トゥオンブリーに続き、なかなか書けなかった宿題の第二弾「フランス大統領選」。これは大接戦のスポーツの実況中継を聞くがごとく、端から見ていて(私は選挙権がないので、、、)とても面白かったのだが、第一次選挙まで1ケ月を切ってしまうと面白いより「心配」になってきた。
今までの毎日事件の連続を時系列で追っていくだけで本になってしまう量だし(きっと選挙後雑誌の特集や本が続々と出るだろう)、私のブログの場合読者がフランスに住む日本人の方と日本の方と半々だから、この話題ではベーシックな知識に差がありすぎて何を書けば良いのやらなのだ。
先ず今回の選挙の特殊性は、キャンペーンが始まる前から極右のマリー・ルペンが25%にのぼる固定支持層のお陰で第一次選挙ではトップになることが大前提とされ、誰が二番手に入るかということで争われていること。フランスの大統領選は第一次選挙(4/23)でどの候補者も過半数の票を獲得しないとトップと二位とで決選投票となり、二位に入りさえば決選投票では国民が「反極右」で固まり大統領になれるという「仮定」で、のっけから二位決定戦でスタートした。
妻子に「架空」と思われる秘書業務で68万ユーロという膨大な金額を払っていたというスキャンダルが1月末に発覚する前の共和党のフィヨン、そして最近「人気上昇」のマクロンが世論調査でルペンを上回ることもあるが、極右のマリー・ルペンが決選投票に行く見込みは彼女周辺の様々な疑惑事件にも関らず微動だにしていない。
ああ、もうすでに固有名詞が並んでしまった。事情通でない方は例えばThe huffington Postの2月15日の記事でも参考にしてもらおう。とはいえこの記事には極左候補のメランションのことは書かれていないが、世論調査*では下のグラフのように社会党のアモンを追い抜き、今やアモンは「出遅れ」どころか泡沫候補ともなりかねない? というわけでフィヨンの大スキャンダルからメランションの進撃などをちゃんと知りたい方は飛幡祐規さんのブログをご参考に。
私の周りでは現在あるある最低保証手当などのお陰で「変なアート」を続けられる人は多いし、社会奉仕的活動をする人もいるが、こうした所謂「経済市場ではペイされない」仕事がさかんになるのは社会に悪くないことだと思う。その一面何もしないでただ一日テレビの前でぼーっと過ごす人も沢山できるような気もする(4月に見た「メルシー パトロン」は面白い映画だったがヴィトングループを「騙す」のに使われた失業者夫婦をみているとそんな心配がわく)。これが私の大疑問なのだが、社会党系左派の統一候補選出選挙では他の有力候補3人から「労働の価値を賎しめる」とさんざん叩かれ(そんなに「労働」の価値がフランスで高かったとはびっくり)、そのお陰でそれまで注目もされていなかったのアモンが一人傑出した感じとなり、首相だったヴァルスを破って統一候補になってしまった。つまり社会党支持者はオランド内閣よりずーっと「左翼」で、それを担ったのだが、社会党内の政治家は右寄りで「統一候補」に相応しい政治的妥協、オランド内閣の業績評価までも強要され、、、これってほぼイジメじゃないですか? 共和党のフィヨンは「妻子の架空雇用スキャンダル」で司法の事情調査になったら候補を降りると言っておきながら言葉を違え、今や「自分が有罪かどうかは国民の投票が決定する」と世界史上の歴代の独裁者と同じことを言う願い下げの男なのだが、共和党統一候補選挙で圧倒的投票を得たことだけを武器に党内のイジメ(候補者辞任要求)を頑強にはねのけた。一方のアモンの方は歯切れが悪く、最近では「社会党幹部」が次々とマクロン支持を表明(昨日はヴァルス元首相も寝返った)、イジメられっぱなし 。メランション勢力からは「所詮社会党の体制内の男」と蔑まれつつある中、だめ押しでもしオランド大統領がアモンを支持すればイジメは完結(?)、、、だからですね、もうアモン君はちゃぶ台ひっくり返す(つまり形勢が一層悪化すれば候補を降りてメランションを支持する)気構えにならないと! どうせ社会党は分裂するしかないのだから。
現在一番注目の少ないアモンの話に終始してしまったが、私がこの「選挙レース」で嬉しかったのは11月に右派統一候補選びの第一選挙でサルコジがあっさり落とされたこと(これでサルコジ対オランドの勝者がルペンと対決というシナリオは一気に崩壊した:オランドは相手がサルコジなら勝てる可能性が僅かにはあると思っていた)と、それに続き1月にアモンが左派統一候補になった時だった。今でもメランションとアモンの票を足しあわせれば大統領決戦投票に行けるという背景があるのだ。ひょっとしてメランション対ルペンになった場合、未だ頑にフィヨンを支持する超保守層はルペンに投票、中道リベラル派は棄権、だからルペンになってしまうかもしれない。同様フィヨン対ルペンだと左派の国民は全員棄権でこれもルペンになりかねない。だからルペンを避ける、かつ急激な変化も好まないという論理でマクロンに票が流れている。
結局こういうことは私が書いても、、、という内容になってしまった。あー残念。でも折角書いたからアップロードします。
* グラフを掲載しましたが、その世論調査は共和党統一候補にフィヨンがなることも社会党統一候補にアモンがなることも見事に外したので、本当に実態を表わしているのか眉唾物。競馬の下馬評のようなものとお考えください。ただし競馬新聞が何を書いても馬は読まないのが、有権者は世論調査に影響されるので何が何だか、、、質が悪いですね。
でもフランス人は世論調査が大好きでいつでも「今大統領選があったら?」を調査しています。
最後に公平を期すため11人候補者全員の写真を(笑)
ラジオ局のサイトからですが、各候補と公約の簡単なまとめ(もちろん仏語)もありましたので知りたい方はご参考に
最初の写真は14年7月に書いた 「遊園地博物館」(Musée des arts forains)のボールを穴に入れて馬を進ませる競馬ゲーム。
後記(4/4):昨日パリで発行されている日本語新聞 Ovni を見たら「フランス大統領選2017 観戦ガイド」と私が躊躇したセンセーショナルなタイトルがついていました。びっくり。ご参考までに
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