2015年1月25日日曜日

考える力(コンドルセに戻ろう)

ところでフェースブック(FB)でCH紙を襲撃したクアシ兄弟の、父不在、母は自殺という悲惨な境遇(育った環境をもっと詳しく述べねば「悲惨」と思えないでしょうが、本当に「生きるに値する人生」というビジョンをフランス社会は彼らに与えられなかった)のルポsourceをシェアしたところ「貧しいからと言って犯罪 は許されない」という意見が「FBのお友達」からよせられた。「そんな破廉恥な」と一蹴したいところだが、事件以降、「マホメットを冒涜したから罰せられるのは当たり前」とするパリ近郊の学校の子供達の意見と同様、「どうしてそんなことを思えるのだろう?」と想像し「どう答えればいいのだろう?」と考えることをエクササイズにしている。というのも私だって例えば「人種差別の煽動」か「単なるお笑い」かの線引きは釈然としないことが多いし(判断はケースバイケースだろうが、、、)

疑問と言えば、事件翌日(8日)に「テロ犯が身分証明書を車に忘れるなんて変だ」と書いたが、この「?」が「警察当局による陰謀説」の根拠となり、「私はシャーリーでない」とする子供達の間に流布されているらしい (個展の準備でそれどころでないし興味ないので全くフォローしていないが)。そして前回故意に触れなかった、宗教と共和制の下に置く「ライシテ」の原則、私も賛成だが、現政府は思いあまって、従わない子供(+親)達に「罰則」をもって対応するつもりらしい。ヴァルス首相の口から「非国民罪」なんていう言葉まで出て来て、この方向が行き過ぎると、私がしつこく書き続けた「マルセイエーズ」も、(まさかとは思うが、、、)将来歌わないと罰されることになるとも限らない状況になりつつある。一方「日本も狙われるようになりますよ」と書いたのも、、、つまり悪い予感だけが当たって、、、。「言論の自由」を「対テロ」にすぐさま切り替えたオランド、ひどいと思ったのが人気急上昇、これは全く予想外(15日に書いた直感が当たっていたのかもしれないが)。

その政府は当然ながら、過激派のプロパガンダや陰謀説などを拡散する若者たちの情報ソースとしてのインターネットも槍玉に挙げ、その抑制策を考慮しているようだが、「政府高官というのは反抗期がなかったのだろうか???」と思ってしまう。中高校生が先生(権威)の言うことより「異論」に引かれるのは当たり前のこと。そういうものを禁止して「正しい解答」を教えてもダメで、「自ら考える力」を育てるしかないのだと私は確信している。(勿論子供達の誰もが正しい論理を導けるようになる知性が備わっているわけではないが、堂々巡りの混乱した考えしか持てないとしても、少なくとも洗脳プロパガンダに「そうかな?」疑問が持てるようになればそれで十分でないだろうか?)


公教育かつライシテ思想の祖(?)コンドルセ参考は1792年に既にこう述べている
「フランス憲法、それに人権宣言ですら、如何なる階級の市民にも、天から降りて来た崇拝し信じねばならぬ石板として指し示してはならない」

こんないいことも言っておりました(ほぼ私が上で批判したことでは!?) 

"la puissance publique ne peut même, sur aucun objet, avoir le droit de faire enseigner des opinions comme des vérités, elle ne doit imposer aucune croyance [...] Son devoir est d'armer contre l'erreur, qui est toujours un mal public, toute la force de la vérité, mais elle n'a pas le droit de décider où réside la vérité, où se trouve l'erreur"   (Condorcet et l'instruction publique)

以下直訳:
 「国家権力は、如何なる目的の為にも、自説を真実として教えさせる権利はない、如何なる信念も課してはならない ... その義務は常に公共の害となる誤りに対して真実の力を守ることであるが、何処に真実があり、何処に誤りがあるかを決定する権利は持たない」
 

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