2025年3月2日日曜日

命の次に大切なものをなくした〜

日頃「命の次に大切なもの」と言っている「滞在許可証」、こともあろうにこれを落とした!*

携帯にモバイル搭乗券なるものがあり、家からパリの空港まで荷物を運んでくれるANA+クロネコの「手ぶらサービス」なるものを利用しているのでゆっくり羽田に到着、ANAの機械でモバイル搭乗券を読ませたら「存在しません」というような答えが出てきて、変だなーとパスポートを引っ張り出しスキャン。でも答えは同じ。さっぱりわからんから近くにいた係員に尋ねたら、ははは、そこは国内線カウンターだった! 
国際線は2階でそこで同じことを機械相手にしようとしたらモバイル搭乗券が入ったメールが見当たらない。どうも携帯の変なところを触ってしまったようだ。pcには入っているが、、、で紙の搭乗券を出してもらうことにした時には場内で「パリ行き最後の搭乗受付です」なんてアナウンスがあって、今までの余裕はどこぞに消え、慌てて「人のいるカウンター」へ。まあ私にはこの方がよっぽど楽だ。
 
荷物検査などを通過しゲートに行きつつふと気がついたのはいつもパスポート入れに一緒に入っている滞在許可証がない。服のポケットにもナップサックのポケットにもない。国内線でも国際線でも機械に読み込ませようと思った時は絶対にあった。そのあとパスポートを出したのは紙の搭乗券をプリントしてくれたカウンター。その時もあった。
 
情報センターに行って探してもらったが落とし物にあがってきていない。青ざめてしまったがともかくはパリ空港までは行くしかないよな〜、命はあるのだから。
 
フライトのゲートの係員にまたこれこれしかじか、、、なんとその間に落とし物情報が上がってきた! あーやれやれ、その後数分で手元に届いた。関係者の皆様に感謝の言葉がありません🙏
 
パリに着いて入国審査でこのいわくつきの許可書を出したら、我が内心の安堵も知らぬ審査官に「スゴイってどういう意味だ?」と尋ねられ、ああここはフランスだと実感!この気楽な審査官も滞在許可証なくしてたら厳しい尋問するのかな???
 
ところでパリまで勝手に運んでもらった旅行鞄だが、フライト前日にクロネコから「コロコロが壊れまして、、、」という電話があった。当然一つなくなっているのだろうと思い込んでいたのだが出てきた鞄にはコロコロがちゃんと4つある。きつねにつままれたよう。報告を受けていた空港係員がコロコロを入念にチェックしてみたところ一つが引っ張ると浮き出すことがわかり、あーこれか:つまり知らなければそのまま引っ張って行けそうな不具合。クロネコさんは修理したら代金を払い戻してくれるということだったが、パリの13区の中華街で買った素性の知れぬ既に何年も使ったこの鞄、修理するほどのことがあるのか甚だ疑問。空港側はここで修理するという。でもすぐにはできないから同じようなサイズの鞄をもらいこれに荷物の入れ替え。空港係員も私同様の疑問を抱いたのだろう 「この鞄を引き換えにして古いの廃棄してもいいのですよ」 私「いいいいそれで!」 

文章で書くと簡単だがその間書類も書かされ、色々待ち時間があるからこの成り行きは時間にすれば30分以上。
 
実は私の使う地下鉄14番線も空港からの近郊線も夜間ストップするという情報をもらって最後の最後に4時間以上の長い待ち時間のある(なぜこんな便を選んだのか?もちろん少し安かったけど。それで着くのが遅くなる)フランクフルト経由便から直行便に変更したのだが、空港係員が手薄になる夜10時半過ぎに着いていたとしたらどうなっていたのだろう? それに滞在許可書なしでヨーロッパの国境フランクフルトに着いていたら?? 
変更料払っても変えて良かった〜😅
 
というわけで全て結果オーライ。
企業宣伝など滅多にしない私だが「手ぶらサービス」ってのは本当に素晴らしいです。
しかしそんな便利な日本で一層ボケボケ状態になっているので気を引き締めねば! 


