2023年8月31日木曜日

昨日のおまけ:役立つ情報(?) パリの深夜バス、列車遅延補償など

昨日のTGVのトラブルの原因は供給電源系統で、ニース・マルセイユ間は数時間全面ストップ。私の列車はマルセイユからパリまでは直行で、こんなにTGV揺れたかなー?と思うほどスピードを出して頑張っていた気がするが結局遅れは取り戻せず午前1時半過ぎ到着した。
 
ここからは日本の旅行者にひょっとすると役に立つ情報
 
タクシーは当然大行列、財布も軽い私のような人はどうするか? 
宵っ張りの街のパリは心配無用、Noctilienという夜中運行のバスがある。その路線、時刻はパリ公共交通のサイトで調べるべしと思いがちだが、結構サイトは使いにくく単純にGoogleの「行き方」で見た方が正解。何れにせよ夜中のバスはバンバン飛ばすので時刻表はあてにならないことに注意。 (私のバスは始発のリヨン駅も指定時間より早く出たような気がする:おかげで2時過ぎには帰宅!)
終電過ぎのバスなんて酔っ払いとか〜と思うかもしれないが、ほとんどは夜中過ぎまで働かされて郊外に帰る移民系労働者。治安悪そうに思うかもしれないけど恐ることはないでしょう。

しかしGoogleも当然100%信じられるものでない。ニースの北側のアルプスの山麓地方の友達の村に行くバスはNiceの中心部ではなく Arsenalという飛行場に近いバス停から出たのだが、カップ・ダーユからの行き方を調べたら、わざわざ一つ向こうの鉄道の駅まで行ってバスで戻ってくるのが推奨され、最寄りの駅で降りると徒歩では大きな迂回をせねばならないことになっていた。そんなバカなと悩んで友人と電話で話したら、やっぱり実際はすぐに目に見える1-2分の距離だった。飛行場周辺地区はどんどんオフィス開発が進んでいて、多分周辺の工事中の時期からデータ更新されていなかったのだろう。この記事を見てすぐ役に立てられる人はいないと思うがご参考に(笑)
 
さてTGVが大幅に遅れた場合どうなるかというと、3時間以上の遅延は70%払い戻しされる。払戻の割合は遅延時間と運行会社(最近はローバジェット列車もあるので)によって異なる。クレジットカードで買っているし切符も電子化されているので払戻手続きは指定サイトで瞬時かと思ったら色々入力させられて思いの外面倒だった。特に今年改新したフランス国鉄のサイトは「切符を買いたいのになかなか切符が買えない」と誰もが思うほど素晴らしい改悪だったのだが、ここでもそういうことが起こっていると思われる(以前した時は簡単だったと思うので)(注:フランス国鉄は上手くいっているシステムでもな何故かすぐ変えたがる。会社のロゴとか車両とかも。最近の列車は2階建てで階段はあるしで大きな荷物がすごく運搬・収納がしにくい。かつ小さな荷物も:昔で言う「網棚」のスペースなんて普通のナップザックも入らない。本当に何考えているのか?)
 
乗り換えがなくなったマルセイユでの車内アナウンスでは「アルル行きの方はタクシーが手配されている」とか「リールへの旅客はマルセイユでホテルの手配」があるそうで、、、(注:仏語の車内アナウンスしかなかったけれど、言葉が分からなくてもこういうサービスがあることを知っていれば駅で問い合わせればなんとかなるでしょう)、
 
こんな半日分のTGVが遅延またキャンセルになるトラブルを起こしていたら黒字になる訳ないですね。
 
パリまで行く乗客への配慮はというと、右のようなサバイバルボックス(笑)が賄われた。これはマルセイユを出たあと「食堂車(?)に用意されてます」と放送があり取りに行った。だから22時半過ぎ。
 
時刻通りだと21時50分パリ着で、そこから地下鉄で郊外まで家まで帰る人も多いはずだがその埋め合わせはどうなるか? サイトでデータ入力中に「付随する出費はあるか?」という質問があったので多分何か補償はありそうだが、詳しくは知りません。

 

2023年8月29日火曜日

19年ぶり(?)のCap d’Ail

写真にするとたいしたことないですが
モナコはフランスの中の飛地の公国だが、Cap d’Ail(カップ・ダーユ)はそのモナコとフランスの国境にある町で no-madeというグループが毎年地中海に面した豪華ヴィラ Villa Roc Fleuri の、主に庭を使って毎年9月に展覧会をしている。

