グラン・パレにて

昼間っからストでがら空きで、しっかり見れたし。今晩も行こうかな〜♫ (アーティストカードがあるので☺ 気分良くして急に遅らせていた来年の年会費を払いました)

この眼球に差す光もトレードマーク?
常に荒い筆のタッチかと思うと北方ルネッサンス風のこういう厳格なる肖像画もこなした



いずれにせよグレコは長細く引き伸ばした人物像の、単なるマニエリズムの異端画家ではなかった。。。(ちょっと過小評価していた) 「すごいですねー」の連発で淀川長治になってしまった気分です。

2019年12月9日月曜日

パリ貨幣博物館のキキ・スミス

11/23の手抜き投稿のキキ・スミス Kiki Smith、作品は80年代から知っているし名前も容姿も良いので(笑)「超有名」と思っていたが、フランスではそれほどでもなくて今回のパリ貨幣博物館 Monnaie de Paris が初めての大規模な個展らしい。キキさんに関しては日本のギャラリーの紹介(ソース)をそのまま使わせてもらうと:

「1954年ドイツ生まれ。79年のはじめ頃から現在まで、身体の部位に関心を持ち、85年にはより専門的な知識を得るため緊急医療技師の資格を取得している。身体を内外の双方向から同時に洞察し、身体から器官や機能へと興味の対象が向かわせた。
 これまで、「生命の循環」「死と復活」などをテーマに、哲学的、社会的、精神的なアプローチで絵画、書籍、彫刻、ドローイング、版画を制作、またそれらをインスタレーションとして展開。古典的な神話や民話からストーリーが引用されることもあり、人間の本質を探るとともに、動物と人間との関係性について考察している」

まあこれで彼女の作品説明として完璧。つまりある意味「かなりわかり易い」。近年の個を宇宙の一部として捉えるヴィジョンのものは特にそう。80年代は解剖学的、生物的な「女」を、ガラスなどのちょっと一般的でなかった素材との組み合わせで新鮮な表現をしていて(それで頭角を表した)、ちょとギクッとするものもなきにしもあらずだったが、、、。
わかり易いことが悪いことでは全然ないのでそれはいいのだが、主人公は常に女性(彼女自身?)で彼女の具象的なイメージの世界に男性像は出てこない。動物はいっぱい出てくるけど。。。

ところで、というかちょっと本質的な気がしないでもないのは、彼女の父親はトニー・スミス Tony Smithという、公共彫刻も多くてがけたミニマリズムの有名作家で、グーグルすると厳格な幾何学形の作品が沢山出てくる。会場のビデオによるとキキさん姉妹は子供の頃、紙を折って姉妹でミニュチュア作りを手伝していたとか、、、。ちなみにお母さんはオペラ歌手で、妹は写真家になった。まさしく「アーティスト家族」。うらやましいような恐ろしいような家庭環境だが、この親子の作品似ても似つかない。この違いは強烈だと思いませんか? 

座っているのはお父さん本人と思われる

「父親像の全面否定? 男は?」と心配(詮索?)したくなるがこれ以上私にはなす術なし (笑)

さて貨幣博物館に戻ると、「80年代から現代までの100点近くの作品を展示する」と謳われていた割には昔の作品は少なく、大半が2000年代以降の神話的宗教的なテーマの作品。圧巻はアンジェ (Angers) の城にある14世紀の黙示録のタピストリーとそれに影響された20世紀のフランスの作家 Jean Lurçatの「世界の歌」"Le chant du monde" という大連作タピストリーから触発されて現在までに12枚制作したタピストリー(その6枚を今回展示)だろうか。デッサン、写真のコラージュをデジタル化し、それにまた手を加え、それをジャカード織機で織られたもので、版画っぽくもあり、浮世絵あるいは日本の屏風絵的なところもあり、面白い視覚的効果が出ていたと思う。



細部

でもこの展覧会、全体的にはもう一つインパクトを欠いたかな〜。大回顧展みたいな謳い文句と貨幣博物館は空間が面白いのでちょっと期待しすぎたか?

こんなに沢山書いて今更なんだ?…やっぱり父親不在が気になってしまった所為で、、、

彼女は女性を中心に据えてジェンダー問題なんかをテーマにして知られるようになったのだから「何言ってんの」かもしれませんけどね〜。

ブロンズ像とガラスのビーズ。やっぱり昔の方が謎めいていた
男はいたけど精子か〜。確かガラスのも見たことがある(と思う)多分80年代 

結局一押しではないけど(グレコ、ベーコンなんてすごい展覧会開催中なので)、
キキ・スミス(Kiki Smith):Monnaie de Paris にて、来年2月9日まで


 参考:2015年に投稿した貨幣博物館の記事(マルセル・ブロータス展) 一説によるとここでの現代アートの展示はこれで最後だとか

2019年12月4日水曜日

When I’m sixty four - 生まれてもいないのに

昨日「気分を良くし(?)」と書いたが実際にはもっと複雑な気分。ビートルズの歌にあるように「孫」と遊ぶわけでもなく、奥さんも子供もなしのなしなし尽くめ。友達たちが引退し身辺整理をし出す一方で、私はよく言えばアーティストの特権、悪く言えば永遠の幻想で、まだまだやりたいことがいっぱい、それどころか本当の仕事はまだ始まってもいないような、、、。ほんとにこの人生なんなんだ???

