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絵画は筆跡にあり、L先生、表現派をパクリ |
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7月からポンピドーセンターでウォーホールと並ぶポップアートの旗手、ロイ・リキテンシュタインの回顧展が行われている。夏休み中は避け、会期末が近づいてもまさか
ダリ展のような大人気になるとは思わないが、見逃すしてはならぬと昨晩行ってきた。私はファンとは言えないが意外なほどリキテンシュタインが好きなのだ。その昔は「ただ漫画の複製」と注目もしていなかったのだが、ある日「この漫画は非常に良く構成されている」と気がついた。この人の行ったことはまさにポップアートの教科書の様なもの、「絵画の対象とされていなかった『現代の商業製品』を材料に絵画を築く」。彼はノートに新聞の宣伝などをスクラップし、緻密にその再構成を図る。方法はいつも、これまた丹念にオフセット工業印刷技術のドットを手塗りでという、退屈きわまりない手法だが、結果は、例えばブレッソンの写真のごとく、良い意味で紋きり、つまり「すかっ」と決まっている。ウォーホールは表現方法も大量生産的繰り返しによる60年代的美意識を反映させた。そして現代の「日本漫画派?」は漫画に見る社会の病的部分を誇張したのに対し、リキテンシュタインはただの素材としてそこに冷静に美術史上に連綿たるクラシックな美学の流れに則して仕事する大研究家または師匠なのだ。
とはいえ題材が題材だから、何十作も同じようなものが並んでいると私もすぐにうんざりしてしまうが、この展覧会は一部屋ごとにテーマを変えて飽きさせない工夫がしてある。モネ、マチスの本歌取りとか、ブラシュストロークを漫画調にして構成し直したデクーニングとか、本人は「パロディーではなく、ピカソがヴェラスケスをテーマをしたように、過去の作品への自らの手法でのアプローチ」と言っているが、「本歌」を知っている美術ファンは思わずにっこり、ここそこにユーモアがあって楽しい。本当にまじめに再構成しているのか?観衆の心をこそぐる術をしっているのか? ともかくリキテンシュタインはプロ、先生と呼ぶに相応しい。
水曜の夕方はがら空きでしたが、会期はあと1ヶ月、11月4日まで
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