2019年11月24日日曜日

身体より木

昨日は身体がテーマだったが(というほどの内容はなかったが)、樹木間のコミュニケーション能力について書いた本がベストセラーとなり対地球温暖化のエコロなご時世を背景に、一般的には最近パリの展覧会のテーマで目立つのは「木」。

カルチエ財団は「私たち樹木」。ここはいつものとおりよく言えば「博学的」(1/5まで)。改装オープンしたザドキン美術館(かつてのZadkineのアトリエでルクセンブルグ公園の裏にこじんまりと隠れている)は「森の夢想者」というテーマ(2/23まで)。超有名な「近代作家」が中心 * だが、以前紹介した「化学実験」する Hicham Berrada 君やボール紙をカットして「林」を作る Eva Jospin の作品もある。Evaさんの作品は着色されたここのより、SUZANNE TRASIEVE 画廊の"WOODS"(森)展の比較的大きな作品の方が、枝が入り乱れ、灌木に覆われたうっそうとした林を思い出させ迫力。これはまだ今週中まだ続く。


向かい側の同画廊のメイン会場では懐かしい感じのする Jörg Immendorff の個展昔(=80年の"Bad Painting"の時期)ドイツの売れっ子の一人だった彼はもっと漫画みたいな雑な絵だったと思うのだが、腕を上げた(?)のかこれ意外に楽しめた(下写真)。 これも同じく今週中


今日も手抜き記事ですが私の「備忘録」ですのでお許しあれ(メモしないとアーティスト名忘れるので) 

* 注:それこそ有名作家林立状態、マックス・エルンストの「森」も良いですよ見難いところに掛かっているけど(笑) 

後記:何か書き忘れたと思ったら「木」がテーマで知り合いが私の昔の「あぶり出しデッサン」の複製を一枚アミアンで展示してくれているのだった。J'ai oublié d'écrire : une amie organise une exposition dans le cadre du Festival de l'Arbre à Amiens, Une reproduction d'un de mes "dessins Aburidashi" sera là : 15, Mail Albert Ier, du 22 au 29 novembre 

「木を運ぶ人」
 

2019年11月23日土曜日

三体三様

これキキ・スミス(Kiki Smith):Monnaie de Paris にて、来年2月9日まで







Eizo Sakata(@eizo_sakata)がシェアした投稿 -

これ湯浅美浦(Miho YUASA)の欅の木彫:名古屋Lギャラリーにて、
個展は明日までですのでお早めに(?)



これ私(Eizo SAKATA)の「原始の人」
勿論「海水ドローイング」、これはアトリエから一歩も外に出たことがない😞


湯浅さんの個展の作品には私の「サナギ」シリーズに相通じるものもあって、頭の中で二人展を想像した。
キキさんも入れてあげてもいいけど(笑)*

「身体」といえばポンピドーセンターのベーコン(Francis Bacon)。技術も構成も色彩も、全て見事。 かつ展覧会としても充実しているのだが、昔は「切実」に感じられたあのデフォルメが実は今の私には滑稽に感じられてしまったのはどうしたことだろう?
これはすごく混んでいるから木曜のノクチューンの21時ごろから行った方がいいですよ:1月20日まで 

* 注:キキさんは2月まであるのでまた書くかも

2019年11月14日木曜日

新ヴェリブ利用での老翁心的ご注意

私のブログのヒットランキングを見ると18年5月の新ヴェリブの問題に関する投稿が上位なので、そのフォローとして新ヴェリブに関するご忠告を。

投稿から1年半経った今、流石に最近は自転車は簡単に見つかるようになった。

しかし新ヴェリブは以前に比べて使いにくい。最悪は単色液晶画面のハンドル中央にある標識板。暗くて見にくい。昔は自転車を戻した時、ガチャンといれてポートのLEDが緑になってOKというわかりやすさだったが、新ヴェリブはガチャンと入れたつもりでも上手く行かないことが多く、その度液晶画面でどうなったのか見ねばならない。かつその「標識」がわかりにくくて*、これはやっと最近になってやっと気がついたことなのだが、自転車から人が左に向かっている絵はストップ(つまり自転車がちゃんと戻せた)で、自転車から人が正面に向かっている絵は一旦停止(例えばパンを買ってすぐ戻るとか)でその場合はレンタルは継続されている。老眼の私にはこの分かり難さは致命的で、携帯に「一時間以上の使用中です」というアラームが入り始めてわかりその度に電話で「人が自転車を離れる絵を確認した」と抗議していたのだが、毎度罰金(超過料金)を取られた。1度目は仕方がないとしてそれ以降かなり注意してこれである。あほらしくなって余程の時しか使わなくなった。皆さんも使われる時には気を付けてください。

* 注 : 下がその標識。紙の上だと白黒でわかりやすいが、コントラストの低い現実の液晶上では特に昼間がわかりにくい。でもこの記号言語、新ヴェリブのスタート時期よりは改善されており、以前は左の記号でなぞなぞのようであった。お笑いでしょ。 絵なしで文字を画面いっぱいにしてくれた方が余程わかりやすくない? (新旧移行時に工事も満足に進められなかった会社らしい!)