フランスを起点にして活動する舞踏家にして映画監督の岩名雅記さん(web site)が「生まれてもいないのに死ねるか」というような言葉をどこかで発していたと思う。昔はピンとこなかったが今日この頃それが切実に感じられるようになってきた。そろそろ膣から這い出せれるか、永遠に外界の光を知らずで終わるか? 正念場のシニア入り!

今朝は春に展示した郊外のウダン(Houdan)に「小品展」* の展示の手伝いに行く。ウダンのグループは私よりもっと年配層が中心で、私が「労力」として当てにされているところがあるのが恐ろしい(笑)* 。 これを思ってもシニアクラブなんかに入っていちゃダメですよね。



Petits formats(小品)は知っていたけど Petits prix(安価)てのは知らなかったのだけどどうすりゃいいの???今日どういう意図か聞かなきゃねー

* 後記:今回は参加者大勢だから各自が飾り付け、エゴイスティックに自分のだけで終わりました 

2019年12月3日火曜日

When I’m sixty four

今日は Will you still need me, will you still feed me, when I’m sixty four ♫
と何度も口ずさんでしまった。

64どころではなく11月に65歳になってしまい、パリの低所得老人は地下鉄バス無料乗車カードを請求できるらしいので区役所に申請に行ったところ、乗車カードは即座にはできなかったのだが、老人カードを作ってくれてパリのプールのリストを貰った。プールは老人無料なんて知らなかった〜。それに年末のプレゼントにチョコレートをくれるというので行ってみると会場では区長さんがいて来場者と握手していた。チョコはA3版ぐらい大きな箱でパリ市特製パッケージ。へーえ、来春は選挙あるしな〜(でも毎年こうなのかな〜?) なんだか急に知らない世界に入った感じ(ちょっとおおげさだが)。
というわけで気分を良くし(?)、帰りの道でビートルズの楽しい旋律のナツメロを口ずさみ始めたわけ *(この歌を知らない方は下のyoutube参考に)

さて日本から戻ったパリは以前より予告されていた木曜の「反年金改正スト」のニュースがまっさかり。当初は仏国鉄職員などが今まで享受していた特別システムが撤廃されるのに反対するものだったが、「黄色いベスト」運動に現れた社会に広く蓄積する不満を広く集めて「無期限ゼネスト」になる可能性大。まあこれは十分予知できたことで、実際私の「こっそり日本滞在」から日曜日に戻ったのは一つにはこれを考慮してのことだった。

年金システムに関しては私はよくわからないので書かないが、退職年齢に関し:
自身の経験および同年配の言うことから明らかなのは、当たり前のことだが、悲しいかな歳をとると体力も知力も衰える(個人差はあるとはいえ)。特に物忘れはひどくなる。だから私は、老人は責任ある任務から退いた方がいいと思う。世の中では(フランスでも日本でも)寿命延長に伴い退職年齢の延長が云々されるが、これは年金制度の会計収支的な議論でしかない。こうして老人の「能力低減」の観点は、会計的には不都合、一方老齢者に侮蔑的であるから誰も言い出さないのでそれを理由に退職年齢延長に反対する人を聞いたことがない。勿論仕事を続けたい人は重要度が低いポストで、、、それよりも社会活動に参加する形で続ければ良いと私は思うのだが。

ところで飛行場で「フランスは治安が悪くて心配だ」と言っている日本人二人組に「心配するならストでしょう。テロに巻き込まれる確率は極めて少ないけどストやデモはほぼ確実に少なからぬ迷惑を皆さん被るでしょうから」と教えてあげたけど残念ながら私の意見を聞く気配はなかった。きっと彼ら木曜以降苦労するよ〜。

* 追記:月曜にラジオをつけたら、仏文化放送はすでにストをしていて、私の好きな音楽ストリーミング(参考投稿)。結構ナツメロもかかるので、ビートルズが浮かんだのはそのせいもありますね。(でも「スト」リーミングのDJは博学的でもう少しマイナーの「軽音楽」曲がかかります。当分続きそうなので日本のみなさんも聞いてみたら:例えばGoogleしてFrance Cultureのサイトに入ってDirectというボタンをクリック)