2023年10月25日水曜日

プレゼの上手のダニエル・ビュラン

Résumé : Hier matin, dès que j'ai vu le ciel bleu. Je me suis dit : Il ne faudra pas rate ça ! Je me suis donc précipitée pour voir la grande installation de Daniel Buren et Pistoletto. Car, avant-hier, j'ai écouté Daniel Buren interviewé à la radio à l'heure du déjeuner. En fait il présente son travail toujours à la manière excellente. Sur place c'est ni plus ni moins que ce que l'on imagine : il me fait toujours marcher par son discours et par les photos :)
 
最近のパリの日の出は8時半ごろだから我が地下アトリエは遅くまで真っ暗でちっとも起きる気がしない。かつ夏から一気に晩秋になって雨混じりの曇天が多いから余計。
 
それが昨日は起きたらすぐ青空が見えた。「今朝を逃したらもうないか!」といそいそ出かけたのがダニエル・ビュラン Daniel Buren(日本語ウィキ) とピストレットPistolettoの二人の大インスタレーション。 というのも一昨日のお昼にダニエル・ビュランがラジオのインタビューを受けていて、なんかとても素晴らしそうだったから。かつ午前中、色ガラスから陽光が差し込むのを見計らっていくに越したことはないとわかったから早速行ったけど、ダニエル・ビュランさん、話にユーモアもあるし、いつも本当にプレゼがうまくて、彼のコンセプトのinsitu(場所特有の空間芸術)の現場に行かなくてはと思わされる。しかしその現場に行って感じたのは「こんなもんでしょ」。つまり想像した以上でも以下でもない:従って想像力ある人は行く必要がないでしょう(笑)
しかし顔を輝かし私に同意を求めるような目線を差し向けるおばさんたちもいたから想像力に自信のない人はどうぞ。(でも今から最終日の日曜までに美しい太陽光線が差し込むことはもうなさそうだが)
それとインスタ好きの若い子たちにも受けていた。
写真映えするんだよな〜、これで何度ビュランさんに騙されたことか!
それでいて何度も騙されても見てしまう:つまり私はこう言いながらビュラン先生を尊敬しています。
 
 
そのあとここまで来たから近くの近美でニコラ・ド・スタールでもと思ったら長蛇の列、服飾美術館も回廊に列をなし、それなら日光浴がてらとヴェリブでセーヌ河沿いにオルセー美術館までサイクリング。そのオルセーの長蛇はゴッホ展の所為かすごかった〜。「芸術の秋!?」 そう、世の中万聖節の学校休暇でしたー。そのとばっちりで私のいつも使う地下鉄14番線は集中工事のため2週間全線閉鎖:それで違う線に乗るためオルセー美術館までサイクリングしたのでした。
 

いつもはお役所のPalais d'Ienaで、10月29日まで (アートフェアのおまけで超大手の画廊がスポンサー)

すぐ行って見たくなるような美しい写真を見たい方は美術雑誌のこのページでもご参考に 

私の聞いたラジオインタビューはこれ

ビュラン先生のことは旧ブログで何度も書いていたが、例えばグランパレのダニエル・ビュラン(今読んだらほとんど同じこと書いていて失笑)

ピストレットさんはよく分からないのだけど2013年に何度か連続掲載してます(もしくは右の欄でブログ内検索してください)

2023年10月16日月曜日

フランソワ・シェニョー&エメリック・エノーの生のパワー


土曜日に久々にすごい舞台を見た。「フランソワ・シェニョー François Chaignaudは素晴らしくて過去5回全ての出し物を見ている」とCさんが言うだけのことはあった。おったまげた!
 
ダンサー兼振付のフランソワ・シェニョーはタップダンスをベースにして打楽器のリズムを床を叩いて発しながら、共演のエメリック・エノー Aymeric Hainaux は自らヒューマン・ビートボックスと呼ぶように、体がリズムマシーン、色々なリズムの音を口から発してマイクに送り込む。その二人の舞台 "Mirlitons"(葦笛?多分ここは騎兵帽と言う意味か???)。劇場サイトから借りた上の写真のように原始の部落のシャーマンの踊りのような儀式っぽいパーフォーマンスだったが、凶暴ともいえるリズムで春の祭典のような神に祈るようなリズムとダンスであり、二人の体を張ったバトルでもある。二人とも1時間ほぼ踊りっぱなし歌い(?)っぱなしで圧倒された。でもそれも一本調子ではなく、展開がすばらしく推考されていて、、、いじけ批判の多い私もこれは満点です!!
 