* 注: 滞在許可証は普段はなくすと大変なので必要な時以外持ち歩かないようにしている。
外国人は常にも持ってねばならないことになっているが、警官に要求されても彼らは住所氏名からドキュメントにアクセスできるので顔写真と照合され生年月日ぐらい尋ねられて終わりだ。(それもパリ市内で平常時なら滅多にないが)
このマリアンヌ像の入ったチップ入りのカードはブログにも写真紹介済みだった(笑)


内容とあまり関係ありませんが:
これはモスクではありません。旧横浜税関。建築細部も面白い。私大昔に初めて船で渡航した時こんなところを通ったかな〜?
 

2025年1月26日日曜日

若冲めぐり

前々回(12月30日)に書いたオペラハウスギャラリーの松谷さんの回顧展も最終日に滑り込みだったが、先週の日曜日も最終日に滑り込み。こちらは京都嵐山の福田美術館で、私の今の日本の拠点からすぐ近く。しかしこの展覧会のタイトルはとてもとても変だった:
 
 「京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」
 
これってマジ? 私のような者は行く気が萎えてしまうが、これで若い人が呼べるのか??? そういえば昔「絵画史上最強の美少女」とか書いてある宣伝にもびっくりしたが、、、。何でも笑えればいい? 日本国は謎だ。
 
でもこの展覧会に行った人がFBに写真を上げていてこれが「マジ」そうな展覧会で、、、だから自転車で行きました(嵐山は太秦からすぐ。でも表参道みたいな感じのすごい人だからいつも敬遠していた)
 
若冲は綿密な描写の華麗な色彩画で知られるが、この展覧会では水墨画が多く、つまり当然白黒で筆使いも大胆、個人的には私の海水ドローイングも通常のテクニックとは違うとはいえ水墨画の一種(?)だからこちらの方がずっと興味をそそるし、参考にもなる。右写真の魚のうろこ、濃い墨が先で後で細筆でスイスイと墨を吸い取ったのだと思うけどどうやったのかなー? 若冲の発明みたいなこと(=その時代に彼以外できる人はいなかった)解説に書いてあったけど。
 
若冲に多大な影響を与えた清の沈南蘋(しん なんびん)の花鳥画を広めたと言われる、今まで私は知らなかった鶴亭浄光という長崎出身の坊さん絵描き(かつ彼には号が幾つもある)の水墨も紹介されていたが、大胆で非常に面白い(リンクのインスタの最後に7枚目と8枚目)
 
 

 

「激レア…マジ?!」ばかりか福田美術館は客引きに必死のようで、コピーよりはオーソドックスだがファン参加型でかつ副館長さんが「エモイ」なんていう私のよくわからない言葉を使うyoutubeも作っていた。
 
 
 
そしてこの開館5周年という新しい美術館、桂川の名勝渡月橋を眺めるこんな綺麗なカフェもあるのですよー。
宣伝してるようですが、実は「一体ここ何なのかなー」とますます不思議に思ってウィキで調べたら創始者の福田さんは取立てが厳しくて問題になった民間金融業で財を築いた人だとかで、、、
 
美術品の価値は下がらないけど、う〜むですね。
 
 
この若冲展の話を美術通の友達に話したら「相国寺の承天閣美術館の若冲の襖絵も見なさい」と教えられ、早速美術館をググって見ると「この展覧会も終わるではないか!」
いそいそと今日見に行ったのだが、茶具が並び何だか変だ。それもそのはず、私が見たのは去年のこの時期の「若冲と応挙」という展覧会の情報だった! 
でもここには若冲の手になる鹿苑寺(金閣寺)の大書院の一部(壁や畳、床の間など)を復元して展示していて、これは移動不可なので常設。つまりその2つの大胆な水墨の大襖を堪能して戻ってきた。これは撮影不可だったので承天閣美術館を紹介したこのリンクをご参考に。これがいつでもみられるというのはいい!
 
最後に福田美術館にあった変わり者の禅僧の白隠慧鶴(ウィキ)の掛け物「金棒図」 。もうこれ現代美術ですね♪
禅 vs コンセプチュアルアート は面白い企画になると思うけど
 

 そう言えば7年前若冲の代表作パリに来たのです。大人気でした。その時の投稿はコチラ

2025年1月11日土曜日

京都で初の行く年くる年

 

京都どころか日本で最後に年末年始を過ごしたのはいつだったか???

