2019年9月24日火曜日

水漏れに思う

dégâts des eaux というのを直訳すると「水害」ということになるだろうが、台風や津波のないフランス、もちろん雷雨で川が氾濫して家が浸水ということもあるが、ふつうは洗濯機が壊れてとか配管のジョイントが痛んでとかで絨毯が水浸しという程度の「水の被害」。

「水は低きに流れる」、私のアトリエは日本流で1階が入り口、地下に大きなスペースがあるので何かあると我が家に「水」がやってくる。一度は上階に水道水を送るためのポンプが壊れ、もう一度は配管不備、これは理由が明白だったが、3度目は雷雨の雨が不思議な経路で我がアトリエに至った(これはひどい雷雨がないと発生しないだけにどこから来ているのか一年以上わからずアトリエ奥の天井に穴が開いたままだった)。

そして今回は、天井からの水漏れなので二階の留守らしい住人の水を止めれば解決と思ったのだが、それが止まずユー島のバカンスから帰らざる得なくなった。このため我がアトリエの上にアパートが2軒あることを初めて知ったのだ。そのもう1件はガーディアン曰く「『ごみ屋敷』で修理工が入れない」(でも住人がいるので水は止めれない)!!! 公団住宅にかけあうと「ソーシャルサービスの許可を取らないと入れない」と意味のわからないことを言う。「実際に水がポトポト落ち続けているのに何なんだ」と怒って、受付の玄関払いとわかっていても毎日電話&メールしていたのだが、突然解決! 
その糸口は日本流でいう4階にあるHさんのアパートの床に水が侵入、Hさんが被害を訴えた故にそのお隣Dさんの水道の配管不備で我が家にも「害」にあったことが発覚した。しかし2階3階のアパートには何も被害なし。だから難しいケースであったのだが、19日もかかった :(

これで万事解決と言いたいところだが、なかなか。
フランスでは住宅は保険に入ることを義務付けられていて、こういうことが起きると「被害届」を被害者と事故の元となった住人とがそれぞれの保険会社に送ることになっているのだが、Dさんから連絡(返事)がこない。これは私が孤軍奮闘ではなくHさんもいるので助かるが、そのHさんは今朝ガードマンに「全部住宅公団が請け負うからDさんのサインはなくていい」と言われたとか。だが私のところには前日公団住宅から「Dさんに連絡するよう」という手紙がきて、さっきやっとそのDさんからメールが来たところなのだ。またまた情報の錯乱、、、。 

ところでこの「水の被害」たるもの、非常に稀なものと思われるかもしれないがフランスでは頻繁に起こる(ちなみに前述のように我が家で4度目。いつでもたいてい知り合いの誰かの家で起こっている!)。F夫人の意見では dégâts des eaux は日本からの新参者が知るべき最重要単語だとか(笑)。電子機器に自動的に老朽化して使えなくなるよう仕組まれているとかいうスキャンダルがあったが、フランスの配管工事もローテクながらそういう細工をして、後日修理工事を請け負えるようにしているのではと私は真剣に疑ってしまう。

工事請負人はこれで儲かるが、住宅保険制度は不思議なもので、被保険者は被害を大きく申告して賠償金をもらうというのが常識なっていて、水漏れ程度では哀れがられるどころか、「しっかりお金取りなよ!」と応援される。「天井以外に被害ないけど」などと言っていると「こいつはバカか」としか思われないのである。でも本当にないし、、、。画用紙みたいな安い紙を濡らして、最高級の紙がダメになったということにするべきらしいのだが、私としては天井工事で毎日8時に起こされる日が来ると思うと憂鬱になるので、工事の時期に他のアトリエをもらいたい、、、。

工事・賠償金は、事故の元となったアパートの住人が加入する保険会社が支払う。だから私の歴代の「水の被害」は私の保険会社には痛くもかゆくもなかったはずなのだが、かつて「事故が多すぎる」という理由で契約打ち切りを一方的に通達された。事故処理が商売なのに、事故に関わる気がまったくないのだ。

「カフカがなぜフランスで生まれなかったのか?」とよく思うが、フランス人のほとんどはKをまどわす「城」の住人に他ならない。かつ彼らは一旦被害者となるや、Kやエイゾウとは違って「不条理」に悩まず、憤懣を大発散しながら見事にサーフする、カフカにはなかったラテン的天性を備えているのである。羨ましい。。。

私はこの「城」では知恵の回らない聖人君子の類だから、ちょうど水が垂れ出した日にちょうど友達が留守の我が家に泊まりに来ていたのですぐに発見され、かつ作品にはまったくダメッジがなかった、かつ汚水でないから、ということで文句は言いつつも、内心「あーよかった」と満足。つまり決定的な闘志に欠けているのだ〜。


2019年9月13日金曜日

天国と地獄

「天国と地獄」と言うと明らかに大げさだが、小バカンスにでかけたユー島(Ile d'Yeu)から上階のアパートによる(と思われる)水漏れのためパリに呼び戻されてしまい、この1週間は本当にくだらないことに明け暮れ。それなのに全く解決していなくて、、、でもそんなことをかこつのはもうよそう、天国を思いだして。。。

二年前に行ったようにKさんのお宅にご厄介になったのだが、着いたときはKさん宅でお隣さん家族を呼んでのパーティーがあり、その後にKさんの友人のMPさんが到着。彼女は料理、食べることも作ることも大好きで、蟹、魚そしてオマールと、毎日すごかった〜。
「画伯」には高嶺の花でしかなかったオマールを食べきれないほどいただき、それもMPさんがマダガスカル育ちなので香辛料のきいた南国風! そもそもオマールは漁師の船が朝港に戻った時に埠頭で買った。その新鮮でピチピチしているオマールたちは家に戻るや生きたまま手(ハサミ)足をもぎ取られお鍋に放り込まれた。このダイナミックなレシピで葬られた彼らは無念だろうと(オマール火炎地獄?)、それを弔うためにも特に丁寧に丁寧に風味させていただきました(=甲殻類はやっぱり食べるのに手間がかかる😀)  もう一生こんなことはないかもしれないし。

感動のオマールはともかく、ユー島はやはりきれいだ!以前に行った時に写真を撮りまくった(下のリンク参考)ので今回はカメラなし、でも携帯で少しは撮った。



今回は水彩スケッチもした。絵葉書サイズなので東京の個展で作品を買ってくださった方々に送ろうかなんて思ったのだけれど、食べるのが忙しくて郵便局は結局行かなかった(笑)。私の水彩はちょっとした印象の記録でフワフワっと描くだけなので、少々絵心があれば誰でも描けると思うのだがFBに載せると海水ドローイングよりずっと人気があって怖い。




それから「曇らない」と何処かで宣伝を見た顔全体を包む水中マスクをパリで買って出かけたのだが、これがかなり画期的製品で、魚たちと一緒に泳げて感動、「天国感」が一層高まった。 (ビーチで意外に多く見かけたので結構売れているみたい)


ユー島に関する以前の投稿:


2016年9月2日金曜 ユー島紀行

2017年8月29日火曜 ユー島の海岸

2017年9月2日土曜 ユー島の海岸(続) 
2017年9月4日月曜 遥かなるユー島  

2019年8月19日月曜日

黒豚に化けるデッサン(続)

5月から懸案になっていた「黒豚に化ける肉屋さんのデッサン」(5/15参考)、その後彼が作品を写真から選び、安いからまとめ買いしたいつもより底が深い額に、実験も兼ねて大きなドローイングでは初めて底板から浮かせ縁から少し距離を取って写真のように装丁した。肉屋さんは昨日の日曜、朝市に店を開いたものの、バカンス、天気も悪くお客さんが少ないのでアトリエに歩いて取りに来た。なので来週から黒豚!!!

