2014年3月3日月曜日

兎の夜

「自分の作品」を見に来る動物を隠し撮り(?)する南仏の友達ポール君(Paul Stapleton)のことを2/6に書いたが、写真は自動カメラが捕らえた兎。

まさか満月というのは私の日本人的連想。日本では月夜に兎がつきものだが、欧州では月夜といえば狼男とかヴァンパイア。語源から訳せば「月的」であるリュナティックという形容詞が、気まぐれ、もっと悪くは気違いを意味するように、月を愛でて酒を飲んだり詩を詠んだり、団子を食べたりする風習はない。

兎は可愛いので当然どこの国でも人気があるだろうが(だからミッフィーは世界制覇した?*)、日本人の兎好きは格別のようだ。秋に実家に戻った折、近くの町営図書館の「話題(書評?)の本」欄にあった「兎とかたちの日本文化」(今橋理子)という本を読んで新たにそれを思った。

私はそれまで月と兎が結びつけられるのはただ月の陰、暗い部分の形からと思っていたが、この本で次のような説話を知った:

「老夫に身を隠した帝釈天が、狐と猿と兎に食物を乞うたところ、猿と狐はすぐの食べ物を差し出したが、兎は何もなかったので自らの肉を食べて下さいと火中に身を投じた。すると老父は帝釈天の姿に戻り、火をおさめ、兎を憐れんで亡骸を月におさめた」

なかなか、兎はただ可愛いいじめられ役だけではなかったようだ。(でも兎は人生はやまったと思うけど、、、)

さて今橋さんの本では歴史的な「兎の意匠」の分析から、「兎=月、烏=太陽」という系譜を明らかにし、そして葛蛇玉筆「雪夜松兎梅鴉図屏風」の大胆な左右逆説にまで至るのだが、それは読んで頂くことにして、右の写真は私の海水ドローイングの、水に映る月を見る兎。最近の作品だが「毎日のデッサン」サイトで登場しなかったのは、描いたときは失敗と見なして新しいデッサンを描いたから(実は最近なかなか納得しなくて1日1作が難航している)。翌々日ぐらいに床に転がしていたこのデッサンを拾って見直しマットでイメージを絞り込んで「作品」に返り咲かした。
マットを使ったので既に額装済み(25x25cm)、成り行きがこうなので「お安くしておきます、だれかいりませんか?」(写真はクリックすると大きくなります)というのは「兎好きの日本人」を見込んだ、帝釈天の兎には申し訳が立たない私のさもしさで、、、。

さて最初のポール君に戻ると、彼が「公園」にくる動物の写真を組み合わせて「輪廻転生」風な短い動画を作った
https://plus.google.com/events/co6j7jsb999irfj41vb77cdvr2o/112149352822422503192/5986222368285756754
「夜の写真」のコンペだそうで、面白かったら「投票」 してあげて下さい。

*注:第一稿ではキティとミッフィーを間違えて指摘を受け、修正しました。私には同じに見えるのです

最後に、自分のデッサンと並べるのはあまりにも恐れ多いので文脈に合わせず無理に離した、私も大好きな兎の絵の「傑作中の傑作」、上記の葛蛇玉筆「雪夜松兎梅鴉図屏風」の松兎側の写真を「日曜美術館」サイト(東北に来たロサンジェルスのプライスコレクションの巻)から


Note pour les francophones : Ce paravent est dans "Price Collection" in Los Angels. Je n'ai pas trouvé de page qui explique cet oeuvre de Jyagyoku Katsu(1735-80) ni en français ou ni en anglais ...  Vous pouvez référer la page suivante à propos de Collection exposée au Japon, si ce n'est pas le sujet de mon blog : http://www.nippon.com/fr/people/e00031/

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