勿論「どうでもえいやないか」とは決して思わない。特に私は反対なのだから。「実際的な反テロ的効果がゼロ」なことは誰もが認めているのだが、政府は象徴的行為が必要だと言い張っている。私には国籍剥奪どころか「非常事態」の項目を憲法に定める必要があるとさえ思えない。憲法になくても実際11月以来「非常事態」は実施されているのだから。
火曜に下院で採択され、憲法に盛り込まれる予定のその「非常事態」の条項によると「国家秩序への重大な侵害から生じる差し迫った危機あるいは国家の惨禍」ということで(public:公共という単語はこの場合「国家」でよいのだと思うけどnationという言葉も使われるので、専門家でない私の解釈は正しくないかもしれないが国家にせよ公共にせよ国民にせよ)、これならテロでなくても重大な原発事故でも適用できそうと思う。国家に対し国民の権利を守ってくれるのは民主憲法、だからこそどんな状況でどんな風に使われるかわからないことを憲法に入れてはならないのだ。
かつこの私が国籍剥奪以上の大問題と思う改正案第一条の投票に議員441人が欠席して103人の投票で採択された。ええっ、国会議員もどうでもいいと思っている?
「憲法改正は60%の賛成が必要で」と何度もマスコミが言ってフィーバーしてたのでどういうことかと思ったら、実のところ下院、上院を過半数で通過した後に両院全議員の総集会がヴェルサイユであり、ここで60%が必要となる。だからそれまでは欠席でも影響なし???
とはいえ第二項「国籍剥奪」の条項採決では出席議員が増えて317人集まった。私の知らぬ間に「二重国籍に限るという」という条件がなくなって、平等に仏人だれでも国籍剥奪される。でも無国籍は出せないので実際には「投票権などの国民の権利の剥奪」ということになるようだ。というように内容が二転三転して、はなっから改正必要なしと思っている私は聞く気にもならないのだが、私が一番興味があるのは、国民の大多数(11月には何と94%、その後下がったとはいえ1月でも70%を優に越す)が賛成していることとの極端な乖離。買いかぶってみれば、政治家は国民の「感情」よりももっと大局のことを議論していると言えるだろうが、どうみても不毛なことに彼らおよび関係各局の官僚たちのエネルギーが割かれている。反対の私も賛成の大多数もこれは一致した意見だと思う。
兎も角ですね、例えばモロッコ人移民の子供でフランスで生まれ育った若者が過激化してテロを起こした場合、仏国籍を奪って刑期後はモロッコに受け入れさせるということ? フランスの教育・社会問題でしょ、無責任にもほどがある! とかっかしても私には剥奪される国籍もないのですわー
後記:ごく少数派でがっかりしていた(1/16)のですが、昨日ラジオで私が日頃思っていたことを言っている人がいたので本日自信を取り戻して書きました。
写真は本稿とほぼ関係しませんが、FBに載せたら好評だった「パリの由井正雪」です
「国籍剥奪」に触れた以前の投稿
トルコとスイスとフランスの三重国籍(お父さんの国籍とお母さんの国籍と生まれたフランスの国籍)持ってる友達に言ってあげたのですが、多国籍持ってる人にはこれは「ババ抜き法」ですよね。どの国もテロリストとババとPatate chaude(茹で立てアツアツポテト)はお隣の人に即押し付けたいのですよ。だから早く裁判して先に国籍剥奪しちゃった方が勝ち。うろうろしていると最後の国になってババを抱えて討ち死に。。 こういうPopulismeにこの国の政治家も陥っちゃうのかな・・・。まあ、右派が多数の上院で右派の修正案がついて可決。法文が違うので、それがまた下院戻って左派が多くて否決で、結局は廃案になる可能性が高いそうですが、本当にイライラしますよね。単なる時間稼ぎと民の声を聴いてるぞジェスチャーしてるだけのくせに・・・。
返信削除イライラというよりやっぱり私はむなしい。やる気がなくなります(=眠くなります)
返信削除