夕方には自宅に飾った写真も送ってきてくれて、私の思った以上に気に入ってくれているみたい。
かつアトリエの床で念入りに乾かしている大傑作の「アーク 2」別称「バナナの皮」も「いいな〜」と言っていたので、これまた思った以上に「見る目」もあるみたい(笑)。これで投機の夢を捨ててもらえれば申し分ないのですけど6/5参考)

バナナの皮

「月曜朝断水」と張り紙がしてあったのでブログ書きをすることにしたのだが、ちゃんと水が出ている。また日にち間違えたかな〜(来週あるいは来月かも) 

後記:ちゃんと今日だった

2019年8月18日日曜日

例で見る所得再分配

税務署から所得税課税額通知が来た。と言っても私の場合は零ユーロ、つまり非課税通知なのだが(笑) でもこの事実に恥じいることはない:実にフランスの56%の世帯は非課税。つまり私はごくフツウの市民なのだ。

まあそのぐらいの統計と税金の使い道の円グラフなんかは毎年同封してあったと思うが、今年は見出しに「所得の再分配はどう行われるか?」と書いてあって、年収73160€(約880万円)のカップルと3260€(約39万円)のカップルの家庭で比較がしてある。 おそらく課税対象収入だとは思うが後者は私より低収入だから目を疑うが、そういうこともあるとして続けると:

右図で双方とも、最初の下向き矢印は社会保険費の支払い、第二が直接税(主に所得税、住民税?) 当然後者カップルは所得税はゼロのはず、住民税も収入によるはずだから30€は何かわからないが、飛ばして次に行くと、第一の上向き矢印は家族手当(多分子供二人を前提か?)で所謂「貧乏家庭」は一挙挽回、収入を超えた。第二の上向き矢印は住宅手当、第三は就業手当と最低生活保護を得て年収は約1万ユーロ(約120万円)、つまり元の3倍になり、「高収入家庭」の1/20だった「低所得家庭」が1/5に格差を縮めた! 

「こうして貧富の差がつきにくい社会を形成しているのですよ〜」とアピールしている。「社会主義」の面目躍如?
私は日本でしばしば「よく生活できますね〜」と感心されるが、実際私もかなりおかげを被っているわけ。だから私は「フランスでなければ生きて行けなかった」と大いに感謝している。しかしその一方一般的には貧富の格差は広がるばかり(これは歴然たる事実)で、昨年秋から「黄色いベスト」運動で低所得者層の憤懣が噴出したのはご承知の通り。富裕層の大統領とその政府という批判を緩和したいという願いがこの例ににじみ出てるような。

加えて先に就業手当と訳したPrime d'activité * はマクロンが引き上げた。とは言ってもこれは先の「黄色いベスト」の突き上げを食らったからの懐柔策で、それがなかったらそんなことは考えなかっただろう。そもそもマクロン君は社会主義的社会をフレキシブルにする(解体する)つもりで大統領になったのだから、心なくも採った政策を逆利用した結構面白い自己宣伝のようで感心したな〜(笑)

でもそもそも年収1万ユーロ(約120万円)で子持ち夫婦が生活できるか??? 何かわかったようでわからない例だったので詳細があるのかと、「もっと知りたい方へ」とあった文字通り「私の税金は何に役立つか」というアドレスのサイトも見たがほぼ深まらなかった。まあいつも課税限度に達しないので見もしなかった逓増所得税の計算の仕方を初めて理解できたことだけは収穫だったが。

実はフランスは「源泉徴収」が今迄なくて今年がその切り替え年、だから普段よりはこんなチラシを読む人も多いかも。まあともかくマクロン君、人気挽回に懸命みたい。


* 政治経済の話題を1月23日以来取り上げていないが、そのときに書いた上の例にあったPrime d'activitéは無事にもらえて我が生活には大助かり。これは12月の「暴動」のお陰でしょ。「結局は暴力しかないんだよなー」と見切ったのだが(勿論煽る気は毛頭ないが)、「暴力はいかん。だが警察(政府)側の暴力もある」という私には欺瞞的に思われる「良識ある見解」が一般的。また「黄色いベスト」運動も経済要求から警察暴力反対運動のようになってきて、私には何がなんだかよくわからないのですわー。

2019年8月10日土曜日

レスピューグのヴィーナス

(texte français en bas)

最近すぐいろいろなことを忘れてしまうので、これも昔は知っていたに違いない「再発見」。でも新鮮でした!(本当に知らなかったのかな?(笑))

日本語ウィキもあるのだが、なんか妙な記述があるので改めて書かせていただくと:

マンモスの牙から彫られた高さ14.7cmの女性像で、ピレネー山脈の山麓レスピューグ Lespugue の洞窟で1922年に発掘され、発見された地層から2万2000から3万1000年前と想定される。
発見時に発掘用のピックで破損されてしまい、写真でわかるように先史ヴィーナスで見られる豊満な垂れ乳が正面部からパックリとなくなっている。

この一撃(?)を食らわしてしまった作業者(?)はいたたまれなかったろうが、この壊れ方がなかなかで、曲面(丸み)と平面(直線)ががっぷり四つで拮抗し、かつ自然な面もあるし、それが見事に調和、とても素晴らしいのだ。
それに傷かどうかわからないほどの顔の表情もニクい。

きっとキュービズムの作家にも影響を与えただろうと思ったが、発掘が22年ではリプチッツ(Lipchitz)やローレンス(Henri Laurens)が立体主義彫刻作品を発表しているのはその何年も前なので私の想定は成り立たない。

この像はパリの人間博物館の所蔵品で、博物館のサイトでは写真を3Dで見られることを発見:
http://cabinetdecuriosites3d.mnhn.fr/fr/content/v%C3%A9nus-de-lespugue

背中側も見られるし、ライティングも変えられるし、わざわざ二度も参拝することなかったかという感じ。

というのはこの「再発見」(?)、実はポンピドーセンターで開かれている「先史時代」展(Préhistoire) にてで、私はとてもこのヴィーナスに感銘を受け、かつ展覧会規模が大きすぎて一度では全部見られなかったこともあり、再度足を運んだのだ。

同展では前面しかよく見れない展示になっており、上の3D写真のようなことはできないし、謎の臀部から脚にかけた三角状に引かれた線は見られない。場所はどうあれ私は誇張された陰毛かと思ったが(それこそピカソ?)、この時代に陰毛描写された例はないらしい。(というわけでこの想定もバツ)

