当時のサーカスのスターの落下事故を伝えることになったガストンのルポ写真 |
アートだけではありません。35年以上も住んでしまったパリから、役立つ展覧会案内、アトリエの日常生活、旅日記、それにフランスの政治社会問題など、色々とりあげる、美術作家、坂田英三の正直な主観的ブログです。 C'est un blog d'Eizo SAKATA, un artiste-plasticien japonais de Paris. Les articles sont quelquefois écrits avec son français : cliquez "bilingue" sur la colonne de droite.
2022年2月23日水曜日
写真は難しい。。。(ガストン・パリ展など)
2022年2月14日月曜日
人生のつづれおり - Mayumi Inoué 展
楽譜のつづれ織り |
人生はつづれ織り、嬉しいこともあれば悲しいこともあり、、、なんて口ずさんで帰ってきて歌詞を見たらキャロル・キングの「タペストリー」は全然そんな簡単な歌ではなかった(曲の出た71年頃の日本のラジオ番組ではこんな風に紹介をしていたと思うけど〜)。彼女の曲は素朴な歌詞が多くて中学英語で大体はわかるのだがこの曲はもっと寓意的で、、、聞いてもよくわからなかったはずだ。(アルバムは当時大ヒットでよく知られている曲が多い。「タペストリー」はタイトルソングだが、シングルでもなかったのであまり聞かなかったけど←自己弁護)
それはさておき私にこの曲を思い出させたのは織り込まれた写真はウジェニの息子 |
これも楽譜から:こういう読めない方が私の趣味 |
だからウジェニさんが箱の中に「紙」をいっぱい貯め込んでいたのはわかる。でも「髪」が入っていたというのは私にはかなり不思議なのだが、井上さんは癌の化学治療をする人の髪で織った作品もあって(「いのちの糸」プロジェクト) 、、、これは私にはちょっとヘビーすぎ)、そうでなくても「織り」の行為は私には自分の羽を抜いて夜中にカッタンコットン「鶴の恩返し」、自分では絶対しない忍耐の世界で苦しそう(想像しすぎかな?)
他には使われた楽譜を織ったものも。音符が踊っていると少し気が弾みますが、これでキャロル・キングになったのか? ちゃんと歌詞を読み直して信頼できそうな和訳を見ると閉じ込められていたウジェニが解き放たれたこととの類似性があると解釈できないこともないから私の「鼻歌」は正しかったのかも**(笑)
テクスチャー作家は沢山いるが(ほぼ女性、男性もたまに)、布とか糸、自然素材(蔓とか髪の毛とか)、最近はプラスチックゴミとか、様々な素材を使え、コンテクストに合わせられて結構現代美術しやすい世界 * だが、作品としてはぐちゃぐちゃと糸が絡まる増殖的でのめり込み型のものが多い。それに対し井上さんの作品はシンプルで、使った素材の由来ともある距離を置いたクールなストーリーテラー的なところが私は気に入った。(私の意見は主流派じゃないので逆にそれが弱点かも。まあまだまだ発展されるでしょう:若い人は羨ましい←またまたエイゾウのブルース)
展示スペースは画廊ライブラリーといっても書籍と独立していて、地上階に地下と規模も大きく40点もの作品を展示中。3月19日まで続く。でも水曜と土曜しかここは開かないですって。
「星の王子様」 |
インスタレーションも |
galerie librairie IMPRESSIONS - 17 rue Meslay 75003 Paris (01 42 76 00 26) にて
3月19日までの水曜(18〜21時)と土曜(14〜20時)
samedi 19 mars 2022 à 19h avec Jean-Marie Lorvellec (comédien)
Une histoire qui explore pourquoi une couturière du XXe siècle nommée Eugénie, nous a laissé ses cheveux.
2022年2月9日水曜日
アート、不亦楽乎(また楽しからずや)
Sujet : L'art, c'est un plaisir - Mes impresions du Mail-Art de Jean-Charles Boilevin et des dessins récents d'Alejandro Marcos
友達のジャン=シャルルからこんな年賀状が届いた(ボナネ2022 *と読める)。ピクニック用の紙の皿に幾つも切手が貼ってあるが、仏郵便局の本物の切手はどれなんだ? 見つからないのだけど、、、(本当にないのかも。メール・アーティストはどこまで送れるかという変なリミットに挑戦する人も多い)**。中央に真ん中のエティケットに私の宛名があり個人的メッセージはなし。裏側には彼の住所と「あなたはどのようにメール・アートが好きか?」というメッセージがスタンプされている。(表裏、他のスタンプいろいろ)
紙皿、折り曲がりもせず汚れもなくよく着いたものだ。それだけで ☺ |
楽しいね〜、ジャン=シャルル君! 考えてみると「最近私は楽しんでないなー」。展覧会して、結果のでない販促をしてみたり、自分で自分の首を絞めているみたい。楽しいことは作ることなのにー。彼はアートの勉強して、初めて会った時はインスタレーションをしていたが、その後介護士の資格を取って田舎で奥さん子供と暮らし、「書く」ことと「メール・アート」が彼の表現手段 ***。
メール・アートはいっとき流行りで展覧会がよくあり、誘われたりもしたが、書簡がEメールにとって変わられ、郵便代も高くなったし、、、そんな逆風で廃れたのかあまり耳にしなくなった最近、意外にその逆に、バーチャルでない「もの」の交換という復権行為で大きくカムバックする可能性もなきにしもあらずか。 郵便局も「みんなでメール・アートしよう」というPRしたらいいのでは?
