2022年7月14日木曜日

終了間近、完璧なるトワイヤン展ガイド😄

前々回のカルチエ財団の展覧会の投稿で「15分のために15€!」と答えた女性に私が推薦したのはパリ市近代美術館のトワイヤン Toyen 展。彼女は見に行ってごく満足、感謝された(笑)。
この展覧会はかなり私のお気に入りで実は5月に行ったのだが携帯を忘れて写真が撮れず、かつヴェニスの女性シュールレアリスト展の投稿時に予告しながらずるずると遅れ、そのため最近もう一度見に行ったが、またまた大満足だった。でも女性シュール‥の時に紹介した3分でわかる美術史ブログのトワイヤンでは「作品もあまり個性的ではありません」否定的な厳しい評価を下されているのだが、イマジネーション+技術力で全くそんなことないと私は思う。チェコの同胞ではなくエルンストとかシュールレアリストの中心にいる男の恋人になったらもっと有名になっていたと思うな〜(でもあいつら面喰いが多いから、、、)
 
まあそんな下世話な推測はさておき、トワイヤンは1902年チェコで生まれ、プラハのシュールレアリスム運動の中心で活動、戦後47年に共産主義国家を逃れてパリに移住、80年にパリで亡くなった(日本語ウィキで詳しいのでご参考に)。彼女の作品の核は「性」でチェコ語に翻訳したサドの「ジュスティーヌあるいは美徳の不幸」に挿画を描いた頃以降、女性、鳥、魚、猫、狼、貝、闇、霧、壁、漠なる地平などがモチーフのいわゆるシュールレアリスム絵画を描くようになり、時代とともにイメージを更新しつつ最後までそれを貫いた。それができるほど彼女のイマジネーションは豊かだったと思うし、確かな線で捉えるデッサン力がそれを支えた。第二次大戦中隠れて描いていたデッサンは秀逸だ。

ではそこから始めましょう。39〜40年の「射撃 (Tir) 」シリーズ(ウィキに石版画と書いてあったが???)
 



 次の二作はその少し前の37年の油絵で既に危機を予感させる。
 
「Effroi (怯え)」1937年

「La Dormeuse (眠る女)」37年

 これはサドの訳本(32年)
 

どんぐりコロコロどんぐりこ、XXにハマってさあ大変?

 その前はこんな形とマチエールを探求する抽象的絵画だった
 
「Le jardin du lac (湖の庭)」1933年

 戦中デッサンの直後の作品。この壁から出てくる狼が彼女の作品では一番有名か?
 
Chateau La Coste (ラコスト城にて) (サドのお城ですよ)
 
 これも壁から出現 「Relâche (休み)」 43年

壁にこだわる? これはインスタレーション作品になりそう
 
「Le coffre fort (金庫)」 1946年

 
これもインスタレーション用?

「Avant printemps (春前)」45年

パリでも得意なモチーフをデッサンして新たな構想を練った(48年)


 それがこんなになって?(鏡像的なのも彼女のテーマ)

「Nouent et dénouent (結んでと開いて)」1950年

 縦長、横長、いろいろなサイズでシュールします

「La dame blanche (白い婦人)」1957年

「Enfouis dans leurs reflets (反映に埋もれて)」1956年 

「Ils me frôlent dans le sommeil (私の眠りにかすめる)」(部分) 1957年

 
こんなソファー作れば売れそうではないでしょうか

「Les affinités électroniques (電子親和性)」1970年


そして最後は可愛いいエロティシズム。この歯磨きチューブも作れば‥と思うが今やMe tooで✖️でしょう
 
「Reflet de marée basse (引き潮の反映)」1969年

これで懸案のトワイヤン終了! 24日までだしバカンスだしでもう行ける人いないでしょうから今日はごく丁寧にガイドいたしました。これで私も来週から心置きなくエルベ島流しに甘んじることができます(一応仕事ですよ〜)
 
 
追記:この展覧会、延長にもならない、つまりあまり人気なさそうなんだけど、ポスターのイメージの選択を見事にミスったからじゃないかな〜(3月に始まったのに私も最初は全然行く気がなかった)

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