2022年7月17日日曜日

Histoire de l'œuf たまごの秘話

Pouvez-vous voir la relation entre l'image de droite et celle de gauche ci-dessous ?
Les carrés blancs dans l'image de gauche est en fait des coquilles d'œuf. Le photographe M. Yamamoto a d'abord peint une toile de fond ressemblant à une rangée de cubes, puis il a posé des œufs dessus et pris la photo de droite. En suite, lorsqu'il a retiré les œufs, les coquilles de la partie collée restaient. 
Mais une coquille d'œuf se casse en un carré comme celui-ci ??? 
Si vous allez à l'exposition et que vous lui demandez, il vous dira le "secret de la production". 
Un œuf peut-il flotter, couler ou rester en équilibre ? Plus on lui demande, plus il vous étonnera.
Par ailleurs le lieu de l'expo est un véritable cabinet de curiosités.

上の右図と左図の関係わかるでしょうか?
左図の四角い白は実は卵の殻で。写真家の山本さんはまずキューブの並んだようなバックの絵を描きその上に卵を並べて右の写真を撮影。そのあと卵を取ったところ貼られていた部分の殻が残った。でも卵の殻がこんなうまく四角に割れるか? 展覧会見に行って聞くとそんな「制作の秘密」を物語ってくださいますよ。そもそも卵は浮くか沈むか、バランスよく自然に立たせたりできるか? いやいや聞けば聞くほど大変なものです。
しかしアーティストのこだわりっていったいなんなんでしょうね〜? 感慨無量
 
注:卵といえば私も無関係じゃないのだけどこんな執着ないからな〜 >参考投稿「卵の取り持つ‥」

写真でガラスの額に入っているのでうまく写真撮れないとからダメと思っていたけど彼のFBから埋め込みっていう手があったのでそれで作品紹介。(残念ながら私の好きな鳥籠にはいった卵はなかったけど)
展覧会スペースもただの「本屋」でなく、不思議な骨董類が蒐集されたまさしくCabinet de Curiosités(キャビネ ド キュリオジテ)で見学の甲斐あり。 
よく画廊におられるそうですが連絡とってから行ったほうが無難でしょう
 

”EGGSPOSITION”
YUTAKA YAMAMOTO
Du 7 juillet au 27 juillet
Librairie Alain Brieux 48 rue Jacob 75006 Paris

Site de Mr.Yamamoto : FB Insta

2022年7月14日木曜日

終了間近、完璧なるトワイヤン展ガイド😄

前々回のカルチエ財団の展覧会の投稿で「15分のために15€!」と答えた女性に私が推薦したのはパリ市近代美術館のトワイヤン Toyen 展。彼女は見に行ってごく満足、感謝された(笑)。
この展覧会はかなり私のお気に入りで実は5月に行ったのだが携帯を忘れて写真が撮れず、かつヴェニスの女性シュールレアリスト展の投稿時に予告しながらずるずると遅れ、そのため最近もう一度見に行ったが、またまた大満足だった。でも女性シュール‥の時に紹介した3分でわかる美術史ブログのトワイヤンでは「作品もあまり個性的ではありません」否定的な厳しい評価を下されているのだが、イマジネーション+技術力で全くそんなことないと私は思う。チェコの同胞ではなくエルンストとかシュールレアリストの中心にいる男の恋人になったらもっと有名になっていたと思うな〜(でもあいつら面喰いが多いから、、、)
 
まあそんな下世話な推測はさておき、トワイヤンは1902年チェコで生まれ、プラハのシュールレアリスム運動の中心で活動、戦後47年に共産主義国家を逃れてパリに移住、80年にパリで亡くなった(日本語ウィキで詳しいのでご参考に)。彼女の作品の核は「性」でチェコ語に翻訳したサドの「ジュスティーヌあるいは美徳の不幸」に挿画を描いた頃以降、女性、鳥、魚、猫、狼、貝、闇、霧、壁、漠なる地平などがモチーフのいわゆるシュールレアリスム絵画を描くようになり、時代とともにイメージを更新しつつ最後までそれを貫いた。それができるほど彼女のイマジネーションは豊かだったと思うし、確かな線で捉えるデッサン力がそれを支えた。第二次大戦中隠れて描いていたデッサンは秀逸だ。

ではそこから始めましょう。39〜40年の「射撃 (Tir) 」シリーズ(ウィキに石版画と書いてあったが???)
 



