いつも作家紹介は「ウィキペデイア参考」でごまかしているが、まだ彼らはそれほど知られていないようだ。だからすご~く簡単に書くと、もともとはシリル、 グレゴリー・シャプイザの兄弟で始めたが、今はグレゴリー(1972生)が「企画原則一致」の条件で仲間とジョイントして制作するスイスのグループ(つま りいつも一定のメンバーでもない)。例えばこの個展の作品の「企画原則一致」はどういうものかというと「修道院の空間に水平、垂直、直角のない木造の回廊 を作る」というようなもの。今回は8人グループで3ヶ月かけて制作した。作品は写真ようなドラゴンがうねっているような外観で、その中を見学者は登った り、時には這ったりしながら通過する「体験型」インスタレーション。まあこのぐらいなら最近はよくあるかもしれないが、びっくりしたのはそうは簡単にトン ネル回廊を通過できない。気軽に中に入ったが、所によっては痩せた私も下手をすれば挟まってしまったり、急傾斜ですべりそうになったり、つまり流行の 「アートと称した遊園地」に比べると「正味の肉弾戦」が待っている。グレゴリー君は「誰もが通れるようなものは作らない。なぜなら作品が制限されてしまう から。そしてどこまで安全規制のリミットを伸ばせるかが戦い」と言っている。制作プロセスも「経験則」というか行き当たりばったり、この作品も全体の設計 図を描いてから始めたものではなく、スタート地点から増殖して行く形で、かつグループのメンバーの自由度も認めながら徐々に延長された。外観はドラゴン、 中は何でも斜めでドイツ表現主義映画のカリガリ博士のセットみたいだなと私は思ったが、グレゴリー君は思想背景とか影響とか、小難しいことは全く語らな い。「自分は作業者で思想家ではない」「苦労して作るのが好きだ。だから見学者はそれを体感してほしい」等など、こんなことでよく「現代アート」界で一目 置かれる存在になったものだとあきれてしまうほど単純明快。そのとおり本人も実に気さくな人だった(小さな写真にある昔のヒッピーのような長いあご髭のお兄さん)。
11月3日まで続きますから是非行って下さい。入場無料。夏は修道院の緑地でピクニックもよさそう。ともかく動きやすい服装、運動靴は必携。インスタレーションに入る前に柔軟体操をした方がよいですよ(私のアドバイス。実は今日は腿が痛い)。
シャプイザ兄弟のサイト(英・仏語)はhttp://www.chapuisat.com/x/
修道院はhttp://www.valdoise.fr/6444-l-abbaye-de-maubuisson-site-d-art-contemporao-.htm
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