フランスでは1999年夏に皆既日蝕があった。
そのときは日本の友人N君が知り合いとそのためにパリに来るという知らせが前もってあって、「ええっーそうなのー」とびっくり。わざわざ来るほど面白いものかどうかはわからないが客人に頼られたからにはとベストスポットを研究、日蝕街道の中心線にありパリの北駅から鉄道で2時間ほどで行けるグランヴィリエ(Granvilliers)市の公園に行ったのだった。幸にして晴れわたり(これが最重要条件)、皆既時は正午近くだったと記憶しているが、確かに真昼なのに薄暗くなり鳥も鳴くのをやめ急にひんやり、静寂にみちた数分間は経験する価値はあった。
今年は来客通知もなくまたまた知らずにいたら日蝕日(12日)が近くなると急にマスコミが騒ぎだし、週末の報道を聞くと日蝕観測用のメガネが多くの店では売り切れているとか(眼を痛めない「正しい規格品」は主に薬局で売られる)。日曜、かつバカンスシーズン真っ只中に開いてる薬局を見つけに行くのは徒労が多そうなので月曜日早速薬局を巡り出したら全然ない。ついこないだ薬を買いに出かけたときはカウンターの横にいっぱい置いてあったのに〜、なぜ買わなかったのか悔やまれる。
我が13区は集団住宅多いのだが、例年なら街がガラーンしているお盆ならぬ聖母被昇天祭(休日)の8月15日付近なのに子供の姿が目立つ。今年は早くから暑かったからかもうパリに帰っている家族が多いのだ(あくまで推測)。つまり子供には何かあってはいけないから親は絶対規格品メガネを買うであろうので、元名古屋プラネタリウム「星の会」の英三少年はいかんせん?(でも昔は分厚いセルロイドの下敷き重ねて太陽観測していたような気がするが、、、)
どうしようかなーとググった結果、パリ中心部のリヴォリ通りの天体観測器専門店にはあるらしい。
というわけで火曜日の朝客人を地下鉄に送ったついでにその店に向かったのだがついてびっくり、僕みたいに最後に焦った人がいっぱい詰めかけていて大行列!(カメラアングル悪かったけど背後のメトロの入り口までは続いていたが、ひょっとしたら角で曲がって続いていた可能性もある) 私は正午以降は家に工事人が来るという予定だったので待っていられないので即あきらめ!
結局最後の手段、またリヨン駅に戻り駅のキオスクでメガネが付録になっている一般向け科学雑誌を買った:完璧に「星の会」に逆戻り。
雑誌はメガネの3〜4倍の値段なので多くの人にとって最後の手段だが、これも遅かれ早かれなくなる見込み😅
リヨン駅は 「ここで郊外線に乗り換えて次のナシオン駅へ」というルートを客人に推薦した手前つきあって郊外線に乗せたのだが、なんと『工事でナシオン駅は停まらない〜』とのメッセージが入った。彼女は病院の検査のアポイントメントのため田舎から来たのだが、八百万の神に祈るしかなし→結局一応間に合ったとか😌
そして工事人が一向に来ないので怒って電話したら明日だった!!!(もう将来危ないです)
さて次は何処から日蝕を見るか? メガネ探しに苦労したのだから今度は抜かりなく? 今回はパリでは太陽が月の影になるピークの時間は20時25分(と思っていたら17分だった:またまた老齢痴呆性の勘違い)、つまり日没少し前で地平線に近いから西方向に大きな建物があるのは✖️、 でもフランスでは皆既日食ではなく買った雑誌によると92.2%だけだからあまり頑張らず近場でと、同じ時間に実地検分。結局あまり西方向に行かなくてもセーヌ川で視界が開けていれば近くの新国立図書館から伸びる歩行者専用橋 Passage Beauvoirのベルシー側がベストに思われたが、ここは人が多そうな気もするのでなんでもないバス道のトルビアック橋からBNのビルの間に落ちゆく日蝕太陽を見るのもいいかと結論。
以上日蝕前日11日(火)記述
そして当日:12日
大きなドローイングの加筆なんかしていたらあっという間に時間が過ぎ、アトリエを出ようと思ったら今パリで生活している甥からメッセージで近くの映画館前にいるとか(日蝕のため映画を途中で放棄したというのは英断!)。私の第一候補のpassage Beauvoirに向かったらその前の新国立図書館の広いテラスでも結構見れそう。甥のAI情報ではこの近辺での推薦スポットだとか。太陽の位置から見てビル(新国立図書館は4つの背の高いビルが立つ)の影にはなりそうにないのでそこの木製階段(これがあるのも好条件)に座り込んだ。
まだ明るいからと思っておもむろに例の眼鏡をかけたら4分の1ほど既に欠けていて驚き。パリでの日蝕率マックスの92.2%状態は太陽の上の方が残った形だったが、暗くなったと言えば暗くなったかもしれないが日没期なのでなんとも言えない。私たちの前にいた女性が日蝕メガネとスマフォにつけて随分うまくくっきりした写真を取っているので真似してみたけど腕の所為か古いスマフォの所為かぼやーっとして全然だめだった。フランスの夕食タイムにあたるし猛暑なのでピクニックがてらという人が多いだろうと想像していたが意外に純粋に日蝕を見に来ている人ばかりで変に感心した。
さてさて、オマケの(笑)科学雑誌によると日蝕は来夏にもある。それはモロッコからエジプトにかけて北アフリカ広範囲にわたるが、エジプトの「王家の谷」も日蝕街道の中心線にある。一度も行ったことないからなと思いつつネットをみたら
「エジプトのルクソールでは、約6分22秒にわたって太陽が隠れる暗黒の世界を体験できます。カルナック神殿や王家の谷といった古代遺跡の真上で太陽が消えるため、歴史的なロマンも味わえる特別な場所として旅行予約がすでに殺到しています」とのこと。
そりゃそうでしょう。
このようなことが起きるのはちょうど月が太陽をぴったり隠せるという位置関係にあるからだがこれって奇跡的! まさか力学的に意味ないよなと一応ググってみると(このような疑問は文章で書けば答えてくれるAI検索がされるようになって本当に楽になった。以前(といっても多分数ヶ月前)なら多分日蝕ページを読み通さなければわからなかったはず。ともかくそのお答えは:
地球から見た太陽と月の見かけの大きさがほぼ同じ(約0.5度)なのは、太陽の直径が月の約400倍であると同時に、地球から太陽までの距離も月の距離の約400倍という「400倍の偶然」によるものです。科学的には物理的な必然性や意味はなく、偶然の一致とされています
私はこれを読んで胸をなでおろす。実はフランスでは近年(いつ頃からだろうか)おそらく仏教思想の影響で、偶然の街で出会ったりすると嬉しげに「私は偶然は信じません」または「偶然は存在しません」と誇らしげに宣言する人多くて、私は「うんうん」と流しているのだが別に偶然を受け入れてもいいのではないかと思っている。特に「あなたと巡り合ったのは偶然でありません」などと言われると「勝手に決めるな!」と言いたくなるのは私かなりへそ曲がりなのだろうか?
偶然に神秘を感じるのもクールでポエティックだと思うのだが。