同展では考古学品と主に近代の芸術作品が沢山並らぶ。こういう極めて博学的かつ恣意的な展示って意味あるのかなーと思うけど、普段は見られない美術館の所蔵品も出てくるのでそれなりに行く価値あり。


そうそう、わたくし的にこの展覧会でのもう一つの大目玉はイタリアのアルテ・ポーヴェラ Arte Povera 系の作家クラウディオ・パルミジャーニ Claudio Parmiggiani の "Cripta"。これはジンバブエの美しい洞窟絵画の巨大な模写(右写真)が並ぶホールにあるので 、そちらに目を奪われ、背をかがめないと入れない暗室の外からチラッと覗いて手形が壁にあるだけかと結論してしまう人が多いのだが(既に沢山の展示品を見て大抵の人はもう疲れているのでパスする)、中に入って少なくとも1〜2分はいてほしい。すると目がだんだん暗闇に慣れて、どんどん手形の数が増え、かつ色も違い、最初に認識しえなかった数えられない数の手形で壁が覆われていることがわかる。でも不思議なのはそれから、その手形が動き出す:まるでこちらに手を振っているように。どういうことだろうとサイトで調べてみたのだが、「可視不可視」「写真再現性のなさ」「実体験」「通過儀式」など哲学的に議論されている割に、「手が沢山見えてくる」とは書いてあっても「動き出す」という記述が見当たらない。私の目が変なのか??? 見に行って確かめてください。


「先史時代ー現代の謎」(Préhistoire, Une énigme moderne) 9月16日まで 



Pour les Français je saute le premier sujet « La Vénus Lespugue ».
Le second c’est "Cripta" de Claudio Parmiggiani, une installation également exposée dans l’exposition « Préhistorique » au Beaubourg actuellement.
Il s’agit de l’espace pénombre, le mur intérieur est couvert par les empreints de main. Vous pouvez entrevoir quelques mains de l’extérieur, beaucoup de gens déjà trop fatigués d'avoir vu très nombreuses pièces exposées, se désintéressent vite, ils n’y entrent pas dans la bouche. Mais il faut le faire et rester au moins 2 minutes. Au fur à mesure que les yeux s’habituent au noir, on commence à voir de plus en plus de mains. Mais ça n’arrête pas là, ils commencent à se balancer !!! Surpris par cet effet optique, j’ai parcouru des documents sur cette installation. On la décrit et l’interprète à manière philosophique, pourtant personne écrit clairement que les mains bougent. Alors suis-je halluciné ? Je suis dérouté par cela.
J’aimerais bien que vous allez la voir et dire s’il me faudra aller voir un ophtalmo…

2019年7月31日水曜日

雪降るデッサン

 (texte français en bas)

興味を持たれているかわかりませんが、前々回書いたドローイングの異変、

 

左が2103年のオリジナル、右が今の状態ですが、これだとよくわからないかな?
下の拡大写真だと塩抜きされた白い四角い「つぶつぶ」がわかると思います


下の方は少ししわ寄ってるし、今後門外不出となる可能性大。
何れにせよ東京で見た方はラッキー、「オリジナル」の見納めでした。


Comme j’ai montré par photo, le tube que j’ai confié à la compagnie aérienne a été abimé. Il y avait deux dessins dedans qui ont subi des dégâts.

Mais la chose plus étonnante que j’ai observée quand j’ai fini à l’ouvrir, c’était une métamorphose du dessin. En fait de nombreux cristaux de sel sur le dessin ont été transporté au papier de protection, à cause de l’humidité de la saison de pluie japonaise. Vous voyez de petits carrées blancs dans la photo : c’est les traces du transfert. De plus à ma grande surprise, les cristaux s’attachent solidement sur le papier transparent très mince. C’est un phénomène que je n’ai jamais observé jusqu’à ce jour : j’étais persuadé qu’il fallait utiliser de bon papier épais destiné à la gravure pour bien retenir des cristaux. J’ai écrit ainsi dans mon livre qui vient de sortir. A étudier...
Par ailleurs un des 3 grands formats que j’avais exposés à Tokyo, « lézard de Calvados » a été, en suite, capté par l’expo collective de Nagoya sur le thème de la créature, donc il a échappé belle à l’accident.

Finalement je m’en sors plutôt bien.

2019年7月28日日曜日

日本滞在のレジュメ

いやはや、今回の来日は本当に「仕事一途」だった。温泉もなし💔  

 本「しおあい」は最初は3月に作る予定だったので余裕のはずだったが、余裕すぎて仕上げの推敲に遅れ(つまりこういうものは時間があったらあったできりがないものなので、、、)、出来栄えは期待された完成度をしっかりクリアしたとは思うが、遅れは取り戻せず、個展の初日の朝に間に合わなかった!6/24投稿参考

その銀座フォルム画廊での個展は、兄夫婦、高校の同窓生、パリの知人の動員力のお陰で「謎の最終日」を除けば大盛況で、毎日ランチ抜き。画廊にいない時は本の郵送の宛名書き。こうして頑張って送った割にまだ着いていない本が多いのが心配。「安く送れる印刷物で」と注文すると局員さんは混乱(通常と値段は変わらないと言われたり、税金申告の紙を書かされたり、印刷物スタンプ押して終わりだったり、出向いた郵便局4カ所それぞれで取り扱いが違っていた。まさか船便になったてことはないと期待したいが、、、つまり本の方はまだ終わった気がしない。
 
東京での個展の搬入搬出は実家に海水ドローイングは湿気のためストックできないので少々複雑となる。昨日書いた名古屋のLギャラリーでグループ展にも参加することになりその為にもアレンジがあり、そして最後は出発日を一日勘違いしていたので一層濃縮した滞在になった!

というように毎日沢山することがあってまるでサラリーマンのよう。本当のサラリーマンは仕事も付き合いももっと大変だろうが、仕事に加え台風だの梅雨前線の大雨などと、どうもこの国では目前の今日明日に追われ、長いスパンでの思考が極めて難しいのではないか(今回実際にそうだった)と、久々の仕事人生活を送って、たまたまの参議院投票に向かい実感した限り。









2019年7月27日土曜日

フランス(日本?)は遠し

疲れたけれど全体的には首尾上々だった日本滞在の事は飛行場でブログ用の原稿を書き上げていたのだが *、最後にガツン:



20日にあった後述のグループ展のオープニングで「チューブ」は別扱いなので安心ですよなんて皆様に吹聴していたのがこのザマだ。ボール紙製とはいえ実際この場所をこんな風に歪めるのは局所的にかなり大きな力が加わらないとありえない。本当に何が起きたのか?

翌日の朝、まだ薄暗い中、ぼやーとアトリエの壁を見ると〜、、、ウンウン、なかなかいい作品が掛かっているではないか! そして日本に行っている間にHoudanから戻った作品に荷ほどきを始めたのだが、これらは大傑作、それも壁に飾ると「昔の作品がなくなっても良いドローイングは一杯あるわい」と強気なってきた。かつ「卵」の2作は2年前無事日本から返ってきたし〜(その時は当たり前と思っていたが今では「やった〜!」)

加えてこのチューブに入る予定だった「ノルマンディの大トカゲ」と「世紀末の蝶」は下の写真のように名古屋のLギャラリーの「生き物」をテーマにしたグループ展に出させて貰えたので難を免れた。これまたラッキー!


