2014年2月6日木曜日

南仏出帳

月曜から昨日(水曜)まで南仏へ出帳した。

まず第一はアヴィニョン、塩のデッサンのプロジェクトを応援してくれたコレクター夫人の家へ選んだ五枚のデッサンを持って行った。日本なら宅急便で用が足りるが、フランスは扱いが手荒で、美術品と指定するととんでもない値段になるので、TGVに乗って直に運ぶのが一番確実。但しよく乗車規定を読むと私のデッサンを入れた木箱は荷物のサイズ制限をしっかりはみ出していて置き場に困る代物だったが、車掌さんは何も言わず、反対側のドアに立てかけてくれた。

このボウルだけは土がたまり植物が育ったと説明するポール



アヴィニョンでは昨年日本の現代美術に関する翻訳の仕事で関わつたこのヴォクリューズ地方に住むMさんと初めて面会。その後は04年にガーナに行って以来の英国人彫刻家友人のポール(Paul Stapleton)君のお宅にご厄介になりに田舎へ。ポールも私のように自然の中に作品を置いて変化していくのを見て楽しむ変な作家。数年前から裏山にある友人の林に作品をインスタレーションしていて、彼の公園みたいになっていた。昔私も山や森で作品を作っていた頃、冗談まじりで「人間ではなく兎や狐のために作っている」と言っていたものだが、ポールは赤外線探知機付カメラを取り付けて作品を見に(?)やって来る猪や鹿を写真に写してサイトで公開する徹底ぶり。このポールのガイドツアーは2時間もかかった!

昼食の後最寄り(約20km)の町のカルパントラ(Carpentras)のバス停まで送ってもらい、またアヴィニョンに戻り、鉄道でマルセイユ、そこからエクサン・プロバンスの友達Cさんの家にまたお世話になりに。ローカル線のゆったりとした旅だ。ローヌ河沿の風景は、羊や牛が草を食む牧場あり、石灰岩質の山塊あり、河口の工業地帯ありのヴァリエーション。日本語教師だったMさんは大の日本贔屓で「私が何故この国に住むのか分からない」のは当然と思うけど、「フランスは美しくない」とまで言っていた。この線路沿いですら十分美しいと思うけど。

そして昨日の水曜は新しく出来たヨーロッパ・地中海文明博物館(MuCEM) へ。博物館に行くのは海に架かるパッサージ(写真)を渡たる。それが昨日は強風強雨が断続。監視員は「こんなに人が少ないのは初めてだと言っていたが、それが当然 の天気で、、、。ここへ来たのは「建築学的興味」から。実はこの素晴らしい博物館を作った建築家と我がアトリエ近くの、私の日本でのインスタレーション「夢の浮き箸」に類似して全く異なる外観を持つ、既に紹介済みのあの醜いビルが同人物の手になるという不思議のため。同じ建築家でも予算と企画の重要度でここまで変わってしまうものか?


天気がいいと

昨日
といういう次第で中は見ず。何故ならここで出帳の第二の目玉、マルセイユの画廊とアポがあったのだ! 先月からパリで画廊巡りをしているものの、未だオリジナルを見せれたことすらなかったのだが、この機会だからと、サイトを見て4軒の画廊にメールを送ったところ、1軒から「見たい」と連絡があった。結果上々、帰りのTGVは一等車ならでは(仏鉄道市場開放で生まれたインターネットでしか買えないiDTGV 社経営の車両で、格段に安価。かつ一等と二等と値段がほとんど変わらなかったが)の出前サービスを使って一人でお祝いした。

それに画廊の人から聞いた、フランス海抜0mの基準となるマルセーユの海岸へ行って海水を採取。岩に砕ける高波の岸に降りて行ったら近くの住民に呼び戻された。

以上のように充実した3日間でした。

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