2019年8月10日土曜日

レスピューグのヴィーナス

(texte français en bas)

最近すぐいろいろなことを忘れてしまうので、これも昔は知っていたに違いない「再発見」。でも新鮮でした!(本当に知らなかったのかな?(笑))

日本語ウィキもあるのだが、なんか妙な記述があるので改めて書かせていただくと:

マンモスの牙から彫られた高さ14.7cmの女性像で、ピレネー山脈の山麓レスピューグ Lespugue の洞窟で1922年に発掘され、発見された地層から2万2000から3万1000年前と想定される。
発見時に発掘用のピックで破損されてしまい、写真でわかるように先史ヴィーナスで見られる豊満な垂れ乳が正面部からパックリとなくなっている。

この一撃(?)を食らわしてしまった作業者(?)はいたたまれなかったろうが、この壊れ方がなかなかで、曲面(丸み)と平面(直線)ががっぷり四つで拮抗し、かつ自然な面もあるし、それが見事に調和、とても素晴らしいのだ。
それに傷かどうかわからないほどの顔の表情もニクい。

きっとキュービズムの作家にも影響を与えただろうと思ったが、発掘が22年ではリプチッツ(Lipchitz)やローレンス(Henri Laurens)が立体主義彫刻作品を発表しているのはその何年も前なので私の想定は成り立たない。

この像はパリの人間博物館の所蔵品で、博物館のサイトでは写真を3Dで見られることを発見:
http://cabinetdecuriosites3d.mnhn.fr/fr/content/v%C3%A9nus-de-lespugue

背中側も見られるし、ライティングも変えられるし、わざわざ二度も参拝することなかったかという感じ。

というのはこの「再発見」(?)、実はポンピドーセンターで開かれている「先史時代」展(Préhistoire) にてで、私はとてもこのヴィーナスに感銘を受け、かつ展覧会規模が大きすぎて一度では全部見られなかったこともあり、再度足を運んだのだ。

同展では前面しかよく見れない展示になっており、上の3D写真のようなことはできないし、謎の臀部から脚にかけた三角状に引かれた線は見られない。場所はどうあれ私は誇張された陰毛かと思ったが(それこそピカソ?)、この時代に陰毛描写された例はないらしい。(というわけでこの想定もバツ)

同展では考古学品と主に近代の芸術作品が沢山並らぶ。こういう極めて博学的かつ恣意的な展示って意味あるのかなーと思うけど、普段は見られない美術館の所蔵品も出てくるのでそれなりに行く価値あり。


そうそう、わたくし的にこの展覧会でのもう一つの大目玉はイタリアのアルテ・ポーヴェラ Arte Povera 系の作家クラウディオ・パルミジャーニ Claudio Parmiggiani の "Cripta"。これはジンバブエの美しい洞窟絵画の巨大な模写(右写真)が並ぶホールにあるので 、そちらに目を奪われ、背をかがめないと入れない暗室の外からチラッと覗いて手形が壁にあるだけかと結論してしまう人が多いのだが(既に沢山の展示品を見て大抵の人はもう疲れているのでパスする)、中に入って少なくとも1〜2分はいてほしい。すると目がだんだん暗闇に慣れて、どんどん手形の数が増え、かつ色も違い、最初に認識しえなかった数えられない数の手形で壁が覆われていることがわかる。でも不思議なのはそれから、その手形が動き出す:まるでこちらに手を振っているように。どういうことだろうとサイトで調べてみたのだが、「可視不可視」「写真再現性のなさ」「実体験」「通過儀式」など哲学的に議論されている割に、「手が沢山見えてくる」とは書いてあっても「動き出す」という記述が見当たらない。私の目が変なのか??? 見に行って確かめてください。


「先史時代ー現代の謎」(Préhistoire, Une énigme moderne) 9月16日まで 



Pour les Français je saute le premier sujet « La Vénus Lespugue ».
Le second c’est "Cripta" de Claudio Parmiggiani, une installation également exposée dans l’exposition « Préhistorique » au Beaubourg actuellement.
Il s’agit de l’espace pénombre, le mur intérieur est couvert par les empreints de main. Vous pouvez entrevoir quelques mains de l’extérieur, beaucoup de gens déjà trop fatigués d'avoir vu très nombreuses pièces exposées, se désintéressent vite, ils n’y entrent pas dans la bouche. Mais il faut le faire et rester au moins 2 minutes. Au fur à mesure que les yeux s’habituent au noir, on commence à voir de plus en plus de mains. Mais ça n’arrête pas là, ils commencent à se balancer !!! Surpris par cet effet optique, j’ai parcouru des documents sur cette installation. On la décrit et l’interprète à manière philosophique, pourtant personne écrit clairement que les mains bougent. Alors suis-je halluciné ? Je suis dérouté par cela.
J’aimerais bien que vous allez la voir et dire s’il me faudra aller voir un ophtalmo…

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