2018年5月1日火曜日

問題だらけの新ヴェリブ

2007年に開設され好評を博して来たパリのシェア自転車のヴェリブ(Velib)**だったが、昨年春に運営会社が変わると発表され、10月頃から駐輪場工事が始まり、12月には工事中ばかりで全然使えなくなり、予定では1月には工事は終わる筈だったのだが、延び延びでそれが3月になり、、、。
だから日本の個展でパリを空けているうちに流石に使えるようにはなっているだろうと期待していた帰ってきたのだが、 工事の進度は地区によって差があるようだが私の家の近くの駐輪場は閉鎖されたまま。かつヴェリブがあったからといってこれが動くとは限らない!
私の最寄りの地下鉄の駅より遠い国立図書館付近には一つ駐輪場ができたと教えてもらったのだが自転車があっても利用できる可能性は極めて低い!私が不器用あるいは新技術についていっていないからではなく、他の若いフランス人もみんな文句を言いつつメトロの駅に急いでいる。これはパリ中心街でも同じこと。いったいどうなっているのか?

新しいヴェリブは自転車のハンドルの真ん中にコードを入れたりする液晶を備えていてインテリジェントになっているのだが電気が必要、使えないヴェリブが多いのは置き場に配電工事がされず(旧ヴェリブと違って電気自転車も設置されることになり昔の配電ではだめだということだそうで、、、)、その応急措置に配電の変わりにバッテリーを設置して2−3日おきにそれを交換するという愚かしい事態になっているらしい。加えて従業員が「昔より待遇が悪くなった」とストに入り、もうお先は真っ暗。

それにもかかわらず乗ってしまったヴェリブ。たまたま動いて「ものすごいラッキー!」と大喜びになったからだったが、その晩携帯に「使いっぱなしです」と警告が入り、電話したら「不具合が多いので追加料金は取りませんが、技術員が確認するまで新たな利用はできない」って。何なんだそりゃ、技術者ストでしょ!!!

旧ヴェリブはすごく上手く行っていて、1800の駐輪場があり、2万台の自転車をプールし、使用者の9割が満足していたという:これは「文句を言うのが趣味」のパリ市民にしては信じ難い数字だ! 安くて(年間29ユーロ)、便利で、健康的で、私も「人生変わった!」と思うほどだったのに、、、。

そもそもそれを何故変えたのか?

簡単に言えば市にお金がかかりすぎた。
経営会社がバスの停留所などを無償で作るがそこに掲示される宣伝ポスターの収益で儲けるDCデゥコー(JCDecaux)社だったから、前市長のドラノエ氏が「パリ市民には一銭もかからない」と立ち上げ当時に言うのを聞いて、私はデゥコー社はまた上手く儲ける経済モデルを考えたのだろうとナイーブに考えていたのだ。しかし新聞記事を読んでみるとパリ周辺にまで広めた時に郊外の町の駐輪スタンド建設費を持たねばならなくなったとか、それにあまりにヴァンダリズム(機器の破損行為)、盗難が多い(=2012-14のデータでは毎年自転車総数の半分が盗難あるいは修理不能となる!)のでデゥコー社が全額負担だった筈だったが一台につき400ユーロを持つことになったとかで、、、よくわからんが、つまりは公共交通的側面と環境政策から維持しようと頑張ったがが支えられなくなったということだろうか(私の推測)。何しろ会計検査で年間1600万ユーロ(約20億円)もかかっていると指摘されたのだ。

だから春に入札制でSmovengoという仏西共同グループが事業権を得たのだが、大工事をしてまでも自転車も駐輪場も全部を一新する方がよいとは経済に疎い私にはなかなか考えられないのだが、、、。かつこの新しいヴァリブは電子装置搭載で明らかに高価、それにそんなに優れた盗難破損防止システムがあるのかも疑問。加えてもっと被害を受けやすい郊外にまで広げる計画なのだけど? 元の木阿弥にならないのかなー、工事も満足に進められない会社に任せて、、、*(ため息) 
勿論一利用者としては新ヴェリブの将来を祈っておりますが、先は暗いなー。

ちらっと日本語ブログを調べると新しいヴェリブの宣伝みたいなことばかり書いてあって、どうなってるのかなー。世の中何でも当たる「運の良い人」はいるけど、特にラッキーなタイプでなかったら旅行に来て「あーヴェリブがある ♪」何て思って一日券なんて買うと丸損ですよ。かつ一日券は以前は地下鉄チケット一枚ほどの値段だったと記憶しているけど、新会社の苦難を反映するごとく5ユーロにボーンと値上がりしてます(笑) 年間契約者も将来同じようにはね上がってくるかもしれないから笑ってられないけど、今のところこの「大失敗デビュー」に対して3ケ月分の賠償がされることになっている。実際に私は6ケ月間の間に乗れたのは5回ぐらい、、、(再度ため息)


 注* 4月26日の発表データによると、目標駐輪場数1400箇所に対し、工事済みは670、配電されているのはその半分にも満たない263箇所

注** 「そもそもヴェリブって何?」という方は旧ヴェリブのことが日本語で解説されている次のページをご参考に:http://jp.france.fr/ja/information/24124

 参考:
色々新ヴェリブの現状の記事がありますが、私の見た限り一番明快なのはフランステレビの
https://www.francetvinfo.fr/economie/transports/bugs-electriques-agents-en-greve-et-manque-de-velos-trois-raisons-qui-expliquent-le-fiasco-du-nouveau-velib_2726427.html 
旧ヴェリブの破綻に関してはエコー紙の
https://www.lesechos.fr/06/11/2017/lesechos.fr/030804178923_velib----la-fin-d-un-cycle.htmhttps://www.lesechos.fr/06/11/2017/lesechos.fr/030804178923_velib----la-fin-d-un-cycle.htm

ちなみにこれが私の最寄りの駐輪場の現状。工事の溝はゴミがたまり、、、。看板にはヴェリブはすぐに戻ります。2018年1月から使えますと書いてある(またまたまたため息)

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