2013年5月25日土曜日

ロダン美術館のエリック・サマク

エリック・サマク Erik Samakh さんはとても気さくなアーティスト。水曜の晩、ロダン美術館の庭のインスタレーションのオープニングに行ったら、いつものとおり帽子をかぶりクロコダイル・ダンディーみたいな格好をして、シャンパンの瓶を手に来た人に自分で注いで回っていた。彼とは6年前のイベントで一緒になったことがあるのだが 、私の顔を見て「よく来たなー」と笑顔で迎えてくれ、「これはアンタにぴったりだ」と黄緑の表紙の今回の展覧会の小カタログを黄緑のユニクロダウン*を着ていた私にプレゼントしてくれた。
パリ郊外に生まれた彼だが、90年代にアルプスの山奥深くに居を構え(最近ピレネーに引っ越したらしい)、話しといえば魚釣りの物語とかをトクトクと、、、この彼、実はポンピドー、カルチエ財団からベニス・ビエンナーレまで一流どころ総なめの超有名フランス人アーティストなのだ。

「自然児エリック」、だから多いに作品も褒めたいところなのだが、今日の原稿は書くのが難しい。大げさにアピールするものではなく環境と溶け込む、私の好きなタイプなはずなのに、正直に言って私にはピンと来ないのだ。

ホタルたちの石
どんな作品かというと、山や森で採取した自然界の音(風の音、動物の鳴き声等々)を、木の筒や石から聴こえるようにしたインスタレーション。音源ユニットは太陽電池搭載で軽量自立、それが公園の木や建物の中に吊り下げられたりする。何となく想像できるでしょ?(Erik Samakhドキュメントページで色々映像が見られます)。

近年は音だけでなく「ホタル」シリーズとしてLEDを光らせていて、今回のロダン美術館は「ホタルたちの石」と女性(実は美術館員)のつぶやきが木立から聴こえてくる「イチイの声」の二本立て。 日本の某「ホタルの里」の温泉で LEDホタルが光っていたが、エリックさんの虫の音や光はもっとソフィスティケートした「対話型」で人が近づくと鳴き止んだり、、、勿論音の編集も凝っているが、、、。加えて今回使った大きな花崗岩はポルトガルまで探しに行って、、、というのは話としては面白いが、煙に巻かれたような、、、。彼の人間性、生き方は好きだが、なんでそんなに作品がすごいのか(評価が高いのか)私にはわからない。だから評論家のコメントを以下引用すると:

「エリック・サマクは自然環境と、ハイテク装置という自然には無縁な要素との相互作用を探求し、自然の価値を高め、聴衆の知覚を変容させる。彼は密やかな技術システムと植物動物界の自然現象を組み合わせ、純粋に芸術的なアプローチにおいてばかりか音響エコロジーの視点からも、聴衆が自然に注意深くなり、自然を聴き、自然と対話するようになることへ誘う」
録音がなくても私には呟きが聴こえてしまうのだが
(作品のある木ではありません)

どうです、納得できましたでしょうか? ガッテン、ガッテン!?

9月29日までしていますのでご自身でお確かめあれ。(ロダン美術館はこじんまりして庭もきれいだし、私推薦の美術館です。館内は通常通りの展示、ゴッホの有名な絵もあるんですよ)

今日の文章はつらかったな〜(時間も異常にかかった、、、)

*注:パリは寒くて、昨日の朝の3.4° は1887年のパリ観測所始まって以来:同日(5/24)比での最低気温の記録を破りました!



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