2017年4月21日金曜日

選挙ポスター

私は口約を守るので選挙のことはもう書きませんが、公認の候補者のポスター用のパネルにこんなパロディーポスターが貼ってあったので紹介。エスプリが特に効いているとは思わないが、掴まったら「大罰金」だろうから「こんなことのためにエライな〜」という意味で。(人をちょっとほっとさせる効果は認めます)


ドレスも靴も友達にもらいました
「優しい人」党
エリゼに残る


シンデレラは背広(2着1万3千ユーロ!)をもらったフィヨンへの当てつけは明らかだが、フィヨンのボードに貼っていない。
優しいのはアモン?あるいは優しくない候補へ?
左はオランド。
他にもう2種あったが、概してマイナー候補のポスターの上に貼られているのは、数多い運動家との軋轢を避けるため???

私は誰に投票するかは決まっているが選挙権がないからパリからしばらく消えます。

宮崎さんは個展が終わってシネマテックに戻るそうな(参考投稿4/4)。「売らない」というのに「買いたい」というコンタクトが少しあったそうで。でも売りそうもない。オープニングで値段を知りたい人に10万ユーロ(1200万円)と答えてびっくりさせた。すごいですね(笑)

後記(5/5):最後の宮崎さんの10万ユーロの話は面白い冗談だと思ったのですが、「不遜だ」という批判があり、本人にご迷惑をかけたようです。かつ私が直接聞いた話ではなくまた聞きで、、、でも宮崎さんを知っている方は「不遜」どころか現実離れした「おおらか」な人だとわかっている筈で、かつ私としては読み直してそれほど誤解される文章を書いているとも思えないのですがね〜。

2017年4月15日土曜日

最後の直線コース

フランスの大統領選、世論調査が当てにならないと言いながら毎日動向が報道され、まさに「競馬の実況中継」のようになってきた。というのは本命と思われた極右ルペンと中道マクロンが徐々に落ち、大穴の極左メランションが社会党アモン、それに共和党フィヨンも抜いて急上昇、3位につけ、4人が18〜22%ぐらいで差が半馬身もないような状況になってきたから。(3/30投稿これが…だったなら」参考)

私の応援していたアモン君は一桁台となり、「何が失敗だったか」ということでしか話題にならなくなる始末。ある人が「アモンは敵と競争相手を間違えた」と言っていた。この人によれば「敵」よりも「競争相手」を攻撃してつぶさねばならないということで、、、こういう「策略」に功があるかどうか知らないが、他の3人からのメランション叩きが急に活性化した今もアモン君は律儀な人で「メランションが決選投票に行けば応援する」と言っている。

私が面白いと思っているのは、社会党の幹部がマクロン支持を表明して以来彼への追い風が止まってしまったこと。オランド大統領は今でもアモン支持を表明しないのは「心中はマクロン支持だ」と解釈されるが、これもマクロンの不調原因ではと思う。つまり社会党内閣の政治家と支持層は想像以上にずーっと大きくズレている。

それから政治家の道義にもとる「家族架空雇用」の疑惑で消えて当然と私は思うフィヨンが意外に強い。というのも今となっては組閣が見えるような政党支持基盤のある候補者が4人中彼しかいないので、大統領選のあとの国会選挙でどうなってしまうのだろうとの不安を吸い上げている。フィヨンは超保守的な政策で予備選挙を勝ち、その後スキャンダルのお陰で(?)で政策の懐柔をする必要もなく頑で誰にも耳を貸さないという態度があらわになっている。私はこの人が政権を取るのが一番怖い。

丹念に落書きされたマクロンのポスター
またまた私が書いても仕方がないことを書き並べてしまったが、「お前は大統領選が好きなのか」と自問してみると、面白いのだけど到底好きではなさそう。というのも私は威勢のいい演説が嫌いで、、、。それは言葉が後で守られないということもあるが、「そのなかで保持しているのは語彙の動きと音楽とだけであって、語彙の真実ではない」という某知識人の言葉を思い出させるから。但しこれは政治演説ではなく詩に関する評論で、私はそれでフランス語の詩がわからないのだ(意味に捕われすぎるので)と納得しているのだが、周りでファンが多い、ヴィクトル・ユーゴの詩を引用してヒューマニズムを高揚させるメランションの演説にも気が入らないのは私の仏語感のせいか体質か?