2019年11月10日日曜日

パリの東のアートセンター

ブログも最近あまり書いていないが、舞台関係は皆無。というの実はこの1年以上見るものハズレばかりで、、、。先週見たロボット(メカ仕掛け)と踊るイスラエル・ガルバンなんてひどかったな〜。アーティストは自分に飽き足らず新しい試みをしてみたくなるものだが、昨年末見たサーカス小屋とのコラボも見ていて欲求不満になったし、もうファンやめます。(彼が素晴らしかった時の投稿はこれ)

他にも間違えなさそうと思ったブランデンブルグ協奏曲でのリプリーズのケースマイケル(以前の投稿)もひたすら眠たかったし、でもこれはほぼ天井桟敷の席だったからかもしれないが、日本大使夫婦と隣席するような特等席で見た 杉本博司も美しいけど紋切りで大枚叩いた甲斐はなかった(大使はどうせ招待だろうからうらやましい。冬に来た「能」の時も開幕寸前にさっと移動して座った特等席でも大使がいたので、ひょっとしたら本当にお好きなのかもしれないけど(???笑)。これはパリのホールに能楽堂が組み直されていただけでもちょっと感動ものだったが私には「能」は良し悪し判断不能なので「失敗チョイス」のうちには入っていません:)

加えて月曜日にカルチエ財団で素人芸をお友達に見せているような代物を見させられ(これは知り合いが行けなくなって券をもらったので実害はないけど)、舞台はもう勘弁とおもっていたところ、先日新鮮に感じるダンスを観た!

といっても展覧会の中の2分間だけのプロジェクションで。
これです。

La Minute de silence d'Ohad Naharin from Théâtre de Chaillot on Vimeo.

展覧会そのものは "Le Silence du Mouvement"(運動の静寂)というタイトルでパリの北東20区の区営アートセンター Pavillon Carré de Baudouin で開催中、これがなかなかレベルが高くびっくり。全体にはキネティック・アート的な作品が多かったが、円板が陰から陽に映るDamien Bénéteau の作品は仕掛けが分かっても見飽きないし、単純に見えるがそれほど単純ではない小さな小石が沢山天井から吊り下がってビジターが操作して動かす南ア出身のJustin Fiskeの作品はまさに「運動の静寂」(この二作、画像でも紹介したかったのだがビデオにすると面白くなくて、、、)。ドイツの Karina Smigla-Bobinskの 天井、壁に木炭のトレースを残すヘリウムバルーンは子供はもちろん私も楽しめた(楽しすぎてあまり静寂ではなかったが☺︎) アルゼンチンの Gladys Nistor も巧みに動と静の虚構を構築している。我が祖国(笑)を代表して仏在住の理科大出身の異色作家、砂川さん(Haruhiko SUNAGAWA) がテーマと経歴にふさわしい数学的作品を出品。加えて以前は20区のアーティストの展示が多かったように思うこのセンターでかくなる国際的展示(ビデオのダンスはイスラエルのコレグラフィー)を企画したのが Eko Sato という日本名の人でびっくりした(パリ生まれのハーフとのこと=面識ありません)。








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この20区に隣接する郊外のモントルーユ市はアーティストのアトリエの多い街として有名だがここに1年前にできた Centre Tignous ではモントルーユで制作する5人の女性アーティストが「考える素材」なるタイトルで展示中。文字通り素材がテーマなので金属、石、土、紙の彫刻家がメイン。次の写真はそこでの一風変わったファンタジーがあるMonica Mariniello 陶の彫刻




以上の2つのセンターは公営で入場無料。ともに下町と言える地区での文化政策、立派だと思う。3月に紹介したが20区にはこれは私営財団だが2014年以来Espace Monte-Cristoもあるし、意外にパリの東は充実している。同じ東でも私のいる13区はセーヌ河の南側で市長さんは「ストリートアート」一辺倒だからなー、悲しい(以前に書いたようにストリートアートは時代の潮流であっても芸術的創造性はあまりみられないと思う)

注:ヨーロッパの大都市は(何故か知らないが)概して中心から西に向けて、いわゆる「山手」が広がる傾向が強く、パリの美術館などは中央から西にあると思っていい。東は下町で小さな工場などがあったところにアーティストが住み着くようになったが、最近は不動産の値上がりでお金持ちがそれをロフトにするようになってきた。

今回は写真はインスタにリンクして簡単にと思ったらなかなかやりにくいことがわかった。もっと作品写真を紹介したかったのですがこのまま公開します。

Pavillon Carré de Baudouin  "Le Silence du Mouvement" は12月21日まで

Centre Tignous "Matières à penser" 12月14日まで