Galerie Moisan 72 rue Mazarine Paris 6
宮脇綾子のアップリケ作品、野菜や魚などがテーマで所謂「手芸」なのだが、それが主婦の営みとか趣味の範疇を越えてアートになっている理由は、ひとえに彼女の布の組み合わせの大胆で見事なセンスにある。 例えば大根を絵にしたら普通の人ならば、根は白、葉は緑で描き、普通の主婦がアップリケしたら白と緑の布を選ぶ。それが彼女の作品は大根が見事な入れ墨でもしたような装飾性あるモチーフで満たされ、細いひげ根がちょっとぎくしゃくした縫い糸で描かれる。すべては色彩と形のコンビネーションの問題と片付けたいが、具象画題の野菜のみずみずしさは保たれたまま。ここがエライところ、つまりずば抜けた芸術的才能(としか言い様がない)。
刺繍や編み物などはすぐにジェンダーの問題に絡むので、それを武器にした女性の現代アート作家は今どきうんざりするほど一杯。縫い物ドローイングの作家は私が知っているだけでも何人いることか、、、。その多くはその政治性抜きではアートでもなんでもないような作品なのだが、宮脇綾子の作品はその対極で気持ちがすっきりする。
(掲載写真は次のサイトから拝借 photos empruntées du site suivant : artcommunication's blog)
Galerie Moisan 宮脇綾子展 72 rue Mazarine Paris 6
3月末まで会期延長!!!
いつもながら言わずもがなの批判をしてしまったが、ジェンダー性あるいはそれ以上のトラウマにがんじがらめでも、見事にそれを視覚作品に昇華させる人作家が知合いに一人、Yveline Tropeaさん。
彼女はビーズ刺繍で私は苦しくて直視していられない類の光景を描くのだが、細部にわたる色彩、素材感が素晴らしく思わず見入ってしまう。こちらは全然「ほのぼの」せず、「ぎょえ」で、本当の意味で宮脇綾子の対極かも?
彼女は自分で刺繍するのではなくアフリカ、ブルキナファッソにもアトリエを持って、現地の縫子さんに作らせているところも非常に現代アート的。とはいえデッサンから最終作品へ導くビーズとその縫い方のチョイスに職人技術に精通した冴えがある。昨年秋にデッサンとビーズ作品を並べた展示があって写真はその時のもの。
(デッサン、ビーズとも作品の細部)
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