2015年9月14日月曜日

ポンピドーセンタのモナ・ハトゥム


女性アーティストは「髪の毛」に執着する人が多い。というか専売特許? 私は最近長髪で(日本人にはとても人気が悪いのだが)、その髪で布を縫ってみたりしたら、そういう女性作家への冒涜にあたるかもしれないと思いつつ、モナ・ハトゥム(Mona Hatoum)の小品を見た。
とのっけから嫌みで始まってしまったが、小品はともかく私はモナ・ハトゥムの大きなインスタレーションが好きだ。天上から吊るされた何百(?)という有刺鉄線とか、黒い羊毛の様に見えるが磁力が吸引する砂鉄でできた巨大なキューブとか、真ん中の四角く織られた絨毯から蛇行して末端の明るくなったり暗くなったりする電球へと丸く広がる幾つもの赤い電機コードとか、彼女がパルスチナ出身ということを知っていなくてもメッセージは「ずばっ」と来る。Simple is Best!(中にはよくわからないのもありますが、、、)

そして今日はここまで。
彼女は有名だから、例えば昔の金沢21世紀美術館の、砂の紋が描いては消される、おそらく彼女の最高傑作の《+ と – 》を紹介している 
モナ・ハトゥム: 出品作家・作品 | パッション・コンプレックス 
とか さっき知ったばかりの彼女の履歴も詳しい
Happy + Art の展覧会のレポート  
を参考にして下さい(とはいうものの会員登録が必要で冒頭の部分しか読んでいないのだが、、、何せ明日日本に発つので)

ポンピドーセンターでのこの「回顧的」な大展覧会は9月28日まで

秋の連休に来られる方の為の情報でした
来られない方には彼女自身が全展示を4分で概説するポンピドーセンターのビデオ

ではしばらくお休みです


2015年9月3日木曜日

マーラにつられてモンテリマ

夏の大デッサンに挑む前に、きっかけは忘れてしまったが「マーラの死」をテーマに連作を描いた毎日のデッサン、5/26〜6/9参考)。頭にターバンのようにタオルを巻き、暗殺されてバスタブにぐったりと横たわる、ダヴィッドの有名な絵の本歌取りである。マーラを殺したのは穏健派のジロンド派のシャルロット(Charlotte Corday)だが、この女性による殺害は謎があるのか(調べたことはないので全く知らない)、女性に弾劾されて然りと思うる男心をくすぐるのか(これは私の解釈)、文学や絵画のテーマになっている。


現代作家で扱った人はいるのかなと検索してみたところ、Andrea Mastrovito というイタリア人の若手作家(78年生、ニューヨーク在住。彼のサイトの、彫刻上にダヴィッドの絵が写されたものが見つかった。鉛筆? 何故左右逆なのだろう、複写?  彫刻との関係は? まさかダヴィッドだからダヴィテ像というギャグではなかろうし、、、で本物を見たいなと思ったら、何たる偶然か、南仏モンテリマでこの夏展示されていた! というのもGさんのアルデッシュの田舎の家への最寄りの駅はモンテリマ、だから彼の誘いにホイサッサと乗ったのであった(8/26記載)

さて、このモンテリマの展覧会は、長く牢獄として使われていた町の中心にある中世の城 Château des Adhémar(アデマール城、主に12世紀に築城) で行われている個展で、城という空間と歴史をお背景にしたサイトスペシフィック(場特有)な展示が試みられている。
かくして例のマーラの砕けた彫刻は城内の壁石がころがる「強者どもは今何処」的光景と呼応し、牢獄になっていた城の母屋(下写真)にはホモが理由で2年間ブタ箱入りしたオスカー・ワイルドが牢獄で知った死刑囚の話を元にし、刑罰の残忍さを訴える長編詩"The Ballad of Reading Geôle"をイラストしたカフェの丸テーブルが複数並んでいるという具合。写真はその丸テーブルの一つだが、テーブル上に新聞が開かれているように見えるが、実はこれはテーブルに直に書かれた鉛筆デッサン。その上に実物の本やナイフ、コインなどが置かれているが、その表面もすべて細かく鉛筆デッサンが施され、新聞の「騙し絵的効果」を一層引き立てている。勿論マーラも彫刻上に丹念に鉛筆描き、つまりMastrovitoは何にでも鉛筆でシコシコと描く作家であった!

上階に行くとカラフルなプラスチック定規で出来たステンドグラス。この定規にも鉛筆デッサン。それから園芸雑誌の写真をこれまた丹念に切り抜いたお庭があり、、、本当にこの作家は細かい仕事が好きらしい。
色々アイデアがあるばかりか、その背後に細かい手仕事があり、加えて何にでも鉛筆で落書きしてしまう無邪気さもベースにあるように思え、所謂「現代アート」とは少し切り口が違うかなと、私はかなり好感を持ったのだが、流石に「現代アート」展、説明パネルには、例えばマーラの作品では「砕かれた彫刻は社会の変動と抗争を表わし、挫折したマーラの夢を象徴する」なんていう言わずもがなのことが書いてあってうんざりさせられた。まあこれは学芸員の所為かもしれないので、目をつぶることにしましょう。(結局ダヴィテと左右反転の謎は判らずじまい)


10月4日まで
ヌガの都、モンテリマに行かれる方は少ないだろうが、リヨンからも遠くないし、アヴィニョンやアルルに行くついでどうでしょう?

(モンテリマ近辺の他の二つのお城でも同時展示しているとのこと。私は知らなかったが、こんな大規模に展示させてもらっているし、NY在住だし、マストロヴィト君、既にかなり活躍しているのかもしれないけど、今後注目です)


Exposition Andrea Mastrovito
Château des Adhémar - Montélimar
jusqu'au 4 octobre 2015

2015年9月2日水曜日

ジョルジュ・サンクからヴィクトル・ユーゴへ

問題多い銀行の展覧会がジョルジュ・サンクからヴィクトル・ユーゴの支店に移動する。両方ともパリのハイバークラス界隈でまさに金融業界に身売りしたように見えてしまうが、、、:(
今回の方がインテリアがクラシックで展示がむずかしい
先週火曜にパリに戻り、水曜はジョルジュ・サンクで梱包、パリでは久しぶりに一日中雨脚が絶えなかった木曜に、ユーゴ店とその近くのミュエット店にトラックで作品搬入。勿論セキュリティのため、二重ロックドアを通って少しずつ作品を入れるから、雨は厄介だった。そしてまた晴れ上がった金曜そして月曜に飾り付け、廊下部分が割り当てられたため今回は小品も展示、昨日の昼にやっと終わった。
日曜には2年ぶりぐらいにナノ・キーボードを取り出して替え歌のアバアベ・ソングを制作。これは完全には終わっていないのだが、やっぱり8月30日でないとと、不完全ながらアップロード。かつ大変なミスもあった!修正しません。坂田英三に完全という文字はない。

銀行の展覧会、過去の関連投稿 
6月7日 パッションより本職 
6月14日 銀行での展覧会