2023年6月21日水曜日

ブルターニュでのパーフォーマンスに至る長き道のり

ブルターニュで展覧会をしていると勘違いされることを恐れてブルターニュの展覧会のことを書かなかったのだが、個展が5月末に終わり6月最初に行った知り合いのオープニングでは数人から「ブルターニュはどうだったか?」ときかれた。「ブルターニュとパリ」としっかりニュースレターのタイトルに書いて案内を出してるのに、どういうことなんだろう? メールの最後まで読んでくれとは言わないが、、、。その後会ったお友達(?)は「ずーと日本だと思っていた」とのことで、もうあきらめを通り越した。

実際3月の名古屋での個展の後、4月9日にパリに戻り、それから4月末まで毎日アトリエで展覧会の準備に明け暮れた。私にとっては例外的な日々だ。ブルターニュには4月28日に出発、イベントが1週間、5月8日にグループ展の搬出、即パリに帰るや翌日に「二人展」への作品の搬入というのがスケジュールだったので、4月中にパリでの展覧会の準備(額装+梱包など)を済まさなければならなかったのだ(私は画材屋のスタンダードの額を買って好きな色にニスを塗ったり、デッサンを浮かしたりということを自分でする:そのほうが安上がりでかつ間違いがないからだが、時間はかかる)。

まあ普段ならのんびり海水ドローイングを乾かせながらやっていればいいのだが、こういう時に限り配達ミスがあったりして計画が遅れ、そんなかんなのプレッシャーで文字通り血圧は上がり、加えて奥歯が割れるというアクシデントで抜歯せざる得なくなり、マリー・アントワネットの如く「パンはブリオッシュ」と超柔らかいものしか食べないのに食生活のバランスが崩れたためか、生まれて初めてひどい便秘になり夜も眠れず、このままではブルターニュに行けないかと観念したのだが。下剤を飲んで数日後になんとかなったが、それでトイレのパイプが詰まるなんてことになって、、、すごいでしょ(キタナい話で申し訳ありません)

で、ともかく無事にブルターニュに出発したが、車での旅中どうなるか心配なのでこれも生まれて初めて大人用の紙おむつをはいた。。。

その後は順調、といってもまともな物は食べれないし、グループ展のアーティスト用の仕出しのバゲットのサンドイッチなんて到底マリー・アントワネットの口にはあわず、、、。 

やっとパリの二人展が始まったと思ったら追い討ちをかけるように抜いた奥歯の反対側の顎にたびたび激痛が走るようになり、特に横になるとそれがひどく、断続的にしか寝られないほぼ不眠状態が何日か続き、飛び石連休中に緊急口腔科に行ったが原因不明、鎮痛剤のグレードがどんどんと上がったが効果なし。知り合いの医師が「顎の神経か筋肉の炎症かも」というので市販の抗炎剤を飲み始めたら効果ありでだんだん眠れるようになった。しかし緊急口腔科とわが歯科医が「これが激痛の原因とは思えない」とした2つの問題箇所は残ったままで、その一つが最近またむずむずと、、、。結局まだ爆弾かかえて生活中。歯や顎のバランスというのは大事です!(今更ですが)

でもすべて真っ暗ではなくて、「文字通り高かった血圧」の方は放っておくには危険な数値だったので二人展が始まるや否や、近くの「ヤブ医者」(というのはインターネットでの採点が非常に低くて、かつひどいコメントが書き込まれていて、そのおかげで連休シーズンにもかかわらず簡単に予約が取れた)にかかって降圧剤を飲み出したら普通にもどり、かつ血液検査の結果もそれほど悪くなく(コレステロールが規定値以上だが良質コレステロールが極めて多いから危険ではないという話。患者への対応が最悪のはずなのにこの先生、一応ちゃんと説明してくれるではないか!だからヤブ医者さんに突如主治医になってもらいました😄 特にこの数年来パリでも南仏でもなぜか医院で測るといつも血圧高かったのに初めて平常値がでたのも快挙でして)

ブルターニュに話を戻すと、これは昨年8月イタリアのエルバ島に行ったAquamour(アクアムール)フェスティバルの第二弾で、ブルターニュ半島北海岸の Val-André (ヴァル・アンドレ)という長い砂浜の海岸のある町で行われたのだが、驚くなかれこの小さな町に行くのは2度目。1度目は2011年の秋で、この年には近くの海岸で猪が何匹もなくなるという奇妙な事件が発生、その原因は農業排水のために富栄養化した湾で大量に繁殖した海藻が腐って発生した硫化水素ガスが原因だった。これを受けて剪定で切られた枝を回収して公園に「翼ある猪」を作った。その時もグループ展があり海岸歩道に面した町営ギャラリーでの展示しており、勝手知ったりで企画のBさんもびっくり(笑)参考:昔のHP

この12年前の作品の「猪」を朽ちるまで何年もキープしてくれた I さんは当時は B&B を経営していたが今や引退、私に滞在中浜辺を見渡せる素晴らしい部屋を提供してくれて、最高の幸せ! 


 滞在後半は抜歯した歯茎も回復し、小康状態で臨んだフェスティバル最後のイベントとして日曜日(6/4)にドローイング・パーフォーマンス。Bさんがパンフレットを作る時「海とのダンスというタイトルで行こう」というから、「いい、いい!」と答えたが、その後ほぼ当日の朝まで何も考えなし。引き潮時に浜辺で海藻を拾い、町のゴミ箱用のプラスチックの袋をもらい衣装を作って即興した。終わって数人に褒められたが、「みんな優しいな〜」としか思っていなかったのだが、D君から撮影・編集してくれたヴィデオが送られてきて、それを見るとなかなか行けている。1度目は私が何をするか見て、2度目は観衆の反響を見るとかなり楽しめるが、皆さんには長いからな〜(8分23秒)。(短縮版も作ってくれたのだがやっぱり物足りなかった:これは私と制作のD君との一致した意見)

最初は展覧会風景で、一応私をフィーチャーしてくれたビデオなので私の飾った3点のドローイングが見られ、2分目ぐらいから私の体を張った(まだ寒かったので😅)パーフォーマンスが始まる。



 

2011年の滞在は旧ブログで連載していた! 記憶力の悪い私は「猪」が I さん宅に行くのにそんな経過があったのだったけ?と今更びっくり。今回の話も10年も経つとすっかり忘れているだろうからブログは私の備忘録としても貴重な存在です😁。

ブルターニュのシンポジウム(1)食卓篇

ブルターニュのシンポジウム(2)作品篇

ブルターニュのシンポジウム(3)考量篇

ブルターニュのシンポジウム(4)人情篇

ブルターニュのシンポジウム(5)飛翔篇

 

参考投稿

3月の名古屋での個展

パリの二人展

昨年8月のエルバ島でのAquamour三回連載してます

 
最後にこれがパーフォーマンスでできたドローイング。こういう機会があっての「余興」なので作品はどうあれ私は楽しめたが、海岸プロムナードで乾かしている間に子供がドローイングの上を自転車で走ったそうで、それを見た人はカンカンだったが、墨が剥がれて斜めに白い鋸型の線がつきアクセントがついて非常に良くなり、このハプニングにも私は大いに満足。