ロン・ムエックはハイパーリアリストの彫刻家で、十和田美術館にもあったし、日本語ウキペディアにもあるのでそれ以上書かないが、人々の感嘆は少しダリへのそれと似ていると思う。つまり「よくここまでできるものだ、、、」 今やフォトショップで相当出来そうなことがそれを凌ぐ筆で描かれている感嘆は、ここでも「コンピューターの3D技術を使っているのでは?」という当然の疑問と表裏一体で出てくる。ダリと違ってムエックは現代の作家だ。彼は実寸大ではなく大きくするか小さくしたりするのだが、インパクトが強い巨大な彫刻は私には顔と足が普通のプロポーションより大きいような気がする。巨大化される前に彫刻の印象を考えるのは容易ではないがそれこそコンピューターシミュレーションで???か昔の仏師のように経験則か???
youtubeにあった巨大ベービーを作る過程のビデオでは表面は粘土で塑形した巨大彫刻から型を取っていたが、ダリで述べたように人間の眼が行くポイントというのはあるから、それを押さえた手の仕事だろうと思う。ともかく私は「何でも簡単にできるようになった現代だからこそ圧倒的な職人芸に一般の人がより感動するようになった」と私は感じている。(近代絵画が写真の登場で現実の真似事から一段違うところに行ったはずだったのが、誰もがフォトショップするようになっての「本物の偽物」指向の逆現象?)
その所為か最近はデッサンでも見たよりも現実らしいハイパー路線と、私がよく引き合いに出す(例えば2011/12/14の)ブリュト ART BRUT(=Raw Art)、つまり精神症的な人が多い素人アウトサイダー路線との、二つの両極端がちょっと流行のような気がする。ハイパーの方は「よくやったなー」と感心はするが「それで〜」という感じで、個人的にはBRUT気違い路線の心をえぐられるような作品の方がよっぽど好きだが、両方に共通するのは、沢山見るとよく似た作家がいっぱいで、(美術界一般ではあるが特に)誰が誰かわからなくなる。名前を覚えられないのもただ私の脳の老化の所為ではなく、おそらくは作家に発展性が乏しい(いつも同じような作品だろうと思う)のでフォローしても仕方がない、つまり名前を覚えるモーティベーションがわかないからだろうと思う。
これはカルチエではありません(http://bblinks.blogspot.fr/より) |
それにしても日曜日は突然20度を越す半年ぶりの「太陽がいっぱい」で、展覧会とは関係なく幸せな気分になりましたよ。 ちゃんと夕食はテラスで食べた!うれしい(でも私のアトリエは16度のままだけど、、、)、そして明日は25度だって!
ムエック展は9月29日まで 。私のデッサンがゴミだと思う人には絶対お勧め(私のデッサンは技術ゼロ、かつ執着もないことを持ち味としておりますので:)
けなしているのではありません。眼を見張りたい人にはそれだけのことはありで、、、。
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