いつも10月はフランスも「芸術の秋」、パリではfiacという大現代アートフェアなどがあって賑わう(参考:2011年の旧ブログの投稿)のだが、私はツンボ桟敷に置かれるので不調になる(一種の嫉妬?:笑)。
今年は同時期に丁度マクロンの大資産に対する税改正法案があって、「資産と言えど株式などは経済に投資しているので免除し不動産だけにする」という論理だったのだが、自家用ジェットや豪華ヨットはどうなんだという批判に対し、ヨットは長さ何メートル以上はダメとかの改正案があり、、、、でも結局パラダイスペーパーが教えるところではお金持ちはジェットもヨットも既に「対策済み」だったから(11/20投稿)、本当にあの議論は何だったのだろう?
美術品はどうかと言うとこれは従来から特別扱いで資産から除外される。売買も所得税控除の対象になる。fiac特番でラジオのインタビューに出て来た美術館の館長だったか誰かさん(古い話で確定できず)は「美術品から税を取れば収集家は外国の画廊で買うだけだから意味はない」と「税金を高くしたら金持ちは外国に出るだけ」という「グローバル世界の合意」と同じ論理を引き出し、「存命作家の作品を買うことは美術振興のメセナ行為だから」と結構なことばかりを並べていたが、現代美術フェアで話題になる作品の値段を考えるとそれらが投機の対象でしかないことは明らか。先述の「外国で買う」という論理はまさにその証拠で、私は美術家ながら賛成できない。どこからが投機になるかと言い出すと豪華ヨットの長さと同じような話になりそうだが、何か方法ありますよ。
そもそも今までの「個人資産税」は正確には「資産に関する連帯税 impôt de solidarité sur la fortune (ISF) 」* という立派な名前だった(「連帯」が何を意味するかは知らないが)。それが改正されて「連帯」がなくなり、「不動産資産に関する税 IFI」と呼ばれる代物となってしまった。そもそもグローバル社会のお金持ちの論理は「どこでも一番資産の増やせるところに移動すればよい」、つまり自分たちは医療も教育も何でも自力で解決できるから公共サービスなどどうなってもいいと思っているとしか思えない。でもねー、なんだかんだと言って生まれてこの方育った社会の恩恵に被っていないことはないと思うのですがねー。自分たちは「幸福な星の下に生まれた」と自覚して(世界を見回せばそう思わざる得ないと思うのだが)「連帯意識」持ってほしいなー 。
それから11月は誕生月で、また無駄に歳だけ重ねたと気が滅入り、、、。
そんな時にデッサンが売れて、作品を届けに行ったら「歴代の大コレクター」でお宅は美術館みたいだった。ピカピカの現代美術もわんさとあって、何故エイゾーの作品が入れてもらえたか不思議。 こういうコレクションを見ると毎年美術資産に課税があるとフランスでは悲鳴を上げる「名家」の方が大勢いるのは容易に察せられる。美術投機を念頭に入れるとやっぱり所得税で還元してもらうのが筋ではないかと私は思うのだが。
現金なものでこれでちょっと元気回復したのだが、財布が少し暖かくなったのにアトリエはどんどん寒くなるばかり、かつ日照時間も短いでしょ、「仕事の時間」をミスってはだらけきっていて、お天道様に申し訳ない、と言いたいところだが天気も悪くてお天道様を滅多に見ることもない。
はい、ではここで珍しい晴天の朝に作った私のフランス語俳句(ショートポエム)を:
Le matin
regardant en l'air frais
Mes yeux sombres
deviennent les soleils bleus
regardant en l'air frais
Mes yeux sombres
deviennent les soleils bleus
(直訳)
朝
冷たい空を見上げ
暗い私の瞳は
青い太陽となる
* 注:例えばフランス語ウィキではこの税は他国ではあまりないフランス特有のものでイデオロギー的としばしばされるとあったが、このへん私は全く知識なし。ご存知の方はコメントでもして下さい。資産というのは「評価」の問題もあるので素人の私にもプロブレマティックな感じはします(美術品なんか特に)。
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