2017年1月17日火曜日

嫉妬深きはエイゾウ

Nさんがとうとう彼氏と結婚することになり、ウェディングパーティーに招いてくれた。趣向は彼女の友達の美術作家が担当するとかで、、、。

招待客がカフェ・テアトルのようなごく小さな円形劇場に入ると舞台にいた燕尾服の男優は黒い背広のポケットから何かを出したと思ったら、それはさーと白い十本の糸となって空をまたいだ。その糸は飛ばされた真っ暗な奥の方で白い羽となり、進むと床は草花が何百のホタルに照らし出されたかの様に光り、まるで銀河の上を歩くよう。ずーっと先の赤茶けた岩肌の崖の前にいた初老のデヴィッド・ボウイのような俳優が何メートルも地上から上昇して浮かび上がったと思ったら、口からはーっと長い白い煙を吐き出した。
驚きの連続、「ハイテクの舞台美術の人には負けるわ、悔し〜いぃぃ」と思ったら目が覚めた。つまり夢でした。

僕こういう風に夢の中で「すごいアート」をされて嫉妬して起きることがある。
現実の場合は、例えば名古屋トリエンナーレの記事で書いたデュクフレなどを見て「すごいなー」と感嘆しても嫉妬することなんてないし、フツウの美術の場合でも素晴らしい作品には賞賛するばかり。つまらない作品が評価されているのに「何で〜」と癪に障ることはあっても、この「夢の中の嫉妬」とは全く種類を別にする。
およそ人の創造性なるものは生まれ持ったもの+その人が培って得たもので、これに嫉妬するほど私も馬鹿ではないのだ。だが夢の中に出て来る人物はすべて自分の分身ということらしいから、これは自分が達成できない作品の。。。。

精神分析はアメリカ社会では茶飯事らしいが、パリでも意外に分析を受けている人が多くて、この前友人宅の十人ほどの会食者中、分析経験がない人は私だけだった。確かに集まった有識者の皆さんは私より病的に思えた(笑) 「英三も受けた方が良い」と逆襲されたが、今更ね〜。

会食者の中にもいたが、分析を受ける人にとって分析医が亡くなるのは大ショックらしい)。私は歯医者を「なくして」それなりにショックだったのだが、、、:20年近くの付き合い(?)のF先生が、治療中なのに私を見放すごとく年末で引退。一応若い先生にデータとともに診察所が引き継がれる。朝市のブレアにしてもピザ屋にしても、ある種「生活の指標」がなくなるのが不安原因だと思うのだが、分析医に関しては内密の話をすべて知っている人だから少し事情が異なるようだ。門外漢の私には、そんなに何でも知っている人は亡くなってもらった方が気が楽になると思うが。

前記の会食メンバーは有識・有産者階級だったが、美術家仲間で分析を受けているというのは聞いたことがない。制作自体がテラピーということもあるが、先ずは治療費が払えない。精神分析の功罪は兎も角、分析医は美術愛好家も多いので、治療費の1%でもアーティストに分配されているかもしれないと思うと、治療にも関らず有識・有産階級の悩みが容易に解消されないのは、それはそれでいいかと現金に考える私である。

今日の夢の話につけられる写真はありませんね〜。だから日本で撮った歯のパノラマ写真で。10月に日本で苦しんだ歯痛は11月に再発、「文字通り」奥深いものとわかり、12月の歯根専門医の治療、それに次ぐ最終治療はF先生の後任に3月に引き継がれることになった。3月というのはそれまで診療所の改装工事で、、、「そんなので大丈夫?」というのが私の受けた大ショックの一部でした。(参考)

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