注
* 発音表記です。本当はBonne Annéeですので日本の方は真似しないように
** ジャン=シャルルからの返答 「そう言うこともするけどこれはちゃん切手あり」真上「NA」の左の「天体」切手とのことだが郵便局員もアホらしくなったのか消印なし(笑)
*** ジャン=シャルルはブログで彼に届くメール・アートを紹介している:http://ruedesabeilles.blogspot.com/ 皆さんも上の写真の住所写して出したら喜ばれますよ。
展示されていた「失楽園」シリーズは両面なので二重ガラスに挟まれていてうまく写真撮れませんでした |
この展覧会(パリ14区)は終わってしまったが、頼めばまだ見ることが可能らしい。ご希望の場合はまず私にご連絡を
注
* アレハンドロさんのフルネームを出して、時々出てくる隣人の「Cおばさん」の名前を隠すのは変なので書きますと、彼女はCristina Martines。11月のHoudanのグループ展でも一緒に出展しています
** 参考記事 2021年11月 素朴なアール・ブリュット
2022年2月5日土曜日
Imaginary retrospective show (空想回顧展) 1990-1991 "Fiesta"
Description 🇫🇷🇯🇵🇺🇸 below
"Correfoc" acrylic on canvas, 1990(?) 150x120cm |
"La naissance de Venus" acrylic on canvas, 1990, 58.5x89cm |
"Correfoc" acrylic on paper, 1990(?) ?x?cm |
"La Patum" acrylic on canvas, 1991, 72x83cm |
"La Patum" acrylic on canvas, 1991, 64x81cm |
"La Patum" acrylic on canvas, 1991, 146x114cm |
"Fiesta - blue & yellow" acrylic on canvas,1991, 54x65cm |
"Fiesta - green & orange" acrylic on canvas, 1991, 54x65cm |
"When the music starts" acrylic on canvas,1991, 64x81cm |
"correfoc" print, 1991, 34x34cm(=plate size) |
🇫🇷 Eizo SAKATA allait travailler régulièrement en Catalogne pendant quelques années. La série de "La Fiesta", qu'on présente ici, est un fruit de les premières années de ce séjour. En fait il a trouvé là-bas une grande source de sa création: la fête du feu. En Catalogne il y a des fêtes tout à fait traditionnelles, pourtant longtemps opprimées sous le régime de Franco et reprises de nouveau, elles ont impressionné Eizo par leur fantasme tout à fait pyromaniaque.
A "la Correfoc de Barcelone", les dragons défilent accompagnés par les diables en lançant et crachant du feu aux gens. Certains osent s'approcher tout près d'eux et prendre la douche brûlante. Ainsi on court avec le feu (en Catalan, corre-courir et foc=feu).
A "la Patum de Berga", les diables ou les monstres aux bi-cornes couverts d'herbes vertes, s'installent parmi la foule bien serrée dans la petite place. Bien entendu les cornes servent à lancer du feu. Ici on ne pourrait pas courir pour échapper à la pluie de feu, les gens s'entassent et marchent par saccades avec la musique joyeuse.
Ainsi se déroulent deux fêtes qui ont laissé des empreintes très fortes à cet artiste étranger. Au lendemain de "la Correfoc", il a tout de suite commencé à dessiner les protagonistes de la fête dans la vague, qui aussi provient de l'héritage catalan sans doute, c'est-à-dire celui de Gaudi. Par contre il lui a fallu des mois avant de fixer son impression de "la Patum" sur la toile. Dans ces deux cas, on pourrait remarquer son grand intérêt pour l'art primitif, notamment celui de l'océanie. Il a appliqué cette approche picturale pleine de mouvement, d'énergie et de gaieté, à divers sujets de Botticelli au rap, durant les années '90-91.
Depuis, lassé de la fête probablement, il recherche une nouvelle voie qui pourrait véhiculer ses messages plus personnels souvent symboliques, en développant le dynamisme qu'il montre dans cette série. Enfin cette série est décidément la plus joyeuse, la plus optimiste, aussi la plus décorative parmi ses oeuvres.
