一つはルイ・ヴィトン財団のエゴン・シーレとバスキア。「何故この二人が同時に?」という素朴な懐疑心ゆえに(ヴィトン財団の企画は「人気取り」みたいなところがいつもあるしで)、なかなか行かずにいたのだが、結局二人とも28歳でなくなったから? シーレは1918年に亡くなったので没後100周年、バスキアは1988年だから30周年と切りは良いのだが???? シーレはあまり目にすることができない個人蔵の初期のデッサンを中心に100点ほど、バスキアは作品が大きいから120あまりの作品が4階にわたって展示されている。だから無茶苦茶つかれる。(ヴィトン財団は小さなカフェがあるだけでくつろぐところがない。夏なら展望テラスがあるが今は寒すぎる)
展覧会の教科書的紹介は「美術手帳」の記事にでも譲ることにして、私の思ったところは二人ともあっという間に自らのスタイルを確立した。シーレは卓越したデッサン力で、バスキアは飛ぶ抜けて斬新なグラフィックなセンスで。
会場でグループを案内しているガイドの説明を耳に挟むと、「バスキアの作品は、読めないように消された文字や散りばめられた現代社会のシンボルやアフリカ系のルーツへのリフェランスなど、見れば見るほど『読み解き』がある」とそれらしく「美術評論家」に都合のよい解釈をしていたが、バスキアのすごいところはそんな記号論ではなくて、あんなに無茶苦茶に落書きしたり紙や板を貼ったりしているだけに見えるのに「絵になっている」ところでしょ?(それが証拠に部分の写真を撮ったりするともう一つきまらない) 今や亜流が一杯だが、80年代前にあんなのなくて(もちろんラウシェンバーグをはじめポップアートでそういう作品はすでに沢山あったがアプローチがもっと知的で「絵画的」だった)、みんなびっくりしたんだよ〜(老人の証言!)
そしてもう一つは「いまさらピカソ?」なんて思って行くとびっくりの、オルセーの「ピカソ、青とバラの時代」展。つまりピカソ初期の作品、1900〜1906年の作品のみ。特に青の時代があんなに集まったのは見たことがない。この時代のピカソは分かりやすいからか圧倒的に人気があるようだが、個人的には感傷的過ぎ、かつデッサン力はシーレの方が上なんじゃないかな〜? 画面構成もすっきりしないものが多くて、、、ピカソもこれだけで終わっていたらモンマルトルのローカルな画家として終わっていたかもしれないと思う。と文句を付ける割に2度も行った(笑)それだけ展覧会として圧巻。
そうそうグランパレではミロ、これは回顧展だから勿論作品数は膨大。「所謂ミロ」になる前の、初期の仔細にこだわるカタロニアの農家の絵がシュール的でもあり郷土芸術のようでもあり面白い。後半はミロでなかったらゴミ箱行きのような絵が幾つもありますけどね〜。
Miro © Grand Palais |
それから「ジャポニズム」で縄文土器(素晴らしかったが、これはもう終わった)も宗達の「風神雷神屏風」も見ました〜。でも後者「京都の宝―琳派300年の創造」展(チェルヌスキ美術館、1/27まで)は20世紀の某作家さんの宣伝のために仕組まれたような展覧会で変でしたよー。
シーレ 1/14まで
バスキア 1/21まで
ミロ 2/14まで
それから私のイラン出身のカタユンさんとの二人展もあるんですけどね〜 1/26まで。ただし年末年始お休み。前回の投稿をご参考に
私も時々は展覧会で写真を撮るけど、最近のパリは写真撮影だけが目的としか思えない人が多すぎる。絵を見ていると肩口から腕がニョーと出て来きたかと思うとカチャリ、急に後ろから距離を計る為の赤い光が発され「青の時代」が「赤の時代」になったり、もう酷い状況だ。イライラして展覧会行くの嫌いになりそう。
上は「青い部屋」とその女性の為の習作(?)
ピカソ、青の時代に入る前、19歳のときの作品。後ろの壁に張られているのはロートレックのポスターだそうだが、初期はロートレック風の酒場の女も描いたし、色調とか単純化とかセザンヌの「水浴する女たち」を思わせる。 色々研究してたんですね〜。
この「青い部屋」を赤外線写真したらベッドの辺からヒゲの男の顔が現れたそうな。その解析の結論が「ピカソも他の貧乏な画家同様に同じキャンバスに上書きしていた」ということで、馬鹿馬鹿しくて笑ってしまった(次のビデオ)。
ピカソ、好きじゃないと言いながら3枚も写真入れましたが、実は12月初めに札入れをなくして「アーティスト協会」のカードもなくし、一度目は泣く泣く事情を話して5分以上粘ってやっとこさ入れてもらったのです。新しいカードが意外に早く出来て2度目に行ったら列にも並ばずにすっと入れてくれた。カンゲキですね。それに比べて日本文化会館は大きなボードを持っていると言う理由で玄関払いになって、、、縄文展は出直し〜。現地採用のガードマンなのに、厳しいねー。 逆に縄文展はしっかり写真撮影禁止だったのでそれはよかったけど。。。(笑)
しかし最近つくづく思うに、こんな正直な美術ブログってないと思うのですが、どうでしょうか?
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