2013年3月27日水曜日

パリのオークションハウス

パリにドゥルーオ Drouot というオークションハウスがある。近年は超高級のものだけを扱う出店がシャンゼリゼ近くにもできたが、元々はオペラ座の近くの同名がついた地下鉄の駅近くにあり、どうしてこんなに売るものがあるのだろうと思うほど毎日毎日いくつものホールで競売が催される。絨毯だけとか、古貨幣など、専門蒐集家のみを対象にした競売もあるが、多くは壁には絵、ホール内には家具、そしてガラスケースの中には宝石というように、何でもありの競売が多い。競売の前日と当日午前は競売品展示会があるのだが、私は何でも見るのが楽しいので、近くに行った時は何となく足が向かう。先日行ったら日本の戦国時代の兜、鎧の一式が並んでいる所もあれば、こんな鳥獣戯画のような超悪趣味な蛙の皮で作った人形もあった。奇抜なものがあって結構楽しいのがわかってもらえるだろうか? 
当然展示会は誰でもただで入れます。


鎧は確か「評価額」200万円ぐらいだったが、カエルは一体いくらで誰が買うのか興味津々(流石の暇人の私も、その為に翌日競売に立ち会うことはしなかったが、ちょっと気になる)。
ドゥルーオに出入りするのはほとんどが骨董屋さんなどの商売人。当然彼らの付け値は転売を見込んだ値だから市価の半額ほど、だから一般コレクショナーも買いにくる。カエルも、世の中にはカエル好きな人がいるから、そういう人に売ることを見込んで骨董屋さんが買ったことと思う。
不景気かと思いきや、最近はロシアや中国のバイヤーも多く、ネットで写真を見て付け値をしておくことも出来るので、ドゥルーオは結構繁盛しているようだ。

この種のオークションは、それを企画するエージェンスがあって、「近代現代美術」を扱うその一つからメールが来たのでデッサンを送ってみたら電話がかかってきた。早口でわーっと契約条件をまくしたてられたが、「売れた時は半額を払う」はいいとして、納得いかないのは「売れなかった時に手数料一作につき200ユーロ」。「なんで〜」というと、写真を撮って競売用カタログをつくり、宣伝するからというのだが、大きな絵ならば別だが小さなデッサンなんか私の撮った写真で十分だ。ぼっている。まあ即答はさけ、ちょっと考えることにした。というのはオークションで売れると「市場評価額」というのが定まって、それはそれで面白いかもしれないと思ったから。「格付け会社」の評価でパニクるように、普通の人はそういうものに惑わされやすい。
それで策略を考えた。友達に私が普通に小さなデッサンを売っている値に近い400ユーロを言い値にしてウェブ経由で出してもらえば、他に買いたい人がいればそれ以上の値で売れ、売れなくて手数料で取られることを思えば妥当な「評価額」が築けるという利点がある。何となく売れるような根拠なき楽観もあって、いい作戦には思えたが、エージェンスの「本当に売る気があるのかわからないぼったくり条件」は許せぬものがある。だからメールで3作200ユーロなら参加すると答えてみたたところ、結局返事がこなかった。お陰でインチキをしなくて済んだ。 小細工には大きな落とし穴もあったかもしれないし、、、。
それより皆さん、「評価額」など気にせず、自分の眼で評価しましょうね! ドゥルーオは眼の鍛錬の場としてもいいですよ。

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