ともかく久々の「お正月」、その大晦日は年末に知り合った左京区のフランス人のCさんの家のパーティーに呼んもらい、夜中前に全員で真如堂という寺へ除夜の鐘を衝きに行った。つまりそこの鐘つきは「参拝者参加型」で、参加者の大多数が外国人だった! かつ坊さんがスマフォでビデオを撮ってくれる!! こんなディズニーランドのようなことになっていようとは!!! おもてなしといおうか、、、さすが観光立国😅 (日本の将来それしかないかな???)

そこで珍しく一句 
 
煩悩を
スマホにおさめ
オンレファス 
 
最後はon l’efface(それを消す)です。
おそまつ


そして4日には餅つき。遅れて到着したのがそれが故に私の威勢の悪い餅つきには誠にもったいない素晴らしい唄のお囃子をつけてもらえるというタイミングとなり、来る前に下鴨神社で引いたおみ籤のひどいご神託を一気に覆した僥倖だった!!!
 
京都で今まで知らなかった素晴らしい人たちに囲まれての鐘つき、餅つき、
「つき」に預かり今年はいい年になるかも ^o^
 
みなさまにも良い年になりますよう!
今年もよろしくお願いします =ブログ読者少ないのであてにしてますよ〜😅

2024年12月29日日曜日

飛行機の中で ー そしてその前と後

アニメになったラヴー邸の娘アドレーヌ。誰かに似ている?
もう2週間前になるが、飛行機の中で時間潰しに「近年特に話題になった映画」を見ようと思った。例えばダヴィンチコードとか。何本も見始めてはすぐにスキップの連続、すぐアクションシーンに走るハリウッド映画の程度の低さに驚きつつ漫然とプログラムをみていたのが偶然面白いのにあったった。Loving Van Goghというポーランドのイラスト映画。ゴッホの書いた絵をもとに百人もの画家が油絵でイラストを作って、、、ゴッホ の自画像はもちろん、ガシェ医師、そしてゴッホが屋根裏部屋を借りたラヴー邸の娘のアドレーヌとか、絵で見知った顔が突然動き、話し出す(笑)。ストーリー的には、これも絵画で見知ったアルルの郵便配達が手元にあったテオからヴァンサン(ゴッホ)への手紙を息子に託し、彼は宛名人(ゴッホ)に配達するという使命を負ってパリに上る。だが時すでに遅し、ゴッホは死んでおり、息子は関係者にインタビューしてゴッホの最後の日々を探ることになるというお話。こんな映画聞いたことなかったのだがなかなかの上出来! 
ご存知の通り(?)私は特にゴッホファンでもなくて、とはいっても「袖すり合うも多生の縁」以上の関係があり*、今回の飛行機の「預かり荷物」の中にはゴッホの亡くなったオーヴェール(Auvers-sur-l'Oise)の上記の「ラヴー邸」(Auberge Ravoux)、現在は「ゴッホの家」として史跡観光地(?)となっているが、その私立財団「ゴッホの家」が発行した分厚い本が入っていたのだ。 

ゴッホの家の館長さんに出発の数日前に会って本を渡され、「日本でゆっくり読んで感想を送ってくれ」と申し遣わされ私は感想文を書かねばならないのだ:でもただの感想(笑) それが飛行機でこんな映画に出会おうとは!!!! それこそゴッホの家の館長さんに報告せねば!

実は以上すでに飛行機の中で大体メモ書きしていたのだがそのままになっていた。年を越すのもなんなので今日掲載。調べたところこの映画の邦題は「ゴッホ、最後の手紙」(フランス語タイトルは Passion Van Gogh)、この映画の特に面白いところはゴッホの絵の渦巻くタッチが異なる何人もの作家のタッチの連続というプロセスを経て常にうねり続けることになるという通常のアニメでは到底考えられないゴッホ的(?)ビジュアル効果を生み出している点だ。これは次の予告編でも十分わかって頂けるだろう。それに登場人物が何かしら今の有名俳優に似ているような気がしてこれも面白かった。飛行機乗ったら是非探してみてください
 

 