おもむろ午後になってチューブからドローイングを出した。
思ったとおり下の方は折れて傷んでいるのは致し方ないが、驚いたことにその一つは「別の作品」になっていた!
折れ曲がった故ではなく、湿度のせいで! 

ドローイングを薄紙で保護していたのだが、これを取ったところご覧のように一杯黒い粒が付いてきて、ドローイングの方は逆に白い点(ただし形は塩の結晶の正方形)が抜かれ雪降る如し=つまり湿度を吸った結晶が薄紙に転写されてしまった! かつそれが薄紙にしっかりくっついていて、触っても剥がれない。


 今までドローイングにしっかり吸水する版画用の厚紙を使っていたのは「これでないと上手く結晶が固定しない」はずだったからなのだが、こんなペラペラの一枚30円の薄紙でこんなことが起きるなんて、どうなってるの? 東京の個展でも皆さんに説明していた「私の5年来の大前提」が覆されてしまった。。。
これ何かに使えるかしらん???

カバンの中に入った「芋虫」も同様な現象が起きていたが、これは結晶の転写は指で数える程度、昔の写真と見比べて修復。(「芋虫」は「目の肥えた東京の方」** ではなく、ちょうど東京にいた在仏の I さんが衝動買いしてくださったのだが、これで彼の眼をパスするか? ( I さん、パスしなくても実は自分で手元にキープしているのも嬉しい作品なのでいいので遠慮なくお断りください)

雪降る「別作品」になった作品の方は修復不可。これも「目の肥えた東京の方」ではなく、これまたちょうど東京にいたスイス在住の N さんが興味を持って下さったのだが、どうなりますか。でも銀座で個展してヨーロッパ在住の邦人の方に買ってもらうなんておかしいよな。 

出版した「しおあい」も結局クラウドファンディングの協力者の過半数はヨーロッパの人で、彼らに7月第二週辺りから日本から郵送しているのだが、まだ手にしていない人が多くて、、、(完全にバカンスシーズンに入ってしまうのでかなり心配)。

ユーラシアの端と端、いまだに遠いです。

注:
* 後日掲載します
** これは「田舎者の私」が銀座の一等地で個展をすることになったときに用いたアイロニー。でも銀座も中国人が溢れ、私のアトリエのある13区みたいだったけど(笑)
 
左の作品に雪が降り、右の作品はスカートしわしわ、真ん中が上手く難を逃れたトカゲ  

2019年6月24日月曜日

エイゾウ、モットハッキリ!

普通の人に比べたらまったくのグータラな私だが、最近結構仕事をしている(普段に比較して)。
パリを発つ前に「7月の画廊のグループ展に展示したい」という話があったのでそれを再確認し、「でもどれを?」という話をして、留守中に来る甥に持って行ってもらえるように梱包したのが出発前日の午後(実はどうせ留守中ウダンの展覧会から「卵」が戻ってくるのでそれを回したかったのだがそうは問屋が許さなかった。あれは個人的には最高傑作なのだが)。そして名古屋では空港から直接「本」の企画の最終校正に向かい即仕事。でも実はもうOKと思っていたが結局良く見るとその後も少しばかり訂正箇所が出て来て、印刷は東京の個展初日に間に合うかどうか??? そして実家で展覧会の準備(主に額装&梱包)。

実家はエアコンなどない。汗だくだく状態だと仕事にならないからどうしようと思っていたのだが、今の気候なら軽く凌げる。でもお店なんかに入ると「蒸し暑いですね〜」とか言われて、、、私が思うにはこれ梅雨期のマニュアル的条件反射ではないか? 今朝ラジオでは「西日本・東海地方は梅雨入りしてない」と言っていたぐらいで、高湿度でないのは私のドローイングの塩も溶ける気配が微塵だにないのがその何よりの証拠。私はもうこれに大満足。

加えて「はっきりしないお天気ですね」なんて言われると「はっきりしないのはテメーラだろう!」と心で呟く。お店の人には文句無いけど曖昧表現が多すぎる。日本にして思うとイスキア島の海岸温泉に関して「足下が滑るのでビーチサンダルを持って行くと便利かも」というのは「絶対に持って行かねばなりません」という意味だったのだと今更納得(参考投稿)。しかし何なんだろう曖昧模糊たる言い回しの一般化は。外交会議なんかでは通訳さんどうするのかと心配になってしまう。

私は、こんな歳になったのでもっとはっきり物事言いたいと思う。「エイゾウ、モットハッキリ!」とフランスで耳にタコができるほど言われたのは一義的には「発音」のことではあるが「考え」自体もはっきりしてないこと多い。だから 「はっきりすること」を人生最後の目標に致しますので皆様ご鞭撻のほど宜しくお願い致します。

でも今回空港の税関で「失礼ですがお帰りの目的は?」なんていう珍しい質問をされて、はっきりした答えはしませんでしたが、、、(笑) まあこれは決意を新たにする前の話ですけど。事実は皆さんご存知の通り、これです:


今になってもEXITMELSAのフォルムギャラリーの告知に私の個展はないし、パリのグループ展の出展者の名前にもなくて、、、いったいどうなってるのかね、この業界は?

でもやはり日本の湿度は馬鹿に出来ない。一巻きあるからと思っていた数年前に買った額装用の水張りテープがカチカチに固まっていた。今日はこれを買いに名古屋まで出ねばならないので、仕事は一旦停止、余裕でブログでした

2019年6月7日金曜日

大津絵とカタロニア・プリミティブ


上の投稿の簡単な補足。

この日本文化会館の展覧会で初めて知ったのはピカソ、ミロなどカタロニアのアーティストが大津絵を大いに評価したと言うこと。そこで突然想ったのはカタロニアの中世絵画。これも私は大好きなのだが、素朴な感じと色彩、そして決まったテーマの様式化方法には確かに共通点がある。下はカタロニアの中世の装飾写本だが「黙示録」なのに何かユーモラスで楽しい、と同時に所謂「遠近法」のない上下にダイナミックに広がる空間構成、ちょっと似てませんか? 簡単ですが今日はこれまで。




パリ日本文化会館の大津絵展は6月15日まで

2019年6月5日水曜日

エイゾウには投資しからざるべし

先週の月曜日、知合いコレクターが某アーティストを紹介するらしいのでサンシュルピス教会広場のにテントを立てたサロンにでかけた。ここには我がアトリエビルの隣人3名が参加していたのでまず彼らのスタンドに行き、ちょっと見に来ないかと一緒に我が知合いのスタンドに出かけたらびっくり、上の写真の用に私の「卵」が展示してあるのだ!
ベン*の「笑っちゃえ」というのが上にありセザール(ウィキ)のデッサンが横にありと豪華な取り巻きに嬉しさ半分、わだかまり半分。だってここは「売る」場所で、この卵は去年の秋に買って貰ったばかり。気に入って買って貰ったのならそう簡単に手放して欲しくないんだけど。。。最近はアーティストの権利が守られて、作品が転売されるとアーティストに一部利益が還元されるからなんて言ってくれる人がいたけど、そういう問題じゃないんだよな。

