2025年8月24日日曜日

暑い夏の些細な近況

わかり難いかもしれませんが、歩道をご覧あれ
地球温暖化の影響顕著、フランス南西部では毎日40度を超える酷暑だったが、数日前急に涼しくなった日には前日との気温差20度もあったそうだ!南西部ほど暑くはなかったがパリも急にずいぶん涼しくなり、近くの大通りの並木のイチョウ(新しいビル街なのでまだまだ小さい)が急に黄色くなって落葉しているので驚いた。色づくというより暑さ枯れ? 
 
これも暑さ故だろう、自然空調の我がアトリエでも蚊にかまれる。これは今までそうはなかった。アトリエ内はまだしも、周りの人は馬鹿ンスだから私の責務?特に暑かった日々に中庭の木々に水をやったら近所にまだ水田がある愛知の実家かと思われるぐらい蚊に刺された。
 
加えてこれは暑さと関係ないと思うのだが小鼠が再登場、赤ん坊で世間知らずなのか私の足元を平気で駆けていく。ちゃんと仕掛けた毒の餌も食べているようなのにピンピンしているのは何匹もいるということなのか??? 自分で考案したネズミ取りばかりか市販のネズミ取りも餌を取られるばかりで子供ながら賢い??? ともかく原因はバカンスで住民がいないので大した食べ物も他地にないからムッシュサカタ宅にでもと潜入したのであろう。来週他の住人たちが戻ってきたら去っていくのではないかと期待するばかり。
 
こういう色合いのを買ってください
良いニュースはロレーヌ地方の気候がどうだったかは知らないがミラベルが美味しい。3回買って3回ともだから当たり年だ!(実は去年は完全ハズレだった)。
こういうのしか買ってはならないのだけど、赤みを帯びてぷりぷりして美味しそうなのが並んでいる。これだけでネズミも忘れハッピー😇
 
注:私とミラベルの仲を知らない方はいろいろ書いてますが次のかつての投稿からお読みください 

 
フランスも体温以上の気温が何週間も続くようになるとエアコンを買う家庭が増えるだろう。この誰が考えても自分は良いが周囲の気温を高めるばかりの機械が一般化してしまうと「こんな風になってしまうのですよ〜」と日本国は自身の愚かさ加減を世界に伝えて警鐘を鳴らしてほしい。
 
しかしそんな日本にパン屋のお兄さんをはじめ知っている人が何人も旅行に行き、皆さんまた行きたいと喜んでいる。 北海道や石垣島とか私の行きたいようなところまで行ってしまうのだからこれならなかなか魅力ありそう。
私は最近の日本旅行ブームは一重に円安の所為と思っていたのだが、隅田川、鴨川沿いがセーヌ川畔より美しいと言われるとどうしてそう見えるのかな〜と首を傾げてしまう。マンガ、グルメなど全てを含め、このブームの全体像、社会学の研究対象になりそうだ。
 

2025年8月16日土曜日

16世紀の城の現代美術、オワロン城

気温が37度になると人間の吸う息の方が吐く息より低くなるのだろうか。つまり人間は外気に対しクーラーになるのだろうか??? フランスでもそんな暑さになることがあるようになりました(ただし我が地下アトリエは快適ですが)残暑お見舞い  
 
ここからが本題:

「初めてビートルズのサージェント・ペパーズを聞いたときの感動は一生忘れられない」と言う友達がいたが、彼は私よりいくつか年齢が上だし英語ネーティブだからまさにエポックメーキングなイベントに出会った感動というのがずーっとあるのだろう。

美術展に関しての私のそうした感動は1989年の「大地の魔術師たち(Magiciens de la terre)」にある。これもその時代を経験をしないと、つまりその以前と以降の空気を肌で感じていないとカタログを見たからと言ってその感動は伝わらない。とはいえ各人個人史の違いがあるからをその時サージェント・ペパーズ聞いて感動しなかった人も「大地の魔術師たち」をみて感動しなかった人も大勢がいるのは当然だが。

まあともかく 「大地の魔術師たち」はその後の美術展の一つの節目、融解点であり、その後はかつての美術展のフレームが溶けて色々な方向に流れ出したように私には思われる。