🇯🇵 坂田英三は、何年もカタルニアへ定期的に制作しに行っていました。ここで紹介する「フィエスタ」シリーズは、この滞在の最初に生まれたものです。彼はカタロニアで大きな創造源となる「火祭り」に出会います。カタロニアには、フランコ政権下で長く弾圧され、その後復活した伝統的な祭りがあり、その火祭りのファンタジーに彼は感銘を受けました。
コレフォック Correfoc では、悪魔を従えた龍が人々に向かって火を吐き出します。観衆の中にはあえて龍に近づいて熱いシャワーを浴びている人もいます。こうして火と一緒に走るのです(カタルーニャ語ではcorre=走る、foc=火)。
パトゥム La Patum de Bergaでは、緑の草に覆われた2本の角を持つ悪魔や怪物が、小さな広場にぎっしりと詰まった観客の中に陣取っています。もちろん角からは花火が噴射されます。ここでは火の雨から逃げることはできず、人々は楽しげな音楽とともに押し合い揉み合います。この2つのフェスティバルは異邦人アーティストに強い印象を与え、コレフォックの翌日からさっそく祭りの主人公たちを渦の中に配置して描き始めました。その波と渦のモチーフはカタロニアの天才建築家ガウディからの影響もあるのかもしれません。その反対に「ラ・パトゥム」の印象をキャンバスにするアイデアを得るのには数カ月かかったといいます。いずれにせよ、原始美術、特にオセアニアの美術に大きな関心を寄せていることがわかります。作家は90年から91年にかけて、ボッティチェリからラップまで、さまざまな題材に動きとエネルギーと陽気さに満ちたこの絵画的アプローチを応用しました。
その後、フィエスタに飽きたのか、彼はよりパーソナルで象徴的なメッセージを伝える新たな方法を模索し、このシリーズで見せるダイナミズムを発展させていきます。このシリーズは、少なくとも彼の作品の中で、最も愉快で、最も楽観的で、最も装飾的な作品であることは間違いないでしょう。
🇺🇸 Eizo SAKATA had been working regularly in Catalonia for several years. The series of "La Fiesta", which is presented here, is a fruit of the first years of this stay. In fact he found there a great source of his creation in fire festivals. In Catalonia there are very traditional festivals, which were oppressed for a long time under Franco, but which have been revived and which impressed Eizo with their pyromaniac fantasy.
In "Correfoc", the dragons parade accompanied by devils throwing and spitting fire at people, some of them daring to approach them and take a burning shower. Thus one runs with the fire (in Catalan, corre=run and foc=fire).
In "la Patum de Berga", the devils or monsters with two horns covered with green grass, settle down among the crowd tightly packed in the small square. Of course the horns are used to throw fire. Here one could not run to escape the fire rain, people pile up and walk in jerks with the joyful music.
This is how two festivals take place that left a strong impression on this foreign artist. The day after the "Correfoc", he immediately began to draw the protagonists of the festival in the wave, which also comes from the Catalan heritage, without doubt, that of Gaudi. On the other hand, it took him months to fix his impression of "la Patum" on canvas. In both cases, one could notice his great interests in primitive art, especially that of Oceania. He applied this pictorial approach, full of movement, energy and gaiety, to various subjects from Botticelli to rap, during the years '90-91.
Since then, probably tired of festival, he looks for a new way to express his more personal and often symbolic messages, developing the dynamism he shows in this series. Finally this series is definitely the most joyful, the most optimistic, also the most decorative among his works.
2022年2月2日水曜日
ベルガのパトゥムと英三が悪魔になった理由
The main theme: La Patum de Berga - the reason why I became a devil
バルセロナおよびその近郊にはCorrefocコレフォックという秋の「大祭」(あるいはMercè メルセ(聖母)祭)というのがあって、パトゥムと構成はかなり似ているが、大都市だけにスペクタクル性が増し混沌性が薄い。とはいえ初めてコレフォックで大きな龍たちが火(花火)を吐きながら行進し、人々が火の粉を浴びながらもそれを阻もうと壁を作る(かつこれは誰でも参加できる)一種混沌とした夜祭を経験した私はかなり興奮(そもそも火に弱い - コレフォックは文字通り「走る火」を意味する)、以来即私はこの祭りのファンになり毎年9月にバルセロナ詣(笑) そのきっかけを作ってくれたのは86年のドーヴィルの浜辺の版画インスタレーションを手伝ってくれたノルマンディのA君で、彼がバルセロナ近郊の村に見つけた旧司祭宅を改造したレジデンスを見つけ、版画工房があったので喜んでそこに行った。その頃の私の作品のメインは室内ですると焦げた野菜果実の匂いが立ち込める炙り出し、それに版画、かつ普通の銅版でなく版によってプレスの圧力を変えねばならぬテクニックを使っていたので、ほぼ1人でプレスを独占できるのは至上の喜びだった。ある日コレフォックの冷めやらぬ興奮をドローイングにしていたとき、近くの地方都市G市の文化局で務める人がそれを見て町のコレフォックのポスターに使いたいと言い出し、「ご自由にお使いください」。そのお礼としてそのG市の悪魔隊の名誉隊員となり祭りに参加する栄誉を得たのであった。
中央がG市のラモン(だったかな?)さん |