2024年12月13日金曜日

ファイバー関係の総まとめ! ー including 塩田千春

Natalia Villanueva Linares

現代アートで布や糸、各種のファイバーを素材につかった作品は膨大なので、テキスタイルアートは素材でなく「縫う編む紡ぐ」という行為で捉えないと絞り込めないだろうと思うようになった(つまり前回のブログの定義撤回)のだが、、、例えば右の写真の糸巻きから出る糸の円錐のような、その行為をしないでそれを暗示する作品はどうなのか? やっぱり入る? 暗示も行為のうち?😅 やっぱり素材か??? 

実はこの作品はパリのラテンアメリカ会館の展覧会にあった。

前々回のオルガ・デ・アマラルも南米のコロンビアの人のテクスタイル作家だったが、彼女の作品も含めた「糸の短い歴史(Une brève histoire de fils)」と題された展覧会がそのラテンアメリカ会館で行われている。南米民族衣装的な織物の歴史の影響とも簡単に思いがちだが、織物のない文化はありえない。強いて言えば何を織るか??? 

 そこがこの展覧会、面白かったのはタイトル通り着眼が「織」よりも「糸」で、その糸にはかつてのビデオカセットのテープを使った作品とかも含めていている。そしてこれらの作品の多くがデ・アラマル同様オプティックアート系なのだ:何度も書いているが、目の錯覚?を利用するオプティック系の作家の大多数は南米系。下にあげるはメキシコの作家(1973生)のヴァネッサ・エンリケVanessa Enriquez :どうも私が写真撮るより他人の方が上手いみたいなので知り合いのサブリナさんのインスタビデオをリンク:

 

 

Vanessa Enriquez

 次の写真もヴァネッサ・エンリケでやはりビデオテープ。所々白テープが貼ってあって写真ではわからないが実際に見ると目がチカチカする効果がある。ちなみに最初の写真の糸の円錐もオプティカルな効果があった。

ラテン・アメリカ会館 (La maison de l'Amérique Latine) の美術展はいつもなかなかユニークでかつ入場無料! 「糸の短い歴史」展の 会館のサイトはこちらから 1月16日まで

 

以下私の備忘録としてテキスタイルアート系で書いた覚えのある記事を列挙

もちろん前回のオルガ・デ・アマラル 

それから文字通り「縫・織・編」展というのもあった

パッチワークの宮脇綾子とピアスのYveline Tropea

ドキュメントを縫うMayumi Inoué 

これぐらいしかないのか??? 
 
 
 
もっともっとありそうだと思ったけどブログで写真だけってのもありますね
 
例えば岡崎の美術館で見た女性作家たち、特に「ほどき」の寺塚愛子
 

 

金属ワイヤーワークのRuth Asawaも。

 

 

今彼女ルース・アサワについての素晴らしい記事見つけた!

 
さて自分のブログに戻って、もっと拡大解釈すれば
もちろんルイーズ・ブルジョワなどなども入ってくる、、、
 
結局圧倒的に女性作家が多いな〜!!! 

その塩田千春はグラン・パレで個展が最近始まった。
 
グラン・パレのガラス天井の大空間に糸がめぐらされたらどうなるのだろうかと興味津々だったが、正面玄関横から入る回廊空間が展示場で、今までの作品の回顧展。それなりに見応えはあるし、かなり見ているはずの私も知らないものあったしでいいのだけど、大作家が招来されて巨大ブロジェクトで挑戦するグラン・パレでの展示としてはちょっとがっかりかな。
次もサブリナさんのインスタをお借り。彼女は写真の専門家(写真家ではなく)なのだけどインスタ映えする写真撮るの上手いみたい=こんなにきれいだったかな〜(笑)

 

こちらは同展のインスタ映えしない私の個人的興味を反映する病巣を暗示するような作品(これは今まで見たことなかったと思う)

 
回顧展の履歴で私が初めて見て感動したパリ郊外のCréteilの劇場でのインスタレーションは2001年だとわかった。あの頃は彼女のこと知る人ぞなし。黒い糸が張り巡らされこんな感じだったが、
 
 
赤糸にしてから世界的にアピールしたみたい → やっぱり白黒はマイナー志向か?自分のこと思うと辛いな〜😅  
 
塩田千春は来年3月19日まで。Grand Palaisサイト 

実は今こんなこと書いてる暇ないのだけど、記憶力の悪い私は今書いておかないと「記憶の糸」を手繰り寄せられなくなる。おおっこれもファイバーアートか?(ははは)

 

注:私のオプティックアートに関して簡単な考察は10年以上も前の投稿「光と動きの展覧会」をご参考に

2024年12月1日日曜日

パリの本屋さんでの個展(回顧編)

なかなか上に上がれない。やっぱり落ちて振り出し?😅
9月29日に予告編を書いたパリの本屋さんでの個展、1ヶ月以上細々と長期に続いた末11月16日の私の誕生日に終わった!
こういう展覧会はまた新しい出会いがあればと思ってするのだが、ありがたいことに友達が友達を誘ってくださるという広がりはあったものの、本を見に来た人が興味を持って会いに来てくれるということは残念ながら全くなかった。
予告編に書いた通り港町サンヴァーの本屋での展覧会の姉妹編だったのだが、パリの本屋と夏のバカンスの本屋とでは人の行動が違った! バカンス客は時間に余裕があるから本を見るついでに上階の展覧会を見てと階段を登ってくる人が結構いたのだが、秋のパリでは全然違って、本を探しにくる人はその目的以外には興味なしという感じ。それにもまして最近はインターネットで注文した本を取りに来るだけという人も多く、この人たちは入り口のレジで本を受け取ったや否やすぐに帰ってしまう。これにはちょっと驚いた。
9月開業の新しい本屋にはイベントに客を集めるネットワークはなくて結局集客活動は私の貧弱な肩に。10月はパリでは大きなアートのフェアが沢山催される月で、フェアは外から見る限り大盛況。なんか滅入るよね〜
 
そんな時に頑張り屋のアーティストのMさんがやって来て曰く:「エイゾウさんこんなところで何やってるの〜?」
去年はしっかり画廊で春と秋に展覧会をしてたのに格落ちって感じで、ホントホント。かつ昨年秋の個展をやった画廊は店仕舞いしてしまって振出しに戻れ、「芸術家双六」なかなか先に進みませんな〜。
いっそ双六でも作ろうか?ずいぶん前にそんなので遊んだ記憶あり。ビデオゲームでなくてゲーム盤とダイスで、とまった場所によって美術史の質問に答えなければならなかった😅 「上がり」はなんだったのかな?栄光?栄華?あるいは自己満足?(大昔のバカンスの思い出で詳細覚えていないが、インターネット見てすぐ出てきた作品をコレクションする投資ゲームとは違ったと思う)
 
でもそれなりに頑張ったことはあったかな〜♪???
人によっては「行っても買うわけじゃないから」って変な理屈で来ない人もいるのだけど、展示する以上、頭数ではないにせよ、より多くの人に見てもらえるのが一番の願い。だから興味ありそうな知り合いを誘ってきてくださる方は本当に嬉しい。特に買いそうな人ならもっと😅 それに私が日常ではなかなか出会わない若い人も!!! つまり連れてこられた人がリピーターになると、私の作品なにか訴える力があるのかなと密かに喜んでしまうものです😄
 
以下インスタのあげた展覧会の様子
オープニングと最終日にはヒロエことソフィが私のドローイングからインスパイアされた自分の詩を朗読しました。