その融解零度の感触を守った感のある場所がフランスの何処とも説明しがたい片田舎に忽然と立つルネサンスのお城にあった! それもそのはず、そのコレクションの基礎は「大地の魔術師たち」のキューレーターだったジャン=ユベール・マルタン Jean=Hubert Martin によるものだからだ。 

 



「軍隊の間」(パノラマ写真)
 
16世紀の天井画 

そのChateau D'Oiron(オワロン城)、その現代美術はおフランスの国立コレクション、つまり国立美術館なのだが、周りはほぼ真っ平らな畑が広がり近辺にこれといった街も観光地もない田舎で、知る人ぞ知る(?:実は私も最近まで知らなかった)。車でしか行けないのだが8月で駐車場の車の数が指折り数えられる程度だったからよっぽど興味を持つ人以外は来ない。(このままだと好き勝手言いたい放題の今の嫌な女性文化大臣に予算をカットされてしまうのではないかと心配になってしまうので非力ながら宣伝致します)

ここは16世紀に栄えた地方領主のお城、その頃はラファエロとかその時代のアートのコレクションがあった。その盛衰は歴史通でなければチンプンカンプン😅、有名どころとしてはルイ14世の寵姫のモンテスパン伯爵夫人が凋落後この城を買って最晩年に住んだ。 

それはともかく国が1943年に廃墟化していたこの城を買いフレスコ画や装飾を修復し、今やなかなか絢爛。だからポンピドーセンターとヴィレットというニュートラルな展覧会場で開かれた「大地の魔術師たち」とはかなり趣を異にするはずなのだが、ここでは城の建築も含めてキャビネ・ド・キュリオジテ的な融合というマルタンさんのエスプリがどっぷり。このコレクションが立ち上がったのが1993年だから時代的には「大地の魔術師たち」のすぐ後で、おそらく展示品も重なっているものもあると思う(確証なし&記憶に自信なし)。

アーティト側からそれに応えて作った作品もある。例えば2階に上って最初の大広間 「軍隊の間」、この立派な装飾豊かなサロンにはかつてルイ13世時代の戦争の英雄の絵が飾られていたらしいのだが、今ではそれを漫画化したような辻褄のない物品を組み合わせて作った可笑しな鎧のようなオブジェが飾られている。それら自体はそれぞれかなりゴタゴタしたものなのだが、空間の広さもあってか不思議にあっさりと極彩色の天井画と調和している。これは食事後のテーブルをそのまま固定した作品で有名な Daniel Spoerri で、ちょっと意外なようなやっぱりのような(笑)

この投稿の一番最初の百姓一揆みたいなBraco Dimitrijevicの作品もここだけのサイトスペシフィック。 

こんなふうに書いていくとキリないし、大きな空間の展示は写真も難しく、その場のハッとする感覚がでないのでごく簡単に終えてしまおう。ともかく見るものたくさんあって3時間以上いたけど最後は多少端折り、、、というのもここはカフェテリアとかいう洒落たものもなく近くの村もほぼ何もなし、じっくり長期戦するならお弁当持参で庭でピクニックしかない!


 

インスタで上げた写真は:

最初の動画はランプをワイングラスの影に映し出すBill Culbertの作品

次の写真二つは先の述べたDaniel Spoerriのアッサンブラージュで、動画は「軍隊の間」全体

「王の間」のイカルスの墜落がテーマの17世紀の天井画、その次が「美の女神達の間」 

Thomas Grünfeldの怪物

鏡の中で青い曲線が円になるFelice Varini

Tom Shannonの反重力彫刻

Charles Rossのレンズを通して太陽光が木を焼くのを毎日記録した作品  

オワロン城に招かれて食事した人のプロフィルが青線で描かれたRaoul Marekの作品

足で絵を描く白髪和男と川名温の日付画があったのはちょっと意外だった!

最後は私が苦手とする Marina Abramovic、クオーツのバイブレーションを感じて心の旅に出てくださいって、、、石の枕、痛いだけで何も感じないのですが

 


結局ここを私が非常に気に入ったのは史料では計り知れない「大地の魔術師たち」の「あの時」の新鮮味が保たれていることがあるのだが、単にノスタルジーを超えて私はやっぱりサイトスペシフィックな作品が大好きなのだと自ら確認するに至った。10年以上続けた海水ドローイングばかり続けてきたが、少し転換の兆しあり?や否や?