 次の二作はその少し前の37年の油絵で既に危機を予感させる。
 
「Effroi (怯え)」1937年

「La Dormeuse (眠る女)」37年

 これはサドの訳本(32年)
 

どんぐりコロコロどんぐりこ、XXにハマってさあ大変?

 その前はこんな形とマチエールを探求する抽象的絵画だった
 
「Le jardin du lac (湖の庭)」1933年

 戦中デッサンの直後の作品。この壁から出てくる狼が彼女の作品では一番有名か?
 
Chateau La Coste (ラコスト城にて) (サドのお城ですよ)
 
 これも壁から出現 「Relâche (休み)」 43年

壁にこだわる? これはインスタレーション作品になりそう
 
「Le coffre fort (金庫)」 1946年

 
これもインスタレーション用?

「Avant printemps (春前)」45年

パリでも得意なモチーフをデッサンして新たな構想を練った(48年)


 それがこんなになって?(鏡像的なのも彼女のテーマ)

「Nouent et dénouent (結んでと開いて)」1950年

 縦長、横長、いろいろなサイズでシュールします

「La dame blanche (白い婦人)」1957年

「Enfouis dans leurs reflets (反映に埋もれて)」1956年 

「Ils me frôlent dans le sommeil (私の眠りにかすめる)」(部分) 1957年

 
こんなソファー作れば売れそうではないでしょうか

「Les affinités électroniques (電子親和性)」1970年


そして最後は可愛いいエロティシズム。この歯磨きチューブも作れば‥と思うが今やMe tooで✖️でしょう
 
「Reflet de marée basse (引き潮の反映)」1969年

これで懸案のトワイヤン終了! 24日までだしバカンスだしでもう行ける人いないでしょうから今日はごく丁寧にガイドいたしました。これで私も来週から心置きなくエルベ島流しに甘んじることができます(一応仕事ですよ〜)
 
 
追記:この展覧会、延長にもならない、つまりあまり人気なさそうなんだけど、ポスターのイメージの選択を見事にミスったからじゃないかな〜(3月に始まったのに私も最初は全然行く気がなかった)

2022年7月13日水曜日

今日はクールにデゴテックス

会場ではよかったけど写真映えしないですね
暑いですねー。そこでクールな作品。

前回書いたPetrit Halilajをしている kamel mennour画廊の違うスペース(パリ6区内で3つもあります)のジャン・デゴテックス Jean Degottex 展は60年代、70年代、80年代で部屋が分けられて小さいながら彼の軌跡がわかって味わい深い。

難しい作家なので会場にあった説明文の一部をざっと訳してお茶を濁しますと(下線は私):

ジャン・デゴテックス(1918-1988)は、20世紀後半、近代美術と現代美術の間を闊歩した。 叙情的絵画、コンセプチュアル・アート、あるいはミニマル・アート? デゴテックスは同時代の芸術運動と一定の距離を置きつつ、過激なまでに表象を削ぎ落とすという方法を推し進め、特異な軌跡を辿った。

50年にわたる活動の中で、絵画と絵画のカテゴリーに関して問いかけ、極限までミニマルだがその厳格さが感受性に勝るということのない作品を作る新たなテクニックを開発した。

連作を作るのはジェスチャーを繰り返すためというより、その可能性をすべて使い切り、次に取りかかるため。彼はキャンバスの表面、そして裏面への視覚的効果をいくつも生み出す、自然と直接関わる実験的かつ職人的な手法で制作した。

原文は https://kamelmennour.com/media/pages/exhibitions/a-la-ligne/6b42750594-1654771387/2022-jean-degottex-cp-fr-en.pdf

 
写真四枚だけなので@eizo_eyesで。最初が60年台、三枚目79年、最後が83年の作品です。

 

展示スペース写真が一杯ある画廊サイトはこちら 

これも23日まで(上のリンクも会期中だけかも)



 

2022年7月11日月曜日

アーティストにはドラマがなければ (=現代アートの必要条件?)