前回書いた肉屋さんからは、私の出したオファーに対して「この条件なら2枚買う」。それに対して私の答えは「ダメ」。ちょっと彼の関心の「意外性」に感動し、かつ黒豚に誘惑された結果のスペシャルオファーだったが、ダブルに使われてはかなわないのだ。
その後「美術への投資にも興味がわき出した」というので、「美術品は自分が傍らに置いて毎日見て楽しむ為に買って下さい。投資のつもりなら私の作品は値上がりする見込みないから止めた方がよい」と答えた。
あーあ、黒豚が遠のいた。仕方ないっすね。

そんなかんだで、ウダンで展示している作品、「あれは名作だから売れると困る」と心配になってきた。あそこで売れる筈ない(アートセンターみたいなところだから買うつもりで作品を見る人はほぼいない)と自信はあるが、この値段なら投資しておこうなんて考える人が出て来るとも限らない(私にはお金持ちの考えることは想像できない)ので。。。あと二週末。

そうそう、他のニュースとしてはキックスターターから本の企画に集まったお金の振込ありました!でもまだ国際書籍番号が届かない。日本の梅雨が怖いので持って帰るドローイング保護用にアマゾンで買ったシリカゲルは約1ケ月かかった。面白い国

* 注:ベンについてはすごく詳しいブログがありました。ご参考に。
私もポンピドー入りしているベンのブティックを初めて見たときは感動したけど70年代からスタイルも主張もずーっと同じだから(それがすごいと言えばすごいのだけど)飽きがきた。昔はベンの新聞が画廊によく置いてあって面白いから集めていたが、あの言葉の洪水はツイッターを先取りしていたと言えようか。インターネット時代になるとますます頻繁にニュースレターで配布されるようになり、「飽き」から「ウンザリ」になり最近は直ゴミ箱入り。いつものボルテージ高さには感心しますが、、、。

後記:昔ベンのことを書いたことがあるのを思い出した。5年前でした>こちら

2019年5月15日水曜日

卵は黒豚に化けるか?

昨日描いた芋虫
ウダンの展覧会が始まって一段落、不得意のミドルサイズのドローイングを再開したらまた傑作が出来てしまって、、、。でも4/28に書いたようにアトリエでシミュレーションすると、「さなぎ」も「芋虫」もテンション高すぎて来た人がすぐ逃げて行きそう。
プレッシャー少なくするようにサイズ小さくしたんだったけどな〜。東京の個展、どうなるんだろう???

ところで朝市の豚肉屋さんに作品の話をしたら、本当にサイトを隅から隅までちゃんと見て(話したらわかる)、「卵を一つ家に飾りたい」んだって。その後ウダンの展覧会の招待状にちゃんとメールで返事まで送って来て、本気みたい! 
ちょうど南仏から1年ぶりに戻って来た卵が3つあるからこれを提案しようと思うが、「割引」と交換にどういう条件を持ち出そうか? 例の3年前に書いたビゴールの黒豚ハムを死ぬまでサービスでつけてもらう? 「幸せ!多分あれ以来食べてないのでは?クリスマスで一回買ったかな?」なんて考えていたら、ニュースで明日発表になる仏国会調査事務所のレポートをまとめた議員さんが「グリフォサート(モンサントの除草剤のラウンドアップ(ウィキ)で使われている化学物質)はハムや牛肉より発癌性が少ない」とインタビューで語ったとか!(Source
嘘でしょ〜、私が身体を張って証明してみせる!!! か〜?

でも発ガン性以前にハム・ソーセージは高血圧のもと。そういえばイタリア旅行以来血圧測るの忘れていた。それにこの数日、本のこと、個展のこと、肉屋さんとの交渉、この数日色々決断に迫られることばかりで(おおげさ(笑))、 ひょっとすると芋虫以上に自分がすごいハイテンションなのかも(怖)

2019年5月11日土曜日

卵が取り持つ Houdanのグループ展



昨日から Houdanというモンパルナス駅から1時間の郊外の町でグループ展が始まったのだが、これが何とびっくり、昔このブログで取り上げた有名アーティスト、フリオ・レ・パルク (掲載記事はこちら)ジャック・ヴァナルスキ(掲載記事のリンク)とご一緒させてもらうという、記事を書いた時には想像もできなかったことになった!

Krasno はまだ取り上げていなかったが、彼は70年代に活躍したが比較的若くなり、今回息子さんが彼の作品を中心に展覧会を企画した。一言でいうとKrasnoさんのお友達展なのだが、パルクも立体作品はないものの大きな絵が4作でただ名を貸すという以上、他にも南米の有名作家が多く参加しており、軍事政権を逃れてヨーロッパへ来て助け合った作家たちの団結精神が表れていると言えよう。結果として展覧会としてすごく質が高く、参加させてもらって大変光栄なのだが、そこに私が何故?
 
実はKrasnoは卵をモチーフにした彫刻を多く作ったので私の卵シリーズが息子のG君の眼にとまった。 ということで私の作家としてのランキングが上がった訳では全くなくので誤解のないように(笑)。 

明日の昼がオープニングパーティーで、何か作って持って行かねばならない。私はやっぱり卵料理かな? つまり極めてファミリアルな「大」展覧会なのです。

Houdan(ウダン)へはモンパルナス駅から毎時58分に列車がある 。
展覧会は6月16日まで。但し金土日のみ。詳細は下のカード写真をご覧あれ

2019年4月28日日曜日

展覧会に向けて

こうやって片付けるとアトリエ、ものすごく広く見える!
今度の7月に銀座の画廊で個展をさせてもらう*。秋に伺ったのだがだが、まさかすぐにさせてもらえるとは思わなかったので、何となくどんな空間だったか裏覚え。図面をもらったのだが、その時の印象とスペース感が合わなくて、、、結局アトリエの床に図面の寸法に合わせてテーピングし、やっと場の感じが再体験できた。その結果、縦1mの大きいドローイングでは圧迫感がありすぎるように思われ、、、。ミドルサイズが合うと思うのだが、「卵でも砂時計でも小さくすれば」と思われるかもしれないがそう簡単にいかない。 海水と墨が生み出す不思議なマチエールの繊細さとダイナミックさが中途半端となり、どうもミドルサイズでは成功したためしがないのだ。だから何か新しいモチーフで挑戦できないかなと試行錯誤する日々。

つまり自分の一番良い作品を飾ったからと言っていい展覧会にならない。「場所固有」とまでは言えないものの、展覧会も画廊空間との折り合いをつける為に頭を悩ます。凝る人は会場の縮小モデルを作るぐらいで、、、。つまり展覧会は準備するのもそれなりの仕事で、これは普通の人にはわかってもらえないだろう。

実は早くから作品を取りに来たいと言っていたドイツの画廊の個展のためにアトリエにての簡易シミュレーションをしていたのだが(こちらはずっと広かったので壁の部分部分を想定して。壁に飾ってあるのはそのための作品)、それがキャンセルになり、ギャラリーの下見に行く理由もなくなったのが、急にイタリア旅行へ行った原因だった。

ところで3/24に書いた本のクラウドファンディングだが、4日で目標達成!!!
目標は必要最低限予算で低めの設定だったが、そう簡単に行くとは思わなかったのでびっくり。その後イタリア旅行している間に150パーに達し、、、でもキックスターターから「アクティヴィティがありませんけど?」と毎日催促が来る。何をすればいいのか? 折角だから4ページ内容を増やしたのだが、急に増やすと全体の整合性が崩れたような感じもあって、ありがたいことですが、新たな悩みが生じた(笑)

というわけで頑張ってます(と言わないとそうは思われないので) 。

* 予告:7/3日から13日まで フォルム画廊にてですので宜しく応援ください。本もその時には見てもらえる予定です。


2019年4月19日金曜日

アマルフィかミノリか?

