2019年8月18日日曜日

例で見る所得再分配

税務署から所得税課税額通知が来た。と言っても私の場合は零ユーロ、つまり非課税通知なのだが(笑) でもこの事実に恥じいることはない:実にフランスの56%の世帯は非課税。つまり私はごくフツウの市民なのだ。

まあそのぐらいの統計と税金の使い道の円グラフなんかは毎年同封してあったと思うが、今年は見出しに「所得の再分配はどう行われるか?」と書いてあって、年収73160€(約880万円)のカップルと3260€(約39万円)のカップルの家庭で比較がしてある。 おそらく課税対象収入だとは思うが後者は私より低収入だから目を疑うが、そういうこともあるとして続けると:

右図で双方とも、最初の下向き矢印は社会保険費の支払い、第二が直接税(主に所得税、住民税?) 当然後者カップルは所得税はゼロのはず、住民税も収入によるはずだから30€は何かわからないが、飛ばして次に行くと、第一の上向き矢印は家族手当(多分子供二人を前提か?)で所謂「貧乏家庭」は一挙挽回、収入を超えた。第二の上向き矢印は住宅手当、第三は就業手当と最低生活保護を得て年収は約1万ユーロ(約120万円)、つまり元の3倍になり、「高収入家庭」の1/20だった「低所得家庭」が1/5に格差を縮めた! 

「こうして貧富の差がつきにくい社会を形成しているのですよ〜」とアピールしている。「社会主義」の面目躍如?
私は日本でしばしば「よく生活できますね〜」と感心されるが、実際私もかなりおかげを被っているわけ。だから私は「フランスでなければ生きて行けなかった」と大いに感謝している。しかしその一方一般的には貧富の格差は広がるばかり(これは歴然たる事実)で、昨年秋から「黄色いベスト」運動で低所得者層の憤懣が噴出したのはご承知の通り。富裕層の大統領とその政府という批判を緩和したいという願いがこの例ににじみ出てるような。

加えて先に就業手当と訳したPrime d'activité * はマクロンが引き上げた。とは言ってもこれは先の「黄色いベスト」の突き上げを食らったからの懐柔策で、それがなかったらそんなことは考えなかっただろう。そもそもマクロン君は社会主義的社会をフレキシブルにする(解体する)つもりで大統領になったのだから、心なくも採った政策を逆利用した結構面白い自己宣伝のようで感心したな〜(笑)

でもそもそも年収1万ユーロ(約120万円)で子持ち夫婦が生活できるか??? 何かわかったようでわからない例だったので詳細があるのかと、「もっと知りたい方へ」とあった文字通り「私の税金は何に役立つか」というアドレスのサイトも見たがほぼ深まらなかった。まあいつも課税限度に達しないので見もしなかった逓増所得税の計算の仕方を初めて理解できたことだけは収穫だったが。

実はフランスは「源泉徴収」が今迄なくて今年がその切り替え年、だから普段よりはこんなチラシを読む人も多いかも。まあともかくマクロン君、人気挽回に懸命みたい。


* 政治経済の話題を1月23日以来取り上げていないが、そのときに書いた上の例にあったPrime d'activitéは無事にもらえて我が生活には大助かり。これは12月の「暴動」のお陰でしょ。「結局は暴力しかないんだよなー」と見切ったのだが(勿論煽る気は毛頭ないが)、「暴力はいかん。だが警察(政府)側の暴力もある」という私には欺瞞的に思われる「良識ある見解」が一般的。また「黄色いベスト」運動も経済要求から警察暴力反対運動のようになってきて、私には何がなんだかよくわからないのですわー。

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