 *注:「多生の縁」というのはは、このゴッホの家が荒廃していたラブー邸が「ゴッホの家」として1993年に開館した時のパンフレットと呼ぶには立派すぎる小冊子を縁あってこれを私が和訳したことによる。このゴッホの家の館長さんは大食品企業に勤めていたベルギー人ビジネスマンでラヴー邸の前で交通事故を起こし入院、その入院中にゴッホとテオの往復書簡を読んで感動し、それこそ運命的な「不思議な縁(えにし)」を感じて会社を辞めてラヴー邸を買って修復しオープンした。つまり彼も死したゴッホに魅入られた一人なのだ(笑)
「ゴッホの家」には「場所」があるだけで絵はない。世界のゴッホ教徒にはそれも神道的でいいのではないかと思うが館長さんはなんとかオヴェールで描かれた一枚を飾りたいと夢みかれこれ何十年も奮闘中。
今これを機に手に取った「宿題の本」を開くとアムズテルダムのゴッホ財団の財団長ヘリング女史は「この部屋で各人は夢想し自分のお気に入りのゴッホの絵を壁にかける…夢見ることを学ぶ」といみじくも書いていた。ゴッホ教徒などと馬鹿にしてはいけない。夢見る人たちなのだから。
 
 
さて話は変わりついでに書くと、フライト前パリで最後に見た展覧会はあのカイユボット展(参考:私の同展への投稿)。その中の彼が一作しか描かなかったと言う女性ヌード、あの下着がポッと捨ててあるあの無造作な配置、それに当時の絵としてはとんでもなかったあのふさふさした「恥毛」、ありゃなんじゃいな?と気にかかっていたのでもう一度見に行ったのだが前回に比べて大変な来場者数でその方にびっくり。まさかジェンダー視点の穿った絵の見方が人気の理由ではあるまいな〜?
 
 
Nu au divan「ソファーのヌード」(1880年頃)の部分
 
 そして日本に来て最初に見たのはパリを拠点とする日本人作家の松谷さんの東京のオペラシティーギャラリーの大回顧展(最終日)。ポンピドーセンターの個展も以前見ているが、それが比べ物にならないほど大規模かつ包括的な展示で、予想をずっと超える圧倒的な素晴らしさだった! 衰えることなきパワー、お見それしました😅 
 
60年台のグループ「具体」の頃の作品


2024年12月13日金曜日

ファイバー関係の総まとめ! ー including 塩田千春

Natalia Villanueva Linares

現代アートで布や糸、各種のファイバーを素材につかった作品は膨大なので、テキスタイルアートは素材でなく「縫う編む紡ぐ」という行為で捉えないと絞り込めないだろうと思うようになった(つまり前回のブログの定義撤回)のだが、、、例えば右の写真の糸巻きから出る糸の円錐のような、その行為をしないでそれを暗示する作品はどうなのか? やっぱり入る? 暗示も行為のうち?😅 やっぱり素材か??? 

実はこの作品はパリのラテンアメリカ会館の展覧会にあった。

前々回のオルガ・デ・アマラルも南米のコロンビアの人のテクスタイル作家だったが、彼女の作品も含めた「糸の短い歴史(Une brève histoire de fils)」と題された展覧会がそのラテンアメリカ会館で行われている。南米民族衣装的な織物の歴史の影響とも簡単に思いがちだが、織物のない文化はありえない。強いて言えば何を織るか??? 

 そこがこの展覧会、面白かったのはタイトル通り着眼が「織」よりも「糸」で、その糸にはかつてのビデオカセットのテープを使った作品とかも含めていている。そしてこれらの作品の多くがデ・アラマル同様オプティックアート系なのだ:何度も書いているが、目の錯覚?を利用するオプティック系の作家の大多数は南米系。下にあげるはメキシコの作家(1973生)のヴァネッサ・エンリケVanessa Enriquez :どうも私が写真撮るより他人の方が上手いみたいなので知り合いのサブリナさんのインスタビデオをリンク:

 

 

Vanessa Enriquez

 次の写真もヴァネッサ・エンリケでやはりビデオテープ。所々白テープが貼ってあって写真ではわからないが実際に見ると目がチカチカする効果がある。ちなみに最初の写真の糸の円錐もオプティカルな効果があった。

ラテン・アメリカ会館 (La maison de l'Amérique Latine) の美術展はいつもなかなかユニークでかつ入場無料! 「糸の短い歴史」展の 会館のサイトはこちらから 1月16日まで

 

以下私の備忘録としてテキスタイルアート系で書いた覚えのある記事を列挙

もちろん前回のオルガ・デ・アマラル 

それから文字通り「縫・織・編」展というのもあった

パッチワークの宮脇綾子とピアスのYveline Tropea

ドキュメントを縫うMayumi Inoué 

これぐらいしかないのか??? 
 
