2023年8月12日土曜日

コニエは絵画とは何かを問うというが?

注:このブログは数週間前に書いたのに公開を忘れていた。

「絵画とは何か?」を問う一つの作戦は、何でもない(つまりフツーの意味で絵にならない?)ものを描く。殺風景な都会風景とかスーパーマーケットとか、冷蔵庫とか。

もう一つよくあるのはボカシで、描かれたものが見る人の目には克明に見えない。
 
フィリップ・コニエ (Philippe Cognée) はその二つを使った具象画を描く。特に彼のボカシは特徴的でピグメントとロウを混ぜた蝋画で分厚めに描き不透明感を作った上に、その上をシートを置いてアイロン掛けしシートの剥がし具合で表面を波打ちさせたりする。
 
というわけで「絵画とは何か?」を問う作家として大成功、ローマのメディチの家にも行ったし国立美大の先生にもなったし、最近オランジェリ美術館の「水蓮の間」に誘う小ホールに数点、ブローデル美術館では大きな個展が開かれた。
 
と、いつものひがみとしか思われないイントロになったが、私は彼の作品が結構好きだ。 第一に技術的に達者だから。今まで知らなかったのだけど彼は両親の仕事の関係で5歳から17歳までをアフリカのベニンで過ごした。だからひょっとしたらフランスのビル団地もスーパーも「美術戦略」以上にただ新鮮に見えたのかもしれないと私は勝手に想像しているのだが、どうだろうか。
 
まあそもそもハイパー・リアリズムのように克明に描いても古典的なテーマを描いても「絵画とは何か?」を問いていると解釈されるので、なんじゃいなと思う。問いているのは画家本人でなく評論家で、作家は問題提起なんか飽き飽きし、その一方で評論家やファンは妄想を走らせるというのが現代美術の世界じゃないかなー? 定義的に言って全然何も問わない筈のアール・ブリュットだって問題提起になってしまうから「もうやだよー」と言っているのは落第生の私だけでしょうか?
 
そのコニエさん、奥の間に萎れかけた百合の花の大作が飾ってあって、「あれー僕だけでなかった」と共感。でもまさか「絵にならない」と思っているのじゃあるまいな〜?
 
実はブローデル美術館では私でも「絵画とは何かを問う作品」としか解釈できなさそうなバーゼルのアートフェアのカタログを一頁一頁を同寸大で絵にするという「しょうむない」シリーズが大半のスペースを占めていて、、、
 
同じような者だが百合でなくてアマリリスらしい

上はコニエの大作(巾1.5mぐらいかな)
下は私の小品(24x30cm) 結局は我田引水的自己宣伝です(笑) 
 
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最後に枯れ牡丹

ブローデル美術館での大展示はすでに終了。

このために行くと馬鹿を見るほどの小規模なオランジェリ美術館での展示は9月4日までオランジェリ美術館サイト

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