その一:いつも私に貶されるカルチエ財団の展覧会だが、期待しないで行ったからか今回はそんなに悪くなかった。会場にどーっと幅3m〜5mの大きな絵が並んでいてダミアン・ハーストの時みたいな趣だが、ちょっと風景を喚起させるとも思われる大きなモチーフの抽象画でずーっとスカッとしている。
 
 
作家の名は寿限無寿限無、マダディンキン アーシー・ジュウォンダ・サリー・ガボリ(Mirdidingkingathi Juwarnda Sally Gabori)。聞いたことあります? オーストラリアの現住民アボリジニのアーティストで、2015年に亡くなっていてこれは回顧展。そしてなんと彼女が絵を描き出したのは2005年、80歳になってからで、その9年間の間に2000点を超える作品を描いた! 特有の構成力はあるが、技術的には大したこともなく、アール・ブリュットの類だろうと一瞥して思いつつ、もらったパンフを紐解くと:
彼女はオーストラリア北部のWellesley諸島のベンティンク島に1924年生まれ。45〜47年に相次ぐ自然災害で島に飲料水(井戸?)がなくなり48年に近くの大きな島のモーニントン島の宣教施設に避難させられ、その強制移住が数十年続く(オーストラリア政府は先住民族の権利を長年無視していたから)。同じ種族の夫を持ち11人の子供をもうけたが、2005年、老人ホームに住んでいた彼女は80歳にてアートセンターのアトリエに行き絵筆をとったのだがそこで開眼、その年から画廊で個展、あれよあれよ有名になり2007年にはメルボルンでも個展、13年にはヴェネチアビエンナーレ、ロンドンのロイヤルアカデミーでの展覧会にも出品と、なんかわけわからん夢物語😮
彼女の絵はやはり戻ることのできなくなった生まれ故郷の風景や生活、伝説が元になっているそうで、同族の人にはそれがわかるとか。
 
 


この一番アボリジ的作品は他の島民作家との共同作。他のは簡単すぎて子供の模写には〜
 
 
その二:画廊の地下に入るとフェルト地に拡大プリントした子供の絵が吊るしてある:戦争の悲惨と鳥や花の夢? 地上階のドキュメントはそう言うことだったのか! 元い:
パリの旧ユーゴスラビア(現コソボ)に生まれたペトリット・ハリラジ Petrit Halilajは、1991年から2001年にかけてのユーゴスラビア戦争中13歳のときに家族とともに国を離れてアルバニアの難民キャンプへ。そこでイタリアの心理学者たちが、子供たちの戦争のトラウマを癒すためにサインペンで絵を描かせたのだが、彼は自分の戦争体験を見事に絵にした。彼の絵は医者たちの目を惹き、戦争の悲惨さを訴えるメディアとして国連総長のコフィ・アナンも注目した。
その後ミランの美術学校で勉強し、2015年にはヴェネチアビエンナーレのコソボ館の代表アーティスト、その後現代アーティストとして世界中で活躍しているみたいです(知らなんだ〜:でも見たことあるかも(笑))。
 
 
上の難民たちが兵隊の奥に吊るされています
コフィ・アナンに絵を見せている13歳のハリラジ少年(1999)

こういう人生のドラマのあるアーティストは強いよな〜:世界はそれを求めているので。
またいつもの僻み(?)を言わせてもらうと:原住民キャンプ、難民キャンプの中で絵の才能で注目されるのってそれほどの競争率でないんじゃない?だから2人ともそういう意味では運よかったと思うな(笑)。もちろん私は有名アーティストになるよりのんびり平和に暮らせた人生に感謝しておりますので誤解のないように
正直言うと私はこの程度の芸術的才能はいくらでもあると思うのでちょっと作られた感じがするのだけど、どうでしょうか? 何れにせよ総合評価でお二人ともギリCleared😁
 
友達からカルチエ財団の展覧会のこときかれて「行ってもいいんじゃない。でっかいのがバンバンであなた好きかも。まあ15分もあれば見られるけど」 と言ったら、「一般の入場料15€だよ。15分のために!」とのお答え=稼ぎ人なのに(だから?)しっかりしてる。それもそうだ、美術館行った方がお得です。その点画廊は入場無料、なぜ人があまり行かないか不思議。
 
 
カルチエ財団は始まったばかりで11月2日まで続きます:同展覧会ページ

Petrit Halilajはkamel mennour画廊にて7月23日まで→画廊サイト(写真もいっぱい)
 
 
こちらは最近作った私の美術巡り写真ページです。ビデオがあるのでインスタレーションの様子がわかりやすいでしょう 

 