前回書いたソルジェート温泉以外に、「絵葉書」のようにあまりにも美しそうなアマルフィ海岸も、それから童話の国のような白亜の壁に円錐型のトンガリ屋根あるアルベロベッロも昔からの行ってみたい場所だった。 知らないうちに後者ニ箇所はユネスコ世界遺産のお墨付きをもらい、そのせいか昔からかは知らないが、行ってみたら大観光地だった。アルベロベッロは絵葉書の様な写真から勝手に寒村というイメージを抱いていたので、お墨付き地区が大きな都市の一区画でかなりびっくりした(本当に何も勉強せずに飛び出てしまうので、、、)。実際にはあの可愛い伝統家屋のトゥルッリ Trulli はアルベロベッロのみにあるのではなく、イトリア Itria の谷に広がっており、街周辺の農家、あるいは別荘風の家屋の半数以上はトンガリ屋根をキープしていて、その風景の方が旅心に馴染んだ。

これが現実?アルベロベッロの目抜き通り
こういうところもあったけど
またアマルフィの半島の絶壁海岸はあのぐらいの美しさなら地中海岸に幾つもあるような気がするのだけれど、、、アマルフィの特有なところはそこにカラフルな建物が段々に重っているところ、そのインスタ映えぶりは例がないかな?(最近風景もアートもインスタ映えだけで値打ちが決まるとますます思うようになって来た)。かえって私はドゥオモの正面とクリプタ(納骨堂)の立派さに驚いたけど。
と言う訳で双方ともにちょっとがっかり。

こんな風に田園にとんがり屋根が散らばっている
私はガイドブック片手のいとも平凡な旅行者だから完全に観光コースからそれてしまうことはないけれど、街の人で賑わっているキャフェやレストランを覗いて入ってみるのが好きだから、客引きも辞さないような土産屋の並ぶ「お墨付き」の街は遠慮してしまう。それでアマルフィではバスで10分のミノリ* Minori、アルベロベッロではバス20分の綺麗で華奢な白亜の建物がまるでオペラのセットのようなマルチナ・フランカ Martina Francaで泊まった。観光地であっても普通の生活の生きる街をという選択。

ミノリ* は名前が親しみやすいのと、ブッキングサイトで山の上みたいな写真を載せる宿に興味が惹かれ予約したのだが、庶民的な小さな村で「わたくし的」には大正解。街の人も買いに来るテークアウトの店から、(私の嫌いなスパまであるからか)一流のレストランもある。崖の上からアマルフィ海岸を望めるラヴェッロ村へハイキング路を登って行けるし(ゆっくり歩きでも1時間弱)、そこからアマルフィにも下りられる。アマルフィからバスは朝から晩まで少なくとも1時間に一本はある。ビーチもある。なかなかいい立地だと思うのだが、何と泊まった宿は4月開業して以来私が初めての客であることが発覚。売店で絵葉書を求めると棚の奥から黄ばんだ代物が出て来るし、、、楽しすぎるほどやばいよねー、「ここだ!」と思った我が選択のマージナルさも含め。だから何かの役に立てれば幸いと(そうなるとは思えないが)、同村の宣伝を買ってでているのです^ ^

宿から降りる階段から見たミノリの町とビーチ
ミノリは人が親切だったし、何故か夜中に花火も上がって余計印象を良くした(笑)
日本人団体もいたラヴェッロのヴィッラ・チンブローネの公園。珍しく記念撮影
マルチナ・フランカで若い兵隊さんたちが肉屋で串刺しを注文して
その場で焼いてもらっていたので、私も真似をした。
勿論私のは右端の小さいもの


マルチナ・フランカは目抜き通りから一歩入ると細い道が折りくねっており、
ナビを見ても何度も迷子になった。
 これはそれでで出会えたアートしてる不思議な飾りつけ。イースタだったからか??? 

納骨堂って簡素なことが多いと思うが、アマルフィのデゥオモは違って、流石バロック、絢爛豪華。
 海洋王国時代の繁栄を伺わせる。
でもこれで驚いていたら実はサレルモは同じ様式でもっとすごかった(笑)


今日書いたところ、地名をググれば色々丁寧な案内ブログが出て来ますので旅のメインストリームはそちらをご参考に。 

*ミノリはないと思っていたら、一般的表記(発音?)はミノーリらしく、幾つも出て来た(心配することなかった!でもあのゲストハウスは心配だな→部屋は広いし、景色よし:花火の写真も宿の窓からです)

さてここまで言われて皆さんはどちらに行くか?
 

2019年4月17日水曜日

ソルジェート温泉海岸(イスキア島)

 去年から海水取りをかねてふらふら海岸地方に旅行するようになったが、ギリシャ、スペイン西岸の旅に比べて今回はもう一つだった。

一番の理由は最初に楽しさのピークを迎えてしまったことにありそうだ 。

そのピークとはナポリから30km沖合のイスキア Ischia 島の、岩場の波打ち際に温泉が湧くバイア・ディ・ソルジェート(Baia di Sorgeto)。温泉好きの私としては長年一度行ってみたいと思っていたところなのだが、ほんとうに火傷しそうな熱い湯が岩と岩のあいだからノズルで噴出したように出て来ており、そこに波がざんぶりことやって来てお湯と水が混ざる。だから適度な水温になりそうな場所を探す。でも熱くなったり冷たくなったり。一定の温度でゆっくりお湯につかるという習慣を持つ私ども日本人ならば岩でしっかり囲って適温の温水が貯まる場所を作ることになるのだろうが、ザブーンでお湯と水が混ざるどころか身体も揺られ、、、つまり「とても面倒な温泉」なのだ。

この野趣に加えて、流石イタリア、知らない人どうしでぺちゃくちゃぺちゃくちゃ、とても庶民的で、老人たちが健康の為プールの中を歩いたりマッサージを受けたりする所謂こちらの「スパ」(これで実はイスキア島は有名)とは全く違うし、日本の温泉とも違う。単にお湯の湧く変わった海岸と言った方が正しいだろう。勿論入浴料なんてないし、結局は甲羅干しをしている人の方が多い。最後に良い席を取ってずーっと入りっぱなしでしゃべりっぱなしの、風呂場を仕切っていたようなおじさんを記念撮影して機嫌良く帰って来たのだが、何故か写真がない。浮かれすぎて誤操作したか???