私がこれに2004年に参加したのは、同年の春にガーナのワークショップに一緒になったアヴィニョン近くのヴォークルーズ地方に住む英国人彫刻家のポール君 (Paul Stapleton) に誘われたのがそのきっかけだった。

no-madeの企画は毎年テーマが違うのだが04年はカップ・ダーユを通る廃線になった鉄道路線がテーマで、ヴィラについた時にゴミ箱で見つけた高級別荘地らしい立派な皮鞄に線路の石を詰め込んだ簡単な作品だったが、意外に主催者から高く評価されて(no-made 無製造とノマド(遊牧)をかけたグループ名にぴったり入ったのは確か)20周年記念に編集されたカタログにも1頁まるまる掲載してもらうという光栄に預かった。
 
 
このヴィラのガーデンオープンの企画、「流石おフランス、なかなか志の高い芸術愛好家がいるものだ」と感心されるだろうが、実はヴィラを1年に1ヶ月間公開すると不動産税の控除枠があるということで、この優遇措置には期限があり、今年でそれが終わりになる。そこで展覧会も終わり! つまりそれほど家主さんの志が高い訳ではなかった(笑)
 
だから今回は最終回。

最終回ともなると、持ち出しになるような仕事は凡そ引き受けない志の低いアーティスト私も参加せざるえない。というか、私(ポール君にも?)にとってのこの企画のメリットは、普通では住むどころか滞在もできない海岸に面した高級別荘に展覧会を口実に住み込むことができることにあった。だから行くしかないのだ。

しかしカップ・ダーユの前から決まっていたルーアンのグループ展が9月2日に始まるので作品の展示にいかねばならなく、ヴィラでのんびり滞在しながらの制作には無理があり(最近そういうインスタレーションしてないし)、カップ・ダーユの水を送ってもらって海水ドローイングを飾って済ますことにした。つまりヴィラの居間での展示で、早く来た方がいい場所が取れる、ポール君夫婦もすぐ来るというので展示作業が可能となる、つまりパリ在住の家主さんのバカンスが開ける23日から行くことになったが、そうこうするうちに突然お金儲けの話が舞い込んで来てカップ・ダーユ1泊だけになりそうになった。しかしやはり私はお金とは縁がないのか、そちらは現れたのと同様儚く水泡と消え、結局1週間の骨休みを余儀なくされることとなった。というのもバカンスの終わりでパリ行きのTGVは週末は満員、金曜月曜もべらぼうな値段で 、、、😰

その骨休み、景色のいいヴィラだが、猛暑で睡眠不足、週末に避暑に行った友達の住むニースの裏のアルプスでは雨、そして今はニースの駅で供給電気系の事故とかでTGVを3時間待ちぼうけ中。これがねー、最初から3時間待ちとか言ってくれればいいのが1時間10分待ちが1時間40分、2時間10分と時間が経つに従って増えていき、かつこれが予告ではなくて単純に現時刻と出発時間との差だから言われなくてもわかる代物で、、、3時間待って改札となり、また列車の中で待たされるのかと覚悟していたら意外にすぐ出発!!! かつちょっとだけ奮発してファーストクラスにしていたから快適、よかった〜と喜んでいたのは束の間、隣のアンティーブに停車したまま全然出ないんですけど。→ パリ午前1時40分着予定、駅からどうする!?

 
参考
 
旧HPの作品説明(日本語もあったはずなのだが、、、)
 
旧ブログによると2012年にもカップ・ダーユは訪問していたがその時は滞在していない。だがタコを見たことを書いている。それで今回のドローイングにはタコが登場することになった>旧ブログの投稿
 
 
 
これが上の写真にある今はヴィラに飾られている二つのドローイングです




2023年8月12日土曜日

コニエは絵画とは何かを問うというが?

