2015年11月2日月曜日

カプーア展とその波紋

 今年は1月のテロ事件以来、色々なことがらが次々と起こり、機を逸してしまった下書きが幾つもあるが、「アートフェアに行かなくても」という筋で載せれたかもしれないヴェルサイユ宮殿の庭のカプーア(Anish Kapoor)の展覧会は昨日で終わってしまった(これは6月から始まっていたので当たり前だが)。近年ヴェルサイユはルーブルの様に現代アーティストを招来、ジェフ・クーンズ、村上隆、リー・ウーハン、ペノーネ、実は私はどれも行っていなくて、、、先月重い腰を上げてやっと行ったのは、まあまあよく褒める作家だからだが、今回は規模が大きいだけで大したことなかった(いつものような不思議さがなく、「見せ物」っぽい)というの私の意見。この渦巻きは実際に現場ではゴーゴーと音を立てていて、そこそこ満足はしましたが、宮殿のサイトの写真のように柵がないとまた違っていただろうと思う(実際その写真にかなり釣られた)。

 

実は「女王のヴァギナ」(vagin de la reine)と名付けられた鉄のトンネルのような巨大な作品は、私には何故それほどの波紋を起こしたのかわからないが、物議をかもし、何度も落書き(特に極右的メッセージ)がされて、柵がされ、警備員までいた(昔は中に入れたのかもしれないが?)。面白かったのは落書き部分が金色で覆われていたこと。「最後に全部金になりました」ってのはスキャンダルを見越した楽しいコンセプトになったと思うが、これも作家への冒涜でしょうか? それはともかくカプーアさんがこんなことで有名になるのは残念。

これを受けてか、3月に紹介したアジア顔の文化大臣のフルール・ペルラン(Fleur Pellerin)女史が提出した新法案の第一条は「芸術の創造は自由である」となっているらしい。流石おフランス、素晴らしい! だがこれは「お墨付きアーティスト」は特権階級ということにもなりかねない。この法案の中でもっと大事なことには、フランスの景観を守って来た面倒な建築許可制度をひっくり返す項目もあるので、ちょっとやぱい。加えて彼女は「今日では新しい世代の様式、表現欲求に基づいた彼らの尺度で、芸術、文化へのアクセスを考え直さねばならない」「壁へのグラフィティのような、彼らの自発的な文化行動に基づき」等々と発言。いったいどうなるのだろう? どうもペルラン大臣、私が心配していたレベルを遥かに越えているようだ。

参考:

カプーアに関した以前の投稿:2014年7月29日「カプーアとバイヤーズ」

後半の内容の元はこの記事:Marianne紙「ペルランはマルローとラングを一緒にしたより強い」 
(特に建築許可の件端折りましたのでご参考に)

2 件のコメント:

  1. 始めまして。センスの良いメッセージですね。FB友の大谷さんがアップロードされていたので興味がありました。これからもリポートをよろしくお願いします。奏松松久

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  2. 秦松様、ありがとうございます。私のブログには何故かコメントはほとんどないのですが、拒否するどころか歓迎ですのでよろしくお願いします

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