 
 
もっともっとありそうだと思ったけどブログで写真だけってのもありますね
 
例えば岡崎の美術館で見た女性作家たち、特に「ほどき」の寺塚愛子
 

 

金属ワイヤーワークのRuth Asawaも。

 

 

今彼女ルース・アサワについての素晴らしい記事見つけた!

 
さて自分のブログに戻って、もっと拡大解釈すれば
もちろんルイーズ・ブルジョワなどなども入ってくる、、、
 
結局圧倒的に女性作家が多いな〜!!! 

その塩田千春はグラン・パレで個展が最近始まった。
 
グラン・パレのガラス天井の大空間に糸がめぐらされたらどうなるのだろうかと興味津々だったが、正面玄関横から入る回廊空間が展示場で、今までの作品の回顧展。それなりに見応えはあるし、かなり見ているはずの私も知らないものあったしでいいのだけど、大作家が招来されて巨大ブロジェクトで挑戦するグラン・パレでの展示としてはちょっとがっかりかな。
次もサブリナさんのインスタをお借り。彼女は写真の専門家(写真家ではなく)なのだけどインスタ映えする写真撮るの上手いみたい=こんなにきれいだったかな〜(笑)

 

こちらは同展のインスタ映えしない私の個人的興味を反映する病巣を暗示するような作品(これは今まで見たことなかったと思う)

 
回顧展の履歴で私が初めて見て感動したパリ郊外のCréteilの劇場でのインスタレーションは2001年だとわかった。あの頃は彼女のこと知る人ぞなし。黒い糸が張り巡らされこんな感じだったが、
 
 
赤糸にしてから世界的にアピールしたみたい → やっぱり白黒はマイナー志向か?自分のこと思うと辛いな〜😅  
 
塩田千春は来年3月19日まで。Grand Palaisサイト 

実は今こんなこと書いてる暇ないのだけど、記憶力の悪い私は今書いておかないと「記憶の糸」を手繰り寄せられなくなる。おおっこれもファイバーアートか?(ははは)

 

注:私のオプティックアートに関して簡単な考察は10年以上も前の投稿「光と動きの展覧会」をご参考に

2024年12月1日日曜日

パリの本屋さんでの個展(回顧編)

なかなか上に上がれない。やっぱり落ちて振り出し?😅
9月29日に予告編を書いたパリの本屋さんでの個展、1ヶ月以上細々と長期に続いた末11月16日の私の誕生日に終わった!
こういう展覧会はまた新しい出会いがあればと思ってするのだが、ありがたいことに友達が友達を誘ってくださるという広がりはあったものの、本を見に来た人が興味を持って会いに来てくれるということは残念ながら全くなかった。
予告編に書いた通り港町サンヴァーの本屋での展覧会の姉妹編だったのだが、パリの本屋と夏のバカンスの本屋とでは人の行動が違った! バカンス客は時間に余裕があるから本を見るついでに上階の展覧会を見てと階段を登ってくる人が結構いたのだが、秋のパリでは全然違って、本を探しにくる人はその目的以外には興味なしという感じ。それにもまして最近はインターネットで注文した本を取りに来るだけという人も多く、この人たちは入り口のレジで本を受け取ったや否やすぐに帰ってしまう。これにはちょっと驚いた。
9月開業の新しい本屋にはイベントに客を集めるネットワークはなくて結局集客活動は私の貧弱な肩に。10月はパリでは大きなアートのフェアが沢山催される月で、フェアは外から見る限り大盛況。なんか滅入るよね〜
 
そんな時に頑張り屋のアーティストのMさんがやって来て曰く:「エイゾウさんこんなところで何やってるの〜?」
去年はしっかり画廊で春と秋に展覧会をしてたのに格落ちって感じで、ホントホント。かつ昨年秋の個展をやった画廊は店仕舞いしてしまって振出しに戻れ、「芸術家双六」なかなか先に進みませんな〜。
いっそ双六でも作ろうか?ずいぶん前にそんなので遊んだ記憶あり。ビデオゲームでなくてゲーム盤とダイスで、とまった場所によって美術史の質問に答えなければならなかった😅 「上がり」はなんだったのかな?栄光?栄華?あるいは自己満足?(大昔のバカンスの思い出で詳細覚えていないが、インターネット見てすぐ出てきた作品をコレクションする投資ゲームとは違ったと思う)
 
