今フランスで大問題になっているベルナール・タピ Bernard Tapie (写真)と元国立銀行クリジ・リヨネの訴訟問題をいかに説明したらよいのだろう。タピは色々なことで活躍する人で政財界が錯綜し複雑、それに今までも大大事件を起こしていて、、、、経済にも法律にも疎い私がちゃんと扱える問題ではないのだが、以下私が理解し得たことを簡略化して、かつ今回の問題だけに絞り、時系列で書くことにする。
ベルナール・タピは、貧しい家に生まれ、学歴もなくのし上がった、フランスでは珍しいアメリカンドリームのような実業家。1980年代に破産企業を買って業績を良くして売るという大手腕で巨大な富を築いた。その頃業績不振だったスポーツ品メーカーのアディダスも買った。TVで見ていてもバイタリティーにあふれているのはわかるが、カリスマ性で人をたぶらかす(?)のが上手いようで、ミッテラン大統領に気に入られて92年都市大臣になった。大臣と企業経営職の両立は不可というミ大統領の要請でアディダスを当時国立銀行のクレジ・リヨネに売却を依頼したのだが、そのとき同銀行は約4億ユーロの差額をもうけた。話がそれるので深入りしないが、タピは自分のチームのマルセーユを勝たせるためのサッカー八百長事件を起こし、自己破産した(背任罪で監獄にも入った)。そこでタピはあのクレジ・リヨネのぼろ儲けは詐欺だと訴えを起こした。裁判15年にして紛糾している状況で、サルコジ大統領時代の財務省は突然3人の調停審査官に裁決を任せると決定、その結果はタピに損害賠償として約4億ユーロ(約400億円)を支払うという、以前の裁判では想像もできない優遇処置だった(2008年)。今問題になっているのはここ、何故「調停」になったか? 社会党だけれどブルジョワでインテリのミッテランは、多分タピのずけずけ意見を言う粗野なキャラクターが気に入っただろうと想像されるが、今度は同胞相通じるというか、サルコジ大統領と仲良しになっていて、政治判断で調整判定にさせたのではと疑われていた。これは「国家金横領集団詐欺」という言葉を聞くだけでもどえらい問題(国立銀行のお金だから)なのだが、去年からの調査結果、調停審査官にはタピ関係の人間が入っていて公正でないことがわかり、元財務省大臣補佐R氏、現IMF総裁の元財務大臣クリスティーヌ・ラ ガルド女史も警察署で事情聴衆され、今週はタピ氏の4日間にわたる異例の事情聴衆の末今晩「容疑者」となった。(すでにR氏と問題の審査官も「容疑者」である)
さて以上があらすじだが、これが検事の推察通りの犯罪であったとしたら、真犯人のサルコジの動機は??? 2007年の大統領選挙でタピはサルコジ支持を表明したが、見返りにそこまでするだろうか? 本当にタピはそれほど有権者に影響力があったのだろうか? 私にはかなり疑問なのだが、小人の私でも推測のつく「とっちゃん坊や」のオランド君と違って、昔から言うようにサルコジは私には何を考えているのか皆目検討のつかない手合いだから、、、
さて、私の生活と全く関係ないことを長々と書いたが、実は我がアトリエの近所に警察の財政犯罪課があって、こういう事件があるとにわかにTVの報道車、カメラマン達で賑わうのだ。そして私は「通りでタピ氏にばったり」ということはありません。精力旺盛に見えるけど70歳のタビ君、健康を理由にノートルダムの近くの病院の特別室でずーっと審問を受けていたのです。
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