アートだけではありません。35年以上も住んでしまったパリから、役立つ展覧会案内、アトリエの日常生活、旅日記、それにフランスの政治社会問題など、色々とりあげる、美術作家、坂田英三の正直な主観的ブログです。
C'est un blog d'Eizo SAKATA, un artiste-plasticien japonais de Paris. Les articles sont quelquefois écrits avec son français : cliquez "bilingue" sur la colonne de droite.
フランス人にはなぜか80年代から人気のある画家のガルースト、人に推薦されるけど「見ないで批判はできないか」とポンピドーセンターに出かけたが、やっぱり嫌いなことを再確認(僕の嫌いな人物の描き方をし、僕の嫌いな色使いをし、神話、聖書、ユダヤの律法などを題材に謎めかせる。イヤダイヤダ)。私が無教養だから理解できないのかな? というわけでこれをあっという間に通過してしまったから、ついでに横で開かれている Christian Marclay(クリスチャン・マークレー)の回顧展を見たらこれは「教養なくても」見られて(笑)とても楽しかった。
個展の招待状に使った作品を陶芸家の桐谷さんが買ってくださったのですが、「私の家にあるよりもっと多くの人に見てもらえた方が」ということで、桐谷さんの作品が展示されている舞鶴のSeis × Cine Grullaという映画・イベントホールに送(贈)られ、現在その入り口を飾っています。この作品はドラマールの家の空気を吸って塩の結晶が消えたという「因縁付き」のもので、かつ以上のような経過に小生ちょっと戸惑いもしていたのですが、Seisさんからまさしく「トークショー」を依頼され、「文化の日」にここではプロジェクターも使って、ドラ・マールとピカソ、ドラ・マールの家、私の作品のことなど存分に話させてもらいました! 突然の企画なのに多くの人に集まってもらい、かついつもの私の観客と違って若い人がほとんどで、嬉しくなって話しすぎ、名古屋に帰れなくなって天橋立翌日観光プランと相成りました。
この展覧会には「方向喪失大地図 (Le grand atlas de la désorientation)」という副題がついていたがまさにそのものだった。その技術、構成力はなかなかのもの。映像も使ったインスタレーションの青写真的な感じもするが、現実には不可能なものもデッサンなら可能で一層描かれた世界の基盤が揺らぐ。彫刻、インスタレーションではそうはいかない物の具体性と重力空間の現実にひきよせられるのでその分つまらない気がした。