2020年1月14日火曜日

ルーブルのダ・ヴィンチ没後500年展

鳴り物入りで始まったルーブル美術館のレオナルド・ダ・ヴィンチの生涯を辿る没後500年記念の特別展、予約制で早くから満員御礼、絶対いけないものと思っていたら年末に突然新たな予約ができるようになり即予約。先週行ってきたのだが、、、「なんか期待外れ」

他国から多くの作品が集まったのかと思っていたら、メインとなる大作はいつものルーブルの所蔵品(ただしモナリザはこの展覧会外)。所蔵庫からデッサンをふんだんに出して見せてくれるが、当然大勢の人の中では見辛いし、ありすぎて、悪く言えば「虫干し」みたいな感じがしないでもない。ダ・ヴィンチの作品でないものも沢山ある:師匠の彫刻家ヴェロッキオの作品、初期に影響を与えた画家の作品、後期になると彼の工房の作、共同制作画家の作品などなど、見切れないほど盛り沢山で、ルネッサンスの大美術展にいったという感じ。それから不思議なのは有名な絵の「実物大赤外線写真」というのが幾つもあり、デッサンから支持体(主に木板)写され加筆された木炭の跡などが見えるという趣向。う〜ん、これは研究者向きではないかな〜?

結局絵との真剣なお見合い体験みたいなのはなかった(お見合いしたことないけど(笑)。どうしてこんな言葉を使うかと言うと、名画は大抵写真で知っているが、「これがご本人ですか」と精査するという意味で)

それにつけてもダ・ヴィンチとの出会いで素晴らしかったのはポーランドのクラクフの「白貂を抱く貴婦人」。私が行った時(2014年10月)は国立美術館が改修中で、クラクフの旧市街にある城砦に囲まれたヴェルヴェル城の中の小さめな控えめな一室(十畳間ぐらいしかなかったような)に一点のみで鎮座されていた。一点だけの観賞のためにお金を払う気がしなかった人が多かったのか、来場者はちらほら。いても2ー3分過ぎれば出ていくので一対一の時間が続き、綿密に描かれた皮膚のシワまで眺めつつ、、、のご面会でした。でもこの美人で才人だったらしいセシリアさん(貴婦人)は私の方はチラリとも見てくれないけど(笑)*

で、この肖像の赤外写真も来ていて、本物はクラクフだから、「ドレスの描写のベースとか袖の変更がわかる」とか説明あっても、専門家じゃあるまいし〜。

これが赤外線写真
これはクラコフ




















左下はロンドンナショナルギャラリーから来た「聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ」のデッサン。これは「聖アンナと聖母子」(右下)の構想図らしいが、このぐらい違うと原画がなくても私でも「あれー?」 かつ「構想の方がおもしろかったんじゃない?」なんて考えますが。(もちろんこれはルーブル蔵なので原画が側にあります)


海外から来たダ・ヴィンチの秀作原画は、エルミタージュ美術館(サント・ペテルスブルグ)から来た、独り立ちして間もない28歳の時に描いたとされる、マリアがイエスより愛らしい「ブノアの聖母」(ウィキ)


それと素描的だがパルマ(伊)から来た「ほつれ髪の女性」ぐらいじゃなかったかなー。


こういう大展覧会は絶賛されているので、否定的意見を言うと「なんだー?!」ってことになるが、、、見にいく価値がないと解釈してもらうとそれは全くの誤解。
でも普通の方が日本からわざわざこのために来るほどのことはないでしょう (いずれにせよもう予約とれないでだろうが)
こう正直に書くと私の眼およびブログの評価がますます落ちそう、、、


注:今回の絵のタイトルはダ・ヴィンチのウィキペディアの使用で統一。

*「白貂を抱く貴婦人」、今は国立美術館なので行かれる方はこちらのページを参考


後記:一般的な紹介記事コチラ(Casa Brutus)でも参考に 1/16の投稿もご参考に)


参考:私の2014年のクラクフ紀行

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