「皆さん見てください」といってももはや満席で空席待ちしかない。
もし席があったら、床に座布団で二人の踊る3x3mぐらいで高さ10cmぐらいの中央の「台」を囲んで座るので、かぶりつきが推薦。

公演後すぐに気さくに衣装の説明をするエノーさん
公演後Cさんに挨拶する(?)シェニョーさん
 
私の見る限りネットにこの公演のビデオなし。 
いつか日本に行くといいですね(シェニョーは赤児麿と公演してるからすでに行っているみたい)
 
公演のあったのはボビニー Bobigny というパリのそれこそ貧民層の多い郊外の街なのだが、そういうところにシアターを作って、この舞台のような誰にでもアピールする公演を組んでも結局観衆のほぼ100% はパリから。そう言う意味では残念ながらフランスの社会的文化政策の失敗を絵に描いたよう。とはいえ「その問題=文化的アパルトヘイトをわざわざパリから来る観衆に明らかに見えるようにしていることに多少は意味があり」とするしかないだろうか。 

2023年10月9日月曜日

自由な82歳 リチャード・タトル

自分の展覧会があると「滞在許可書」どころか人の展覧会になかなか気が回らなくなる。金曜に自分の個展が終わって早速いったのは Galerie Lelong の Richard Tuttle, David Nash, Barthélémy Toguo という三人の有名アーティストの展覧会。
 
その中で82歳のRichard Tuttle、たゆまぬ開拓精神旺盛で光っていた。細長くて写真映えもよくないが、何がいいかと言うと、、、一番は私に「もっと頑張らなくっちゃダメよ」とはっぱをかけてくれること(笑)Les presses du réel という出版社サイトの作家紹介文がよく的を得ていたのでDeepl Traductionで自動翻訳しましたのでご参考に:

Richard Dean Tuttle リチャード・ディーン・タトルは1941年ニュージャージー州ラーウェイ生まれ、ニューヨーク在住)。最も特異な現代アーティストの一人。彼の作品は分類を逃れ、彫刻、絵画、ドローイング、インスタレーション、版画の境界を曖昧にする。1965年にニューヨークで初めて個展を開いて以来、リチャード・タトルは非常に自由で型にはまらない、常に進化し続ける活動を展開してきた。ミニマリズムの極端な厳格さから逸脱した彼の彫刻は、その素材や構成においてある種の脆さを帯びている。タトルは、オブジェや空間との関係に対する私たちの理解を変え、彫刻の概念を微妙に再定義することに余念がない。リチャード・タトルは、様々な素材を巧みに使い分け、厚紙、金属、木、紙、テキスタイルが詩の言葉や楽譜の音符のようになるような個人的な語彙を展開している。彼の彫刻は、参照や解釈がないことも特徴である。



部分


全体の展示はこんな風。作品タイトルはアルファベット(一番上のはN、2番目のはL、次のはPというように)で順に並んでいる 

 
へへへ、なんか作りたくなってきませんか?
 
急いでいった土曜は最終日、つまりもう終わっています。 
 
タトルに比べて他の二人は、それなりにファンを満足させるでしょうが「いつものことやってます」という感じでした。



2023年10月7日土曜日

なんだこの老耄日本人は?

とパリ警察庁で思われたに違いない。 
 
まずは自分の命より大事な(笑)10年カード(滞在許可書)なのに、うかつにも期限が近日中にきれてしまうことに気付いていなかった!(社会保険局に新しいカードを催促されるまで考えもしなかった:展覧会続きだったからな〜)
 
カード更新手続きは最近はネットですることになっているのだが、期限に近いと受け付けてくれず(最初は役所サイトの不備だろうとおもったのだが、、、)警察に出頭せねばならなくなかった。普通は数週間は待つのがキャンセルが出たのか奇跡的にすぐにアポがとれた。個展最終日で画廊に行くはずだったがそれどころではない。焦って警察に駆けつけ、現在のカードのコピーを提出したら、不覚にもその裏面に違うものが印刷されていた!(私はエコ=ケチ精神でいつも通り両面使っていた) 
 
「しょうがないな〜」と言う感じで受付の黒人の兄さんが事務所に入ってコピーしてくれたが、続く手続きの窓口で持参の家のプリンターで印刷したポートレート写真を出したら担当となった優しそうなインド系のマダムは「なんかペラペラじゃない」と言いつつもそのまま写真を用紙に張り出した。警察の対応は窓口の人で全然変わる。つまり彼女に当たってラッキーと喜んでいたのだが、それをチラッと見た隣の窓口の「いわゆる」フランス人ぽい男性が「公式文書を軽くみちゃあかん。こんなのはだめだ!」といちゃもんをつけ、私は警察内の写真撮影ボックスに急ぎ、マダムももう一度ペーパーを一から作り直し。指紋のデジタル化もちっともうまく行かずに何度もやり直し。
 
かくの如く大いに老耄ぶりを発揮したがなんとか正式のカードができるまでの「仮更新カード」を発行してもらえ、胸をなぜ下ろした! なんたって来月日本に帰るフライトももう購入済みで気が気じゃなかったのだ。
 
個展最終日夕方のクロージングの乾杯(?)にも十分間に合い、万事一件落着!
 
今回の個展、オープニングには日本からの突然のお客様を含め大勢の人に来てもらえ盛況、途中でテレラマ(雑誌)の記者がイベント欄に数行だけど紹介を書いてくれて知らない入場者も増え、最後には大きいデッサンを友人が買ってくれて、ハッピーに個展を閉幕できた。
 
みなさま応援ありがとうございました。
 

 
下は同じアトリエビルに住むアーティストのカリム君の撮ってくれたオープニングの写真です