注:このブログは数週間前に書いたのに公開を忘れていた。

「絵画とは何か?」を問う一つの作戦は、何でもない(つまりフツーの意味で絵にならない?)ものを描く。殺風景な都会風景とかスーパーマーケットとか、冷蔵庫とか。

もう一つよくあるのはボカシで、描かれたものが見る人の目には克明に見えない。
 
フィリップ・コニエ (Philippe Cognée) はその二つを使った具象画を描く。特に彼のボカシは特徴的でピグメントとロウを混ぜた蝋画で分厚めに描き不透明感を作った上に、その上をシートを置いてアイロン掛けしシートの剥がし具合で表面を波打ちさせたりする。
 
というわけで「絵画とは何か?」を問う作家として大成功、ローマのメディチの家にも行ったし国立美大の先生にもなったし、最近オランジェリ美術館の「水蓮の間」に誘う小ホールに数点、ブローデル美術館では大きな個展が開かれた。
 
と、いつものひがみとしか思われないイントロになったが、私は彼の作品が結構好きだ。 第一に技術的に達者だから。今まで知らなかったのだけど彼は両親の仕事の関係で5歳から17歳までをアフリカのベニンで過ごした。だからひょっとしたらフランスのビル団地もスーパーも「美術戦略」以上にただ新鮮に見えたのかもしれないと私は勝手に想像しているのだが、どうだろうか。
 
まあそもそもハイパー・リアリズムのように克明に描いても古典的なテーマを描いても「絵画とは何か?」を問いていると解釈されるので、なんじゃいなと思う。問いているのは画家本人でなく評論家で、作家は問題提起なんか飽き飽きし、その一方で評論家やファンは妄想を走らせるというのが現代美術の世界じゃないかなー? 定義的に言って全然何も問わない筈のアール・ブリュットだって問題提起になってしまうから「もうやだよー」と言っているのは落第生の私だけでしょうか?
 
そのコニエさん、奥の間に萎れかけた百合の花の大作が飾ってあって、「あれー僕だけでなかった」と共感。でもまさか「絵にならない」と思っているのじゃあるまいな〜?
 
実はブローデル美術館では私でも「絵画とは何かを問う作品」としか解釈できなさそうなバーゼルのアートフェアのカタログを一頁一頁を同寸大で絵にするという「しょうむない」シリーズが大半のスペースを占めていて、、、
 
同じような者だが百合でなくてアマリリスらしい

上はコニエの大作(巾1.5mぐらいかな)
下は私の小品(24x30cm) 結局は我田引水的自己宣伝です(笑) 
 
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最後に枯れ牡丹

ブローデル美術館での大展示はすでに終了。

このために行くと馬鹿を見るほどの小規模なオランジェリ美術館での展示は9月4日までオランジェリ美術館サイト

2023年8月10日木曜日

バカンスのパリ、犬も歩けば

パリはこの2週間ばかり寒くて寒くて、というのはおおげさだが、私のように皮下脂肪がない者は上下長袖、ヴェストまで端折っていた。今日は平年並みに戻る予報だったのでTシャツにしたがダメ〜、カーディガンを羽織った。

涼しいのは歩くのにはちょうど良い。7月末から私が一番使う地下鉄の14番線は工事で全日全線閉鎖、C線は中心街での乗り換えに便利なサン・ミシェル駅がまた工事で閉鎖、トラム(市電?)も私が使う駅の区間は工事、バスは休日運行で少ない上、加えて道路工事で経路変更があって当てにならなく、、、てな事情で歩いていたら自転車を梱包したらしい大きな段ボール発見。これを拾ってきて昨日の半日がかりで右の構造物を作った。前回書いた黄金比のパンチョ先生に笑わるだろうが、単純な六角柱でも苦労した (アトリエにはコンパスもなく、幾何学派には出発点から失格)。でもこれ作品じゃないですよ(笑)。9月のルーアンのグループ展で大きなドローイング(巾が約135cm)を飾るのだが、それを鉄道で運ぶため。作品を巻いて運ぶのに四角柱より少しはコンパクトになっていいかと。

このルーアン行きは9月1日。その前にモナコとの国境の村のCap d'Ailまで今描いている海洋系(?:右写真)のドローイングをTGVで運ばねばならない。
 
9月中旬からのパリでの個展は画廊がバンで迎えにきてくれるが、車で運ぶにしても傷がつかないように一応のプチプチで巻いて梱包をする。展覧会の準備は作品制作と額装で終わらず、こうした全く創造的でない仕事に意外なほどの時間を費やすのだ。もちろん人を雇ってやってもらえるようになったらいいのだけど、あまりくだらない仕事を他人にやらせるのは罪悪感を感じてしまって、、、高額の美術品専門の運送業者に任せれば罪悪感なくなるのかな〜と貧乏性と良心の葛藤で悩むのである。