2025年10月25日土曜日

AIに思う

あー、やっと解放された。フランスの配達はなんでこうなのかなー??? 
注文した画材の配達日は今日で追跡サイトでは朝から我が家から多分1kmぐらいの収集所(?)に朝からあるのだがいつ配達されるかはまったくわからない。そして突然インターフォンが鳴る!つまりいないとどうしようもないのだ。トイレに入っていても困る😅 
携帯が発達したこんな便利な世の中でなぜその「文明の利器」を使い品物の受け渡しがスムーズに運ぶように10分前にでも予告してくれたら、、、
 
「文明の利器」といえばほぼ毎日話題にのぼらないことが無いAI、使わないのは宝の持ち腐れ、電力浪費の問題を承知の上でも使って便利になる場合は使うしかないと思うのだが、BBC、フランス国営ラジオなどヨーロッパの放送局が自らの放送局の報道内容に関して4種のAIに質問し、その回答を分析した結果では44%が不正確さや誤りがあった。質問は最近の時事問題。AIは放送内容を鍋でごった煮して作文するので、事実と意見がごっちゃになり、皮肉的な冗談も額面通りそのまま取ってしまって大間違い。基本的に最近の時事には事実の蓄積が少ないので今のデータ寄せ集め型のAIはだめなのだ。
専門家によれば、AIが驚くほど素晴らしい答えを出してくれるのは人類の長年の知識、知恵や文学的文章を蓄えたそれこそ質の高いデータバンクを使っているお陰、つまり我々人間のお陰で、今からAIがどんどん新たなデータを作り出して添加してしまうとそれがだんだん薄まっていき将来はAIの答えのレベルはさがっていく!
 
納得!なら使うなら今?(笑)
 
なんて思う私、先日のエクス島に行った時、島の北東端の浜辺に木の枝に牡蠣の貝殻が刺さっていて風に揺られてキラキラ光るという素晴らしい場所があったのだが(その浜辺の貝殻は真ん中に穴の空いているのが多かった)、「どうやってこんなことが起こったのだろう。自然のなせる技は素晴らしい」と感嘆する友人に対し、「そんなことはありえない。子供や観光客が遊んで作ったんだ」という夢を潰す発言をし、それに納得のいかない彼女に対しAIの判定を仰いで見せたのだった。 AIの饒舌な答えの結論はやはり私の意見に沿うものだったが「人はとても不思議ものに出会ったとき神秘的な自然のなせる現象と思いたがるものだが、、、」という注釈付きで、これは彼女を苛立たせた😅 賢い割には一言多いんだよ〜!
でも実は私もそう思う。最初から超自然現象にせず、先ずは論理的に考えて可能性を検証してみなきゃ。特に「アジアの叡智」が好きなフランス人には全然そういうことをしない(できない?)人が多すぎる! でも世の中にはそれでは解決できないものが多いばかりかそればっかり。だからこそ「宗教」や「芸術」の領域が生まれるのじゃないでしょうか・ 
 
エクス島の奇跡:何メートルにもわたって海岸近くの木の枝に貝殻がついた枝が風に揺れながらキラキラ光っていた!
 
さてそのAIを使うアートも、我がアトリエ村のお隣さんも複数の写真を合成させたりしていて、数年前見せてもらった時すごく不思議でシュールなのが出てきて、それ系の画家には創造のヒントの泉になるだろうと思ったものだったが、2年前(2024)、その頃は私は使ったこともなくほとんどわかってなかったのだが、アプローチも結果も明快で面白くAIに関する認識を新たにできた展覧会に京都写真祭で出合った。作家は嵯峨美術大学の教授(メディアアート)の三宅章介さんで、自分の撮った写真をAIに叙述させ、その文から画像を作らせる、そうすると土台になった写真とデータバンクの中の写真が混じり合ってなんだか奇妙な写真ができあがる。(コンセプトはこちらを参考に) 2年前のことだったので忘れてしまったがQRコード読むと元の写真とAIの書いた文章が出てきたのだと思う)
展覧会名は「絵空事」 つまりフェイク。AIは作っても著作権も主張しないが責任も取らない。
遅ればせながらの紹介になりますがそのとき掲載したインスタに飛ばします 。
 

2025年10月2日木曜日

牡蠣拾い エクス島の日々

エクス島(Ile d'Aix)の滞在はなかなか面白かった!
毎日海岸を歩き、スケッチをしたり宝物(=貝殻や穴のたくさん開いた石)を探したり、天気が良くて遅ればせながら今年初の海水浴もできたし、、、それに我が人生初めての経験としては、「転がる牡蠣」を採取してほぼ毎日それを食べ、、、 
 
