2018年12月5日水曜日

パリ燃えて諸行無常の響きあり

 「黄色いベスト」と訳されているらしい「gilets jaunes」の先週の土曜日のデモがシャンゼリゼを中心に、あたかも内戦のような状況に化した様子は私が改めて言うこともないと思うが、実はそれどころか「運動」の発端が私が日本にいる間に起きたのでなんか訳が分かっていない。まあこれも私が繰り返すことでもないが、「黄色いベスト」というのは工事作業員などが着る黄色い蛍光色の安全ベストで、車が事故った時に外へ出る時に着用義務があるので車に常備していねばならない。自転車族の私も安全のために何処かでもらって一応持っている。つまり誰でも持っているこのベストを「ユニフォーム」としたことが運動の爆発的拡大に貢献したことは確か。

このベストが意味するように発端は「ガソリン税値上げ反対運動」。運動の中心は地方で仕事の為に毎日車を使う人たちで、電気・ガスをはじめ節約することの出来ない出費の上昇に加えて「もう生活やっていけれない!」という切実な不満が一線を越えたように溢れ出した。というのがありきたりの説明だが、私は車はないし、車がないと暮らせない地方の住民でも、かつ普通の「勤労者」でもないので、正直白状してしまうとどのぐらい大変なのかピンとこないのだ。 パリから地方に行くと物価がぐんと安くなるので「田舎なら給料安くても暮らせるんじゃないの」なんて言ったりするとビンタをくらいそうな世相なのだが、多分マクロン君も「無理解度」は私と同じぐらいだったのでは? というのも対処がまったくなく、今になって急に折れ出した。でも歯切れが悪すぎるというか、政府は面目を保つように「増税は6ケ月停止して再検討する」といいながら(これでは運動はおさまらない)、その一方「来年度予算からは除外」(ならば論理的には中止でないの?)。そして運動が拡大するに連れてやり玉に上がって来た、私も昔「なんで〜?」と理解できなかった、マクロン君が一番最初に施行した富裕層優遇の資産改正も(参考投稿)、昔に戻すとは言えず、「効果があったか検討して、、、」と、庶民にわからない言葉で懐柔しようと試みているのだ。だから「運動」はおさまりそうもない。(国民の2/3が運動を支持)
かつ一般の「運動家」がデモに乗っかって破壊活動をする暴力集団を否定しているとしても、凱旋門が破損されるような信じられない暴動となったからマクロンが「黄色いベスト」の要求を聞くようになった(それがなかったら折れなかっただろう)という印象は免れない。

一時は飛ぶ鳥を落とすようなお二人でしたが
しかしこのマクロンの失墜、カルロス・ゴーンもびっくりでしょう。つい1ケ月前は労働者の突き上げをうけても二人ともへっちゃらな顔していたのに。。。実際口べたで彼のように機敏な受け答えが出来ない私は、「マクロンは会話対決が得意でうらやましい」と、政治的な意見は異なれどもそれなりの評価をしていたのだがだが、、、自信満々に言い返すのも逆に嫌われる要因かもねー。くわばらくわばら。

久しぶりのブログでしたが、日本から戻ってから、作品の販売努力はせねばならなかったし、来年の本の企画、今度の土曜日からの展覧会、それに2年ぶりにカレンダーを急に作ることになって、かつ札入れもなくして、私のレベルでは大忙しで、これも「運動」を理解できていない理由の一つです 。

最後に何が起っているか(如何に怒っているか)の理解の糧にビデオを一つ追加します



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