しかしこんなこと本当に私が論じても仕方がないですねぇ〜。かつ現実には「当てにならない世論調査」が逆説的にますます大きなキーになってきていて、、、。

自省のもと、これを最後の大統領選へのコメントとして、来週の第一次選はおろか5月7日の新大統領誕生以降までこの話題はお預けにします。

2017年4月4日火曜日

宮崎さんの不思議な絵画

L'exposition personnelle de Yoichi MIYAZAKI qui crée les tableaux poétiques et très mystérieux. Il ne cherche pas de tout à montrer ses oeuvres, donc c'est une occasion unique. 
Du 4 au 15 avril, 8-12 rue Bertin Poirée 75001 Paris,  info, (tél 01 44 76 06 06)

写真のような不思議な絵を描く宮崎洋一さんが個展をする。

彼は仏文学を学び大学時代から、私にとっては眠り薬のような、私がかつて名前さえ知らなかった難しい哲学書を読み、大学を出るやすぐに通訳の仕事に採用されアルジェリアへ行き、砂漠でプルーストを読んでいたという大インテリなのである。その彼がどんな絵を描くかと言うとこれがびっくり、凡人の期待を裏切るかの様に(?)一見幼稚で童話的な世界が描かれる。特に今回は「子供の心」がテーマなので尚更かもしれないが、、、

でもよく見てみると、例えば招待状で送られて来た絵は、ドクロが転がる荒れ果てた地に、背に羽の生えたがっしりした体格の少年が立っている。どうも鷹匠らしいが右腕に乗った鳥は少年の眼をつついている。左手はトンボをつまんでいる。何なんでしょうねこれ?
あるいは伐採される森、手前の木株は縦に割られてそこから女性の半身が現れているが、それはのけぞった人魚のよう。左のまだ伐採されてない木の幹に斧が食い込みそこから血が垂れている。奥では天使が木株の切られた表面を撫でている。これは「ジゼル」の個人的な解釈だそうで、、、。今ウィキで粗筋読みなおしてみたけど、なにがなんだか分からないな〜。


教養人や精神分析の好きな人には色々な解釈が可能かもしれないが、そんな謎解きごとはしなくても、表象と表象がぶつかり、重なり、それらが織りなす絵画の中を遊覧することで十分楽しめる。


妙な人形をウィンドーに飾り付け中の作家
私が彼の個展をブログにわざわざ紹介するのは、一風変わった良い絵をだからというだけでなく、もう一つ大きな理由がある。それは彼が展覧会をすることなど全然興味のない超然とした作家で、彼の絵をみられるチャンスなどめったにないから。(ひょっとすると私の人生、貴方の人生でも最後かもしれませんよ)。その反対に彼に出会うのは簡単。シネマテックにいれば何れは必ず現れる。つまり古い映画なら見ていないものがないぐらいの映画通。かつ北アフリカを中心に今や危険で行けなくなった地域も大旅行し、アラビア世界にも精通している。そういう知識も書いてまとめておけばと思うのだが、まったくそんな関心がない様子で、、、まさに趣味人として悠々自適。とはいえ悟りを開いたというイメージにはほど遠いことは絵画が如実に表わしている。この正直さ故、彼は難しい哲学や高尚なる文学を引き合いに出すチマタのアーティストたちと完璧に袂を分かっている。
だから「宮崎さん、トゥオンブリーの次のブログで掲載ですよ」と言っても、まったく光栄に感じてもらえないだろうことは確かです(笑)

シャトレのエスパース・ベルタン・ポワレ(8-12 rue Bertin Poirée 75001 Paris、電話01 44 76 06 06)にて今日から15日まで。

絵の他に、初期の鋭い彫刻刀で削り出す銅版画や、長年作り続けたシャンペンの栓などで作った小さなオブジェなどが沢山並ぶ、ちょっとした回顧展。
全作品「無題」。販売もしないそうです。ホームページもありません。たいしたものです。

こんな永遠の生命と自由を勝ち得たような、えげつないほど元気で派手な絵もありました