
「鉱物学博物館」
* (Musée de minéralogie)なるものに初めて行った! ルクサンブルグ公園に接っしてあるという驚くべき立地。こんな良いところにあるのは、「パリ国立高等鉱業学校」と名前を訳すと時代遅れな学校に聞こえるかもしれないが、理工学系のエリートを輩出する名門学院(ルイ16世時代の1793年創立、「鉱業」は特に植民地時代の資源獲得に関る花形産業だった)の中にあるから。実際写真の様に、博物館は昔ながらの木製の標本展示ケースが並ぶ、由緒正しき学院の「大きな理科室」といった趣。
行った理由はいつもの如く(?)博物館の中に現代アートを入れるという企画で、「パリの白夜」や昨年末のパリ環境会議に期間中にコンコルド広場に大きな作品を展示したりして活躍中のMilène Guermont ミレーヌ・ゲルモン
(ホームページ)が展示しているから。彼女は主にセメントを使う。セメントも技術の進歩で色々な種類のものがあり、実際彼女は「工学」の学位をとってから美大に入っていて、ハイテク系で勝負しているようだ。
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中央にぶら下がっているのがゲルモンの作品 |
こういう異色な経歴で、30歳台でルックスも良く、写真などそれを意識した感もあり、今時のアーティストらしい? だから日本でも人気がでそう、、、というのは兎も角、
HPで見られるように作品は面白そうで、でも「本物」を見たことはなかったし、鉱物学博物館での展覧会は今週末で終わってしまうので時間の空いた昨日、天気もよいし、シェアちゃりんこのヴェリブに乗って行きました。
展示作品、貶すつもりはありませんが、居並ぶ「鉱物標本」は「おフランス」が200年以上かけて集めた自然界にもまたとないような地球が生み出した「作品」たち、「その横にいくら人気作家が作品を並べても歯が立ちませんよ」というのがすぐに下した私の判断。だから結局ゲルモンさんの作品はさておいて、2時間あまりひたすら「結晶」を見た。
2時間もかけたのはちょうど学生グループへの説明をしていて、それを聞きかじりながら回ったから。
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一緒に勉強させてもらった、 |
昔の知識を思い出して結構楽しかった。例えば第一ホールに飾ってあった肖像のアユイ神父 Abbé Haüy
(ウィキ)、彼は机から落ちた方解石の破片が小さくなっても同じ形状であることに気づいて「結晶学」の基礎を築いた、こんな逸話を聞くのは何十年ぶりだろう? でも単語がね〜。「方解石」という単語さえなかなか思い出せなかった。石の名前さえ知っていれば学生を差し置いて答えられる解説員の質問もあったりしたのだが、、、(ちなみに私は中学では「理科クラブ」でして)
学生ツアーが終わった解説員に思い切って尋ねた:
「XX塩」は一杯見たけど「塩の中の塩、NaClはないの?」
「お塩は学術用語ではHaliteと言うのです」
「へーえ」 そして、ありましたねー、巨大な四角柱が突き出たすごい標本が。それも私の馴染みの南ポーランドのヴィエリチカ産!!!
(参考投稿)
横にあったシシリー産も見事で「塩のデッサン」作家としては心浮き立つ思いでした!
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貫禄のヴィエリチカの塩の結晶 |
鉱物学博物館のサイト(英語もあり)で博物館の「お宝」の結晶など色々な標本写真、それからビデオもあります。ビデオはフランス語ですが、館内が感じがよく見られます。解説のお姉さんは同じ人だったので私の「追体験」をして下さい(笑)
私のブログの読者で「塩(海水)のデッサン」「雨の絵」 を知らない人はいないとは思いますが、念のために
私のサイトはこちら
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「雨の絵」にも使う青色「ウルトラマリン」のもと |
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「ミロのヴィーナス」ならぬミロの硫黄 |
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結晶学の祖アユイ神父の肖像。手前は巨大石英、その後の青いのはゲルモンの作品 |
いつものように作家へは批判的な投稿となりましたが、ゲルモンさんの展示がなかったら一生行かなかったかもしれないから、こういう企画もマイナーな美術博物館にはいいのかもしれませんね
* 注:鉱物学博物館と呼べるものはパリには3つもあって、一つは大学Jussieu校舎内、もう一つは植物園内にある。国立高等鉱業学校内にもあったとは今まで全く知らなかった。