注:二人の名前、カタカナにしましたが本当にはどう発音するのか知りませんのでよろしく

2022年7月3日日曜日

全然ギリCLEARしなかった舞台公演😞

私としては超例外的に、この2週間に舞台を3つも見た。その中の一つは2014年2/2 の投稿で絶賛したトーマス・オスターマイヤー Thomas OSTERMEIYER 演出の劇、もう一つも私絶賛の14年5/19記のジェームズ・ティエレ James Thierrée (14/5/19記)。
この二つは絶対外せないと3ヶ月前(?)のチケット発売初日からスタンバイという熱の入れよう。トーマス・オスターマイヤーの今度の劇はフランスの今日の小説をアレンジしたもので、ドラッグおよびLGBTの世界で話が進むらしくて俗語いっぱいに違いなく、字幕みてわかる自信ないので(ドイツ語劇なので)本を買って読むと言う予習までして臨んだ。その本がベストセラーで(知らなかった〜)大手の本屋で積んであったのだが、へーえこれがそんなに売れるのか〜、でもなんでこんなの劇にするのかなーと疑問符
またジェームズ・ティエレも自分の作曲を指揮するみたいなことが書いてあってこちらも疑問符 
 
そして見た結果、、、どちらも面白くなかった〜!!!
オスターマイヤー4時間もので幕間に退散。
コヴィッド前に見た、これも以前絶賛したイスラエル・ガルバン Israel Galván参考投稿もひどかったし(友達2人を誘ったので私の評価もだだ下がり)、どうしたことか 。 
 
期待しすぎるとこういうものですかね〜。
 
私が楽しめなかった理由を書けないこともないが、殆どの読者の皆さんには役に立たないのでこれまで。見に行こうか迷っている人は下の備忘録を参考に(とはいえ満席のはずだけど)
 
ちょうどジェームズのご両親の「見えないサーカス」14年5/19記の案内がディスカウントチケットサイトから割引の案内が来たが、来年の6月の公演:ムムム〜(期待するとよくないからな〜、でも「ご両親」の寄る年波を考えると、、、)。 
そのページにあったYouTubeは楽しいので今日はつける写真もないからこれでもご鑑賞ください。
 


この数ヶ月で見た中で一番面白かったのは友達が教える素人芝居劇団(素人ながらそれぞれ個性があって、それに脚本の力が断然La Réunification des deux Corées「南北朝鮮再統合」(といっても外交ではなく男女の話です😄 )、それから2月に紹介したつづれ織の井上さん(参考投稿)の、ウジュニの人生の人形劇の企画プレゼみたいなもの(ここのシーンはこうなってーみたいな説明で空想が広がって大いに楽しめた)。確かに両方ともさほど期待してなかったかな。
 
アーティストとして同じことばかりしてられないので新機軸を試みて失敗てのは仕方ないところだが、見る人の「見たことないもの」を求めすぎる傾向に応えすぎのような気もする。難しいものです。 

と言うわけで結論:9月に名古屋のLギャラリーさんで個展することになっていますが、くれぐれも期待しないで、でも見に来てください(笑)
 
しかしアーティストへの期待ってのはなんでしょうね? 変身? 深まり? 
 
 
以下は読んでもらう必要のない私の備忘録
 
オスターマイヤーはVirginie Despenteの小説に忠実(抜粋といえる)で登場人物のモノローグの連続。モノローグに交互してバンドのグランジ・ロック演奏、その繰り返しで飽きた。何のための舞台化か? モノローグもカリカチュア的な面が多いので、仏漫談士の舞台で結構。
ティエレは弦、吹奏のもいるのに結局は一本調のハードロック的音楽で、、、ジェームズ君それほど音楽的才能ないのでは? この数年の世界に怒った結果か、全体にいつもの空想性がない。実は歌詞があまりわからなくて(90%英語)、会場でもらった紙に歌詞が書いてあったことを帰途にて発見。会場暗くて公演中に読めるわけないし、このほうが字幕つけてもらいたかった。但し歌詞を読んでも全体の評価には変わりなし。
昔はロック少年だったのにもうヘビーなロックは1、2曲で飽き飽き(かつ耳鳴りにも悪いし😢):確かにオスターマイヤーの観客はかなり若く、バンドの時は隣の女の子は体を揺すっていた。