2023年2月22日水曜日

Eugenio TELLEZ展 20世紀の南米が写す現在

金曜日に日本に発つので(名古屋で個展します)その前に一つ展覧会を簡単に紹介・推薦
 
Eugenio TELLEZ というチリの作家(39年サンチアゴ生まれ)の比較的大きな個展(地下と地上階)がラテンアメリカ館 * で行われている。彼の名前、私には初耳だが、私のお隣のアルゼンチン人画家のCおばさんも全く知らなくて「どうして会ったことがないのだろう」なんて首を傾げていた。が、それもそのはず:彼は60年にパリにやってきてから66年までフランスにくる外国人画家のほぼ全員が通過する、一版で多色版画を刷る技法を生み出したヘイターさんのアトリエにいた(助手も勤めた)が、66年に渡米、その後はずーっと米国とカナダに居を置き制作をおこなっている。
 
南米出身の作家だけあって内乱や抑圧がテーマであることがモチーフからすぐわかるが、ドローイング、写真、版画を組み合わせた作品は、単純なストーリー的解釈をゆるさず、イメージが多層に絡まり一筋縄ではいかない現実社会を前にしたメランコリーとも落胆とも怒りとも取れる(あるいはそれが入り混じった)。彼にとっては南米の20世紀の歴史だろうが、今の私たちが世界をみつつ共感せざるえない感傷を表現していると思う。
 

* La Maison de l'Amérique Latineの展覧会サイト 4月22日まで Jusqu'au 22 avril 入場無料

 

これは紙の作品で比較的小品:大きなキャンバス画が多いので



 
他に何枚か写真(主に大きな作品の部分)をインスタに載せてますので見てください
 

 

技法・構成は「上手いなー」と感心できても、楽しい気分になる展覧会ではないが、、、

心を少し軽くするには、そうですねー、ついこないだなくなったバカラックのこの歌でも口ずさむしかないかな〜 (涙涙)