以前から「アーティストが展覧会をするのにペイされないのはおかしい」という私としては当然の議論があって、「展示報酬権」なるものが去る12月より認められた*。とはいっても今のところおそらく美術館とか公のアートセンターで適用されるに過ぎない。私はかなりびっくりしのだが、聞いてみるとパレ・ド・トウキョウなどで活躍していた若手アーティストなどは「させてもらえれば認められたことになる」からと自腹を切っていたらしい。やっぱりアートは幻想の世界? 私はというと意外にリアリストで、そんな自分の首を締めるような(そのために稼ぐための仕事をする)ことは絶対しないのが原則でずーっとやってきた。特にインスタレーションの仕事は「その場その時」限りの仕事なので主催者からの予算がつかないと絶対しなかったし、パリの遠い郊外のガニーでの展覧会でも自分にはほとんどメリットがないからと断るつもりだったらペイしてもらえた。そんな私が約2mの大きなドローイングを飾りたくなって(「壁がぴったり!」)と原則を破って参加したのが上記、クローズされた「蜂の巣」のグループ展だった。
話を戻すと政府の最初の発表は「アーティストはその『展示報酬』の契約に従って補償される」というもので、「あーあ、原則破ってはいけなかった」と反省したものであるが、それではほぼ100%のアーティストが救われないことが政府もわかったのか、3月は昨年の3月の収入に基づいて補償金を出すと発表。「やっぱりゼロか〜」と思ったけれど一応昨年度の月別所得申告** を見てみたら3月はデッサン一枚売れて500€の収入があった!(4月はもっとある!!)*** ロックダウンで仕事がなくなった給与所得者は、政府が大量解雇を防ぐため「臨時失業」ということで確か月給の8~9割の手当がもらえたはず。なので400€でも大助かりだと思っていたら500€入金された!!! 加えて公団住宅から来た5月のアトリエ兼住居の家賃の請求書が寝耳に水の25€!(これは請求額以外に何も書いてないので緊急時で家賃が分割払いになったのか、本当に割引かれたのか不明、というか嬉しくて調べる気にならない)*****
家賃ほぼゼロ、外出禁止で交際費(?)皆無だから十分行けそうと、エコノミーで現金な私、「腐ってもおフランス!」と大感謝:(あまり褒めてることにならないか?)
まあ隣国のメルケルさんは何も言わずにアーティストに一律5000€だからなー。でも上を見てはキリがない。お国の懐事情が違うから私は理解いたしますし、以前書いているように私のアーティスト生活はフランスでなければ成り立たなかったかも****。 だからマクロン君にもフィリップ君、悪口言っても感謝してまっせ(個人的にではなく、おフランスに)。
最後にまた「蜂の巣の展覧会のビデオ」。日本語、英語、スペイン語字幕も付けました。
展示は6月中旬に撤去すれば良いということなので、状況によっては再オープンできるかもというのが日本語だけで書く最新ニュースです。