岩は牡蠣に覆われ
 
「転がる牡蠣」とは島で習った言葉 "les huîtres roulantes" の直訳。普通は岩にしっかりくっついている牡蠣が何かの拍子で落ちたり、養殖場から波にさらわれたりして海岸に達し、岩の間の水たまりに転がっているものがそれで、私はこれを拾いに行くのが島滞在後半の毎日の日課になった(笑)
エクス島の海岸の多くは浜辺にも岩にも牡蠣の貝殻にあふれていて、牡蠣が沢山いたから養殖が始まったのか、養殖があってそれから流れて牡蠣が海岸にいっぱい生植することになったのかよくわからないが、オイスタースポットは岩肌が牡蠣だらけ。それに私と趣味を同じくする海鳥たちがたむろしているからすぐわかる。もし岩から牡蠣を剥がすハンマーナイフみたいなものがあったらあっというまに膨大な量を取れるだろうが、それのない私は水底を観察し、海藻の下をまさぐり「転がる牡蠣」を拾う。 

こういう岩と岩の間の水たまりに転がる牡蠣がいる。沖に見えるは後述のFort Boyard
 
牡蠣は自然に幾つもがくっ付き合う習性があって、そんな複合体や海藻やフジツボがいっぱい付着した野性味あるものなら結構簡単に見つかるが、商店に並ぶような平らな単体の牡蠣を見つけるのはなかなか難しい。しかしその変な牡蠣を開くのが結構面白かった(実は「牡蠣が島の名産だけれど私は開けられない」というこの島でアーティスト・レジデンスをできることになった友人画家に言われて「それでは」といつも使っている牡蠣開け用ナイフと手袋を持参してレスキューに行ったのだったのだ😄 その時点での牡蠣は養殖業者で売っている牡蠣だったのだが、、、)。毎日やると変形牡蠣を開くのも結構早くなる。けれども薬局すらもない小島で怪我するとやばいので慎重にゆっくりと眺めて楽しみながら:そんなに数食べられないし→一応これは前菜で毎日その後に炭焼きのバーベキューが待っているので。
 
と書くと別天地だが、実際には島の住民があまりにも少なすぎてか、港で漁師が魚を売るとか、島で野菜を栽培直売する店もなく、これにはがっかり。 島唯一の小スーパーの価格はべらぼうに高く、島民も島のレストランもすべて大陸で買い出してくるようだった。私がよくお邪魔するユ島(Ile d'Yeu)のぐらいの大きさがあり、ある程度の市場規模がないと現地直売経済が成り立たないことを実感した。 つまり私の牡蠣拾いは生活防御だったのだ😅
 
砂浜の小さな岩にも牡蠣がひしめきシュールな光景が
 
養殖はこういうプラスチックのトーテムに牡蠣をくっ付けるらしい

 
牡蠣の話はこの辺にして以下少し島の説明 :
 
エクス島がどのぐらい小さいかというと:人口は200人足らず、弓形をしていてその端から端まで3km、幅も600mしかないので、2〜3時間もあれば徒歩で一周できてしまう! 

島の名前からフランス人でもエクサンプロヴァンス(通称エクス)の名に惑わされて南仏の島だと思うのだが、パリから南西に向かった大西洋岸の都市ラ・ロッシェル La Rochelle から船で1時間強(もっと海路の短い他のルートもあるが不便で自動車族用:島内はノーカー、観光客は大陸の駐車場に車を置いていくシステム)
 
ユ島もそうだが、フランス南西部は13世紀以降イギリスの侵入を受けた地方で、この島も大陸を防御するための要塞が築かれた。そしてアラン・ドロンとリノ・ヴァンチュラ主演の映画「冒険者たち」や、フランスではテレビの競技娯楽(?)番組で有名な、これこそまさに要塞島のFort Boyardも東海岸の沖にある(以下の観光局のヴィデオをご参考に)
 
歴史のエピソードとしてはワーテルローの戦いで破れたナポレオンが南大西洋のセントヘレナ島に送られる前に滞在し、ナポレオン博物館なるものもある(牡蠣拾いで忙しく(?)私は行かなかったが)。
 
勇壮ないでたちで小海老を撮りに来た漁師たち。でも網の中を見せてもらったら1匹だけ。趣味なのかな〜?

この地方特有カルレという網漁の小屋。これも漁している時はお目にかからなかった。(もちろん写真は干潮時だが)
これはオイスタースポットの反対側の長い砂浜
 
 
 上空から撮影された観光局のヴィデオです


こちらは私のデッサン。インスタ京巴ページに投稿中で他にもあります