 

参考

オワロン城のサイト https://www.chateau-oiron.fr/

その中の現代アートコレクション Curios & Mirabiliaは https://www.chateau-oiron.fr/decouvrir/la-collection-curios-mirabilia

 日本語での簡単な解説:https://artscape.jp/artword/6068/

「大地の魔術師たち」とマルタンさんに関しては過去の投稿で書いています(ただし他のサイトに画像を頼っていたので絵抜け状態)


オマケ:YouTubeにこんなのもありました。Shannonの反重力彫刻の設置の様子です。 ちょっと面白い
 

 

2025年8月1日金曜日

岡本太郎とパリの切っても切れない関係

大阪万博は今がたけなわだろうか?:私はそうした情報には全く疎いだが(=全然興味なし😅)、パリではごく小さなものだが72年の大阪万博の太陽の塔を巡る岡本太郎(1911-1996)に関する展覧会が、主に所謂原始的な民族的アートを展示するケ・ブランリ博物館 (Musée du quai Branly) での開催されている。

日本では誰もが知る岡本太郎(この投稿で「へーえ」と思ったら詳しくはウィキを参照ください)だが、パリでその名を知る人は??? 

彼は1930年にパリにやってきて1940年に日本に戻った。その間にシューレリアリズム、抽象というヨーロッパの前衛芸術の洗礼を受けるのだが、私がこの展覧会を見てびっくりしたのは、彼が1938-39年フランスの人類学の父と言われるマルセル・モース Marcel Mauss(1872-1950)(ウィキ学び、日本に戻ってから伝承民族芸能の写真や映像を撮っており、万博に際しても太陽の塔の建設だけでなく、現在の民俗学博物館の土台となるレプリカの展示オブジェの選択をパリの人類博物館へ行って直接行うほど加担していたという事実だった。そのパリの人類博物館は1938年開館され、彼がモース氏から教えを受けたところだった。

上の写真は模型で、太陽の目から出る光がウルトラマンみたい
この辺のことが特に会場で上映されているJean Rouch監督が東京の青山のアトリエを訪れインタビューする映画(1974)で描かれており、これは必見!!! これだけでも展覧会に行く価値がある。また岡本がパリ滞在から30余年経っているのにフランス語が上手なのにびっくり。やっぱり20歳前に行っただけのことはある(自分への言い訳😅) 

岡本太郎は宣伝に登場したりマスコミで奇怪な表情と言動でキャラクターにしたてられたりして胡散臭い存在で、フランスでのダリの存在と似ている(参考投稿)と思っていたが、二人とも天才的だったことは認めざる得ない。 

ところで私は72年の万博の頃安保闘争の火がまだ燻っていた名古屋の高校生で、学校による万博遠足(?)に反対し(お上のすることにはなんでも反対だった)、でも結局はおそらく多数決で遠足は催され(??)、行ってみたらプリミティブアートのレプリカに感動し、かつ西洋近代の名画、例えば私の記憶ではムンクの「思春期」も来ていて(???:上記ハテナマークのすべて記憶は甚だ曖昧😅)衝撃を受けて、その後家族をけしかけてまた行ったほど180度意見転換、、、あれ以来教条主義を捨てて全くもって軟弱になってしまったような気がするが、、、(笑) 
 
岡本太郎が撮影した東北の鹿踊り
 まあともかくこの展覧会は
ケ・ブランリ博物館の常設会場の一角の小さなものだから、万博あるいは岡本太郎研究家以外にはわざわざ行きなさいとは言いにくいが、行ったらJean Rouchのドキュメンタリは必見です。
 
 
9月7日まで
 
いま博物館サイトを見たら8月の木曜日の夜間:晩6時から10時までは無料らしいので常設展を知ってる方はこの間に行ってください(笑)
 

 

パリの人類博物館にかつてより収蔵されていた縄文の偶像
 参考

この展覧会についての ケ・ブランリ博物館 Musée du quai Branlyのサイト

https://www.quaibranly.fr/fr/expositions-evenements/au-musee/expositions/details-de-levenement/e/taroo-okamoto