© tripadvisor より転載
掲載写真がないのでインターネットで調べたら、ちゃんと岩で風呂場が囲ってあるような写真もある。私の行っていたときは満ち潮で、荒天のあとだったから波もそれなりに高かったということか? 右の写真は私の見たソルジェートに一番近い感じ。

場所の写真も行き方も次の日本語サイトに完璧に載っているのですべて譲ります:

https://amoitalia.com/naples_island/ischia_baia_sorgeto.html

今読むと「足下が滑るのでビーチサンダルを持って行くと便利かも」と書いてあるが靴みたいに履けるサンダル絶対あったほうが良い。幸い大事には至らなかったが、私は直ぐに滑って転んだ。岩場だから危険。それから左回り巡回バスCSのほかに1番、21番もパンツァに行く。小さい村落で乗り過ごさないか心配になるが、バスは内陸のパンツァからサンタンジェロというこぎれいな港町に下って、そこからまた戻ってくるのでもし降り損なってもあまり問題はないだろう。(私はそこへ行って海水採取(笑))

実はこの温泉海岸は私がいつも持ち歩く、フランスのすごく役立つ旅行ガイドブックの「ルター」(Routard)に記載がない(スパは紹介しているのに)。ちなみにtripadvisorサイトの「イスキア島のベストアトラクション」のトップ10にも入っていない! 他に大したものないはずなのだけど、、、。日本人以外の気はそそらないのかな?

先に触れたようにイスキア島を訪れる一般旅行者は健康施設の「スパ」(島内にいっぱいある)に来る人が多く、町を歩いて年寄りばかりでうんざりする(今や私も一員だが)。スパはお金の余裕のある欧州の年寄りの交際サイトでもあるようで、バスに乗っていると老人夫人ハンターの会話が聞こえて来た。うんざりうんざり。
ありがたいことに当然こういう人たちは長い階段を上り下りするソルジェート温泉海岸には来ない(来れない?)。

つまり島自体は好きにはなれなかったのだけれど、この温泉は格別だった。

今回の旅行は出発前の天気予報では天気の良いはずの南イタリアなのに例外的に雨が多かったのだが、実際そのとおりで、天気予報が翌日は良しとするのでそれを信じてナポリに着いて翌日荒れた海をフェリーで渡り(それがFBに載せた下のビデオ)、快晴の一日を午前は島の中心のエポメア山に登って(フォンタナFontanaという村から登山道が整っている。ゆっくりあるいても山頂まで1時間だろう)、午後は温泉で過ごしたのだった。
それに結局この一日がおそらく10日間の旅行で一番の好天だったのだ。。。

エポメア山への山道こんなところも。ここは学校の遠足コース?

2019年3月24日日曜日

初めてのクラウドファンディング

2013年の「海水ドローイング」の始まりの逸話から去年の夏に至るまでの発展経過を本にしようと思うのだが、その出版にクラウドファンディングなるものを試してみることにした。
本の内容は既に肩が痛くて仕事にならなかった夏に書き始めたが、秋になって結末の大転回があり、書き直し(何のことかは本が出来上がってからのお楽しみ)。年末にカレンダー * を作ってこちらで予約購入を募ったのだがそれほど集まらず、マージンが小さかったので30部だけ刷ったのだが新年になってからほしがる人が幾人も登場し、、、私はこういう管理運営(?)に向いていないので、はじめからファンディングを募って余裕で事を運んだ方が良いと(笑)。
それにクラウドファンディングの大先輩 ** にきくと、ファンディングだけでなく知らない人に企画を知ってもらう手段でもあるとのこと。私の本は日仏2カ国語なので日本のファンディングサイトを使うかフランスのかと迷って調査検討した結果、色々な言語を(必要ならばページ下方で)チョイスでき、手続き・条件などを日本語でもフランス語でも読んでもらえ、そしてわざわざアカウントを設けなくても融資できることからキックスターターを使うことにした。デメリットとしてはアメリカの会社なので利用者の大半が英語圏の人であること。でも「やっぱりこれか」と決めたのが1月で、それから他の人の企画を見て研究、でもやってみないとわからないことも多くてもたもたしていたが、やっと一昨日に立ち上げた。



だから今晩で丸2日なのだが、出版に最低限必要な目標金額20万円の半額を越えた!!!嬉しい! 融資者に大感謝。とはいえ直ぐに協力してくれそうなファンの方のあとが大変なのかもしれない。

普通の人は「英三君は寄付しなくても生活に困る訳ではないし」と思うに違いないが、キックスターターの他の企画をみてもらってもわかるように音楽とか映画とか新アイデア商品とか、これは「寄付」ではなくて「企画への支援・参加」。今日出資して下さった方では40ユーロの枠なのに150ユーロも寄金して下さった知人もいて(大感謝)、そういう風にポジティブな参加意識で考えて下さいね〜。
そしてこれは "All or Nothing" で、目標に到達しなかったらボツ、つまり集金されないという徹底したシステム。
だから融資希望者の意思を無駄にしない様に頑張らねばなりません。

参考:
* カレンダーとはこれのこと




** クラウドファンディングの大先輩で集める金額も少なくとも一桁は違うの岩名さんの映画『すさび』は今大阪上映中です

2019年3月18日月曜日

謎のビデオ?



これはFBに先週水曜に掲載したビデオだが、「何を言っているのか知りたい」というリクエストに応えて。
大体のところは:

「今度またHCE画廊でドローイングを展示するのですが、その作品の一つは昨日までここに飾ってあったものです。グループ展は『オルフェの歌』というテーマがあって、作品は卵型のモチーフのシリーズの一つですが、オルフェの竪琴の様にも見えますよね。上の方の黒い部分は地獄の景色、地獄への回廊を思わせるでしょう。勿論いつもの様に白い部分に結晶があってバリエーションがあるのですが、この作品では黒い部分も様々に異なりを見せています。こういうところは実際の作品を目にしないとわかりませんのでサンドニまで来て下さい」

という宣伝でした。
編集なしの一発流し撮りにしては私としてはよく演じれた(笑)但し3回NGだしましたが



上は土曜日のオープニングの模様。いや〜、パノラマ写真も本当に簡単にFBからコピーできる! (嬉)
私の「オルフェ」は端の方でよくわかりませんけどね

2019年3月11日月曜日

「奈良の宝」展


ちょっと新しい方法発見。FBの写真と書いたことがブログに写せるみたいなのだ。
写真の興福寺の筋肉もりもりの金剛力士像に関して私は特に書けるほどの視点をもってない。その前日に行った「キュビズム」もは既に終わってしまったし、今更私が書くことないでしょう。強いていえばこのポンピドーの年代順に追った展覧会、膨大な数の絵を前に数年間のピカソとブラックの色々な新技法試みのおびただしいスピードを再認識。
実は「今更キュビズム」と思って最後の週まで放っておいたので、最後まで到達するまで頑張った。つまり法外の量の作品があって本当に疲れた。
その翌日は「奈良の仏像展」と思って行ってみたら、金剛力士像と地蔵像の3作が円形図書館ホールに鎮座するのみ(今サイトを見ると展覧会名は「奈良、3つの仏教の宝」となっていた〜)。興福寺の開陳ではどうなのか知らないが、ギメ美術館では横からも後ろからも、かつ空いているのでゆっくり衣類の装飾の詳細まで眺められる。それに右のような中綴じA4版の立派な冊子(仏あるいは英語)までも貰えた! まだ残ってるかな? 会期は後数日、16日まで。

