2016年7月16日土曜日

イノセンスの喪失



2015年1月7日は、「フランスにイスラムの大統領が誕生し、中道のフランソワ・バイルーを首相にする内閣をつくる」という近未来小説(?)ミシェル・ウエルベックの「服従」の出版日だった。それ以前から「服従」がイスラムという言葉の訳として正しいのか、あるいはこの本は反イスラム感情を助長するものだとか、挑発的なウエルベックらしく何日も前から色々取り沙汰され、お昼のニュースでは小説の中で首相となるはずのバイルーがインタビューを受けて「セックスに悩む男の話で私のことなど殆ど出て来ませんよ、、、」などというのを笑いながら聴いていた。これがパリでの最初のテロ、風刺新聞CH(シャーリー・エブド)が襲撃される数時間前のお話。「あー、なんと幸せだったことか」と後で思ったのを覚えている。

今回は7月14日の革命記念の祭日。バカンスだし、サッカー欧州杯もフランスチームの善戦に終わり、フーリガンや労働法改正反対デモに寄生した破壊グループなど2週間前はまだ殺伐とした雰囲気だったのが、久々にのんびりムードが漂っていた。だから朝のシャンゼリゼの軍隊の行進に第一次大戦でフランスに軍を送ったオーストリアとニュージーランド軍が招かれ、民族衣装?(所謂土人の姿)のマオリ族まで登場した(参考写真)のを、「このご招待は4月にオーストラリアと潜水艦建造の史上最大の契約をしたからだ」とかが話の種になり、恒例の大統領会談では「非常事態」の終結が語られていたのだが、、、。本当に惨事が起る前までは幸せなものだったと思う。


こういうイノセンスの喪失感を、フェースブックで見たニースの花火のビデオは一層強く感じさせてくれた。

海に映る花火、波の音、子供の声、、、(FBアカウントがないと見られないかもしれません)

私はニースには友達もいて時々行くし、花火が大好き。もし一昨日ニースにいたら絶対現場にいたはず。だから今回の事件が巻き込まれる確率としては一番高かったかも(何れにせよ微々たるものとはいえ)。コンサートやレストランに比べもっともっと大衆レベルになった標的、今までよりテロを身近に感じた人が多いだろう。


 注 :ウエルベックの「服従」は読んでいません。つまらないと言いながらその前の本のことを2014年の8月にちょちょっと何回かに渡り触れており(例えば8/3の後半)、丁度ニースにも行っていて8/27には貸し自転車の比較をしていました。上の写真はその時撮ったニースの海岸の夕暮れ(9/7掲載)
旧ブログ(2012/9月の投稿)にはニースの浜辺のことも書いていました



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