ナントでは7〜8月に"Voyage à Nantes"という町中の色々な場所を使った展覧会が行われていて(素晴らしいことに多分すべて入場無料だと思う)、友人のS夫婦に連れられて2日間ちょっとつまみ食い的にみたのだが、その中で「良い子」Le Gentil Garçon(直訳すると「優しい少年」かな?)***と名乗るアーティストが改修中の美術館全体を使って大々的な展覧会をしていた。個展と言えば個展だが、彼はナント美術館、自然史博物館、それに会場である県立ドブレ博物館のコレクションに自分の作品を交えて、部屋ごとにテーマ別に博物学的というか、私が良く引き合いに出すキャビネ・ド・キュリオジテ*的な展示をしていたのだが、これが楽しかった! というのは彼の連想、イメージの引き合い+タイトルがとてもユーモアに富んでいるから。


本棚を押して裏側に行かねばならない、解説文字もすべて鏡像反転された書斎とか、写真のミニュチュアを集めた建物の模型のようなミニュチュア美術館は解説もミニュチュアでメガネをかけても良く読めない、、、とか凝ってます。

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「夜の間」の描き人知らずの絵と結晶 |
こういう展覧会が大好きになるというのは「現代美術は嫌い」と言いいながらやはり大好きなのかしらと思わないでもないが、私の思うに「良い子」は現代美術界の「逸脱」とか「スキャンダル」というメソッドには無関心、かくして大人たち(業界人)の常識(歴史観)を無力化しているのである。
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割れた鏡と古代の土器の「占いの間」 |
(私もかつては理科系なので一層相感ずるところがあるのかもしれない)。
最近見た中で一番面白い現代美術展だったが残念ながらこの大展覧会「未知らぬものが私をむさぼる(L'inconnu me dévore)」は8/28で終わりました。
最後に:ナントの「良い子」としたが、ナントで見た良い子で、アムルー君はリヨンの作家です
* 注:キャビネ…に関しては
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対面のビルの壁にも作品が |
現代「キャビネ ドゥ キュリオジテ」論
**最近現代アート展ではよくメディアターと言う解説員がいるのだが、この展覧会の若い学生バイトらしきメディアターは担当作品に関する知識をしっかり持っていた。これも私の評価をプラスにしている
***HPの英語ではLe Gentil Garçonがナイスガイとなっており、私には違和感があるのだが英仏堪能な皆さん、いかがでしょうか?
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閉館時間まで見ていたら係員が「擬態昆虫」の世話をするのに立ち会えた |
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