2019年3月10日日曜日

Hicham Berrada 展

3年前に書いたことがある、「化学の実験」をアートに仕立てるヒシャム・ベラーダHicham Berradaの個展が6区の画廊で行われている。彼の「出世作」(?)は「présage(兆候)」と呼ばれるシリーズで、酸の中に金属(鉱物)粉を垂らして、泡立ったり色が変わったりたりしつつ、突然にょきにょきと新たな海中で新たな生物でも発生したかの様な金属化合物の不思議な動きをビデオで捕らえた作品。実はこれは小さなビーカーの中の世界なのだが、大きな画面にプロジェクトしてスケール感を変える。今回は画廊地下でほぼ360度円形に投射して、見る人がその幻想的な空間に入り込みやすくしてる。


ただの化学現象と言えば化学現象だが、こういう唐突な美しさを探して酸度を変えたり鉱物を調合したりする科学者はいないから、アーティストの彼がいなければこんな魅惑的世界は我らの前に現れなかった。
画廊の地上階はというと、ビーカーの中の「にょきにょき化合物」みたいなブロンズ彫刻が並んでいる。これは溶かしたワックスを水中に落としてオリジナルを作った。これまたロウの組成、温度、水のpHで生成が変わるらしい。
もちろんすべて化学者にサポートしてもらい技術探求したのだが、どこまで制御されているかは謎?

私は結局前回取り上げたような「織ったり編んだり」の手仕事で作り上げる世界より、こういう偶然性が高い、パラメーターは考えるけど後は自然にお任せする作品の方が好きみたいだ。(自分の作品でもかなりそうだが(笑))
といってもビーカ内の小宇宙をビデオできれいに再現するのも一筋縄ではないと思う。

ブロンズ作品は幾つもあったが、ひとつだけ真っ白の、珊瑚かイソギンチャクのミュータントみたいな作品がある。これは「発生学」の数理研究から生まれたアルゴリズム* を使った作品で、3Dプリンターで作られた。そう聞くと簡単そうだが、複雑だからプリントにすごい時間がかかり、幾つかの部分に分かれていて手仕事するところもあるそうでこの一作に3ケ月(4ケ月だったかな?)かかったとか。だから一点のみ。貴重だからなのか上の方の手の届かぬところに飾ってあった。壁も白いから見逃しますよ(笑)。

彼は若き(86年生)売れっ子現代アーティストなのだが、シャイな少年風で、話すとただただ実験的制作が大好きでという気さくさが表れすごく好感が持てる。1年半前に郊外の町の修道院が改造されたアートセンター abbaye de maubuisson** で個展があり(あのときは記事にしなかったけど)、そのオープニングの時にも色々質問に答えてくれたので今回もちゃんとオープニングに行って話をして来ました。

kamel mennourのセーヌに近い第二スペース画廊
6, rue du Pont de Lodi 75006 Paris
にて4月13日まで


* 実は私は大学の時そういう方向に進む可能性があって「イソギンチャクの触手発生モデルやるか?」なんて担当教授に勧められたことを思い出した。今は昔

** そうそう、この旧修道院のアートセンターは2013年にシャプイザ兄弟の展覧会で大きくとりあげてました

2019年3月8日金曜日

縫・織・編

Judy TADMANとソーニャ・ドローネ
前々回に一つの流行とも言えそうな「縫い物アート」について触れたが、まさに「織る、編む」をテーマにした展覧会に遭遇した。テーマも手法も作家の世代も、幅広く紹介という感じで、数少ない作品で傾向を一望。私が皮肉めいたことを述べた「手芸ドローイング」の類いは不思議になかったが、その道の一人者を中心に集めた割にはインパクトがない。それぞれの作品は悪くはないが、「織る、編む」という行為は(展覧会では避けているが美術界一般に見て)似通った作品を産むようで、作家の個性が出にくい世界のようだと再度思った。
この展覧会はEspace Monte-Cristoという、20区の庶民的エリアに新しくできたスペースで行われているが、ここは南仏のアヴィニョンから近いきれいな町の Isle-sur-la-Sorgueに2014年にできた財団 Fondation Villa Datris のパリ出張所(?)で、昨年開催されたテーマ展の一部ということ。

Tissage/Tressage
6月29日まで続きます。入場無料(笑) 
Marinette Cueco 彼女は草を絡ませて繊細な作品を作る。今回の展覧会では特別大きく取り上げられている


Cathryn BOCHの地図を縫い合わせた作品
Stéphanie Maï Hanus ゴミ袋の結びあわせたドレス
この展覧会の参加の圧倒的大多数は女性で、だから概してジェンダー問題に発展させられがちなのだが、ごく少数ながら男性作家も。最後の丸い作品はSupport/ Surface シュポール/シュルファス(美術用語辞典)というフランスの70年代の運動の作家の一人のPatrick Saytourのもの。こういうほぼ何も手仕事してない作品の方が結局私の趣味かな。男性らしいと言おうか(笑)*

この展覧会でちょっと異色だったのはジョアナ・バスコンセロス Joana Vasconcelos
ポルトガルを代表するこの現代作家は今、2年前に塩田千春のインストレーションが行なわれた百貨店のボン・マルシェ(Bon Marché)のエスカレーターが行き交う大きな吹き抜け空間に、ディズニーのアニメ漫画の美意識から産まれたような超巨大でLEDが光るキッチュでバロックなオブジェをぶら下げている。この悪趣味さ、あまりにあまりなので面白い。空虚な装飾性がテーマなのかとは思うが、その(批判的行為)のためにこんな空虚なものを創るというのは「現代アート」ならではと、今更ながら驚く。作家の写真・ビデオを見る限りそんなにシニックな人には見えないのでコワイ:あるいは私の完全な読み間違えか?と今調べたら、これの宙に浮く作品は「シモーヌ」と言うそうで、アウシュビッツを生き、妊娠中絶を合法化したフランスの政治家シモーヌ・ヴェイユ(日本語ウィキ)と「第二の性」のシモーヌ・ド・ボーヴォワールへのオマージュだとかで、彼女は社会問題を取り上げる作家だそうだ。全然わからんけど。

3月24日まで。勿論これも無料です

参考


ボン・マルシェの展覧会サイト

先にもリンクした私の2017年1月の投稿

当然ながら最初に取り上げた展覧会には塩田千春の作品も含まれています。

* 注: 「編む」でも竹や藤となると男性の仕事になる。ケ・ブランリ博物館で日本の竹細工の展覧会 "Fendre l'air" が催されていたが、これは逆に全員男性だったのではないかな。竹とは思えない繊細な工芸品が一杯でした。(最後の写真は一番現代アート的作品):4月7日まで

前々回の投稿も宜しく