でもそれなりに頑張ったことはあったかな〜♪???
人によっては「行っても買うわけじゃないから」って変な理屈で来ない人もいるのだけど、展示する以上、頭数ではないにせよ、より多くの人に見てもらえるのが一番の願い。だから興味ありそうな知り合いを誘ってきてくださる方は本当に嬉しい。特に買いそうな人ならもっと😅 それに私が日常ではなかなか出会わない若い人も!!! つまり連れてこられた人がリピーターになると、私の作品なにか訴える力があるのかなと密かに喜んでしまうものです😄
 
以下インスタのあげた展覧会の様子
オープニングと最終日にはヒロエことソフィが私のドローイングからインスパイアされた自分の詩を朗読しました。
 

2024年11月26日火曜日

オルガ・デ・アマラルの回顧展

テキスタイルアート?ってのはは大雑把に「布と糸を素材とするアート」でいいのかな?織ったり縫ったり紡いだり、もしくはほどいたり染色したり、伝統的に女性の携わってきた仕事あるいは職人芸という概念を免れえない。だから現代アートではそれに反発して女性問題の提示するとか、職人的技術を否定したラフなテクニックで表現されることが多いような気がするが、今カルチエ財団で大回顧展が開かれているオルガ・デ・アマラル Olga de Amaral は先に述べて伝統的な意味でのテキスタイルをいかにアートに昇華するかに腐心してきた作家と言えよう。素材も綿、麻から馬のたてがみ、そして金箔やパラジウム、それにプラスチックと様々な素材を導入。新たな独自の技巧を探究しテキスタイルアートの領域を拡大し、モニュメンタルな作品を作るに至った。

オルガ・デ・アマラルは1932年コロンビア、ボゴタで生まれ。1954年に政治変動のためアメリカのミシガンに移住。そこのアートスクールでテキスタイルデザインに出会う。ミシガンで出会ったポルトガル出身のご主人とその後ボゴダに戻り装飾テキスタルの会社を始める。60年代になって新しいテキスタイル技術を実験して異なる素材を混ぜて3次元的要素を導入した大規模な作品を作るようになる。1973年に奨学金を得てパリに滞在。81年にはパリ近代美術館でも大作が発表されるが、その割にはその後フランスであまり作品を大規模に発表される事はなかった。つまり今回のカルティエ財団の展覧会が初めての大回顧展で、 コロンビア以外では今まで発表されたことのなかった作品も数多く含めれている。

研究された「技術」に裏づけされた彼女の作品だが、それは幾何学的なモダンアートとともに南米の伝統的な色彩豊かな織物、それに中南米古代文化を思い起こさせる世界を作り出していることも目を引く。

特に下に掲載するビデオのような、通常は数学的で冷たい感じのするオプティックな効果をソフトな糸・布で再現し、自然な光や波のような親しい感じのものとしたのはとてもユニークだと思う。

作品解説でおおっと思ったのは、テキスタイルとテキストは「織る」と「物語る」という二つの意味を持つtexereを語源としていて、このことはすでにインカ文明が文字がわりに結び目で記録をしたことに現れている! でもラテン語語源だから我田引水みたいな気がするが、、、アマラルには一本の糸は一つの単語であり、コードを知った人しか理解できないインカの結び目文字の意味的表現を言及するとか、、、そういう難しいことは言わずもがなの直截的に理解可能な作品と思えるが、皆さんいかがでしょうか?

 

テキスタイルが醸し出す微妙な揺れとか現実に体感しないとわからない。写真じゃ全く伝わらないです。 
 
かつまた今回は文句のつけようのないほど全作品美しく展示されている。私がこんなにカルティエ財団褒めたこと今までなかったんじゃないかい(大笑)
 
 
 
2025年3月16日までカルティエ財団にて→財団の展覧会サイト
 
フランスではほぼ知られていなかった作家なのに展覧会大人気ですので予